キャリイのエアコンが効かない エアコンスイッチの分解修理の仕方

DA63Tあたりのキャリイはエアコンのブロアファンスイッチ、つまりは風量を調整するスイッチが調子悪くなって風が出ない、エアコンのスイッチは押し込まれてるのにエアコンランプが点かない、などなどの症状が出ます。
エブリイを含めたりすると「風が出ない」となるとファンモーターという原因も考えられるのでそのあたりの診断は必要です。
とはいえどっちにしても我々がお客さんから連絡ををもらう段階では

「エアコンが効かない」

という連絡をもらいます。

現車を見たら「冷やすとか言う以前に風が出ない」ですよね~というオチが付いたりします。

このケースでのエアコンランプが点かないのはファンスイッチが働いてないのでコンプレッサーをまわすとか言う以前の段階でこけてるのでランプが点かないんです。
診断は取りあえず乱暴にエアコンファンスイッチをガチャガチャ動かす(笑)

というわけでこのキャリイも平成18年式です。
でも走行距離は18000㎞。

こんな条件でもエアコンスイッチが不良になるので経年劣化の一言では片付けられない事象ではありますが、自動車はいっぱいの部品が組み合わさってるわけですから完璧な商品というものはこの世に存在しません。

まあこんなこともあるわな、と修理します。

一番簡単なのはスイッチの交換です。
以上おわり・・・・

なのですけれど割と症例のある故障でネット上でも過去に見たことあったので分解修理ができることは知ってましたから修理を選択。
ちょっと器用な人なら素人さんでもDIYも可能でしょう。

普通のプラスドライバーと短いプラスドライバーがあればスイッチを外すところまではいけます。

後述しますがこの故障の原因はスイッチの接点グリスということなのでそこは別途購入が必要かも。

この形のエアコンパネルのキャリイです
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パネルの周りとか下段のラジオなど分解。
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コネクターが2個接続されているのが今回のターゲットのスイッチ。
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スイッチ自体はビス一本で止まってるだけなのでビスを取るとスイッチは外れます。
外れると言ってもちょっとコツが要りますね。
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スイッチがパネルから外れたらコネクターを外してスイッチ単体にします。
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スイッチの下側の台形型のパネルを外します。
はめ込まれてるだけなので細いマイナスドライバーなどでこじると外れます。
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レバーを止めてるネジを外すと、レバーと動く側の接点が外れます。
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この動く側の接点を見た段階で「ひどい色」と思いました。
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本体側の接点も同じような色。
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変色したグリスをせっせと拭き取ります。
パーツクリーナーが役に立ちます。
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いろんな情報をまとめると、この最初に塗られてるグリスは白色で通常の接点グリスとのこと。
これが接点に発生した緑青(銅が変質してできる一種の錆)と混じってこんな色になり、この緑青の混じったグリスが悪さをして接点と接点の間で電気が流れなくなりスイッチ不良になるとのことです。
そのためこのグリスを除去して、接点を磨き、ちゃんとした接点グリスを塗り直すとスイッチは復活するので部品交換の必要ななくなる、とのストーリです。

今回は接点グリスとしてトヨタ部品共販経由で仕入れた日本バーズ社製のコネクタールーブを使うことにしました。
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ラジコンで遊んで時のタミヤの接点グリスなども使いました。
少量でいいならこっちの方がリーズナブルかもしれません。

本来はヘッドライトコネクターなどに部分に塗って防水と抜き差しするときの滑りの良さを確保するためのものでグリス自体に導電性を持たせてあるというものです。
H4タイプのヘッドライト球のコネクターやキツキツでなかなか抜けないパワーウィンドウスイッチのコネクターなどにあらかじめ塗っておくと後日簡単に抜けるのでうちに入庫したお車には気がついたときには塗るようにしてます。

接点を磨き、グリスを塗って、レバーを取り付けた状態。
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この後は来た道を戻り元通りに組み立てたら完成。
最初はかろうじて2速だけ、それもガチャガチャやってやっと廻っていた室内ファンもちゃんと1~3速で調整できるようになり確実のエアコンランプも光るようになりました。
もうすぐ暖かい日がやってくるので先回りできて良かったです。
暑くなってから風が出なかったらイライラして事故の原因にもなりかねませんからね~


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カテゴリー: スズキ修理   作成者: てんちょー パーマリンク

てんちょー について

専門家や職人は仕事の話をするときに専門用語やら隠語を使わないとお客さんと会話できないという習性に疑問を持ち、自動車に関して自分の知ってることや機械の原理をいかにわかるように説明できるかを考え続けてるちょっと変わった自動車修理の職人。 仕事の質ももちろん、その仕事の内容をお客さんに理解してもらうことを自分自身の生き甲斐にしてるおっさんである。

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