公道ウルフ 第7巻 発売決定

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いろんなご縁があって作者の野口賢先生も先日当店においでになりましたがいよいよ公道ウルフ第7巻発売決定だそうです。
40~60代あたりの昭和の車好きにぜひオススメの物語。
見たことのある、そしてなんなら乗ったことのある車がいっぱい出てきて物語との距離感がとても身近な物語ですよ。
第7巻発売おめでとうございます!

臨時休業のお知らせ

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令和4年7月27日(水)は自動車整備士に義務づけられてる講習のため休業です。
ご不便をおかけしますがご容赦ください。

ガスの不足は圧力メーターではわかりません ダイハツミラ エアコンが冷えない

前回の記事「ガスの量は圧力計ではわかりません」を書いたあとにエアコンが冷えないミラが入庫してきました。
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何となく冷えてるけどとてもじゃないけど乗ってられない、というお話しです。
問診を終えてセオリーに則って診断してみましたが大きな問題や漏れは見えなかったのでスナップオン社製DUALPROを接続してみます。
接続後
おおよそのガスの流れ
を見るための圧力計として使うためです。
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エンジンを掛けてエアコンをオンにして読み取れるのは確かにガスが少ないと言うこと。
ただしこの段階ではどれくらい少ないかはさっぱりわかりません。
その判断は高圧側(右側)の値で読み取っています。
でも低圧側(左側)はいたって「普通」です。
簡易エアコンガスチャージホースのメーターはここを読み取ります。
風の吹き出し部分の温度は16.4℃。
外気温30℃でしたから冷えてないことはないというお客さんの訴えは正しいですけど、これではいつものように冷えてるとは思わないでしょう。
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ガスが少ないのは間違いなかったので規定量をチャージしました。
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規定量320gに対して入っていたガスの量は95g
本来の量に対して30%しか残ってなかったということになります。
これでは冷えないはずですね。
作業後の吹き出し口温度は8.8℃
アイドリングでこの温度でちょっとエンジン回転を上げれば温度センサー限度の7℃くらいまで余裕で冷えるようになりました。
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大事なのはきっちりとガスが規定量入ったときの圧力メーターの値。
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冷えるために大事な低圧側(左側)の値はどうでしょうか?
ガスの量が30%の時は0.23
規定量での圧力は0.19
ガスの量にしたらおおよそ3倍になってるはずですが・・・
この状態がエアコンが設計通りの働きなんです。
圧力だけでは何もわからないことがおわかりいただけると思います。
ガスがきっちり入ってる状態で低圧側の圧力が0.3を越えてくると別の原因でエアコンの冷えが悪くなってくると思います。
圧力計ではガスが入ってなくても入っていてもガスの量は曖昧な判断しかできないのです。
何度も言いますがメーターを頼りにチャージして結果的にガスの入れすぎになるのはエアコンを壊します。
暑い夏を快適に乗り越えるためにもエアコンは確かな整備工場でちゃんとメンテしてもらいましょうね。

DIYでの簡易エアコンガスチャージホース使用はやめたほうが・・

この季節になると毎年「エアコンが効かない」がキーワードで当ブログにもたくさんのアクセスが来ます。

自動車整備業者としてもエアコンが効かないならまずガスをチャージして、それから原因究明、という手順を踏むのでエアコンガスの量を整えるというのは間違いではありません。
ここで大事なのは

ガスの量

量とは、 重さです。

圧力ではありません。
○○パスカル、一昔前なら kg/cm2 キログラムパー平方センチ とかいうのが圧力です。
我々が気になるのは重さ つまりは g グラムです。

エアコンガスは重さで管理するように決められています。
圧力で管理するのは間違いというか単なる目安です。
なので最近の風潮にはちょっとドキドキしてます。

YouTubeなどでも「簡単にガスチャージ」とか「自分でガスチャージやってみた」とかの動画が最近急に増えました。
そこで使ってるホースがこれです。
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このホースに付いてる圧力計を目安にチャージ、と実際やってる所を動画にしたり、ブログを書いてみたり、みんカラあたりでも散見します。

本当にエアコンをきっちりと働くようにするのならガスの重さを規定量に合わすことが基本です。

当店ではスナップオン社製カーエアコンサービスステーションという機械を使いますが5グラム単位できっちりの重さのフロンガスを車にチャージします。
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圧力では量れない一例を実際の値を。

日産キューブ
施工前の圧力。
特に冷えに関わるの左の低圧側の値。
ガスチャージのホースに付いてるメーターもここを量ってます。

施工前
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ガスチャージ(充填)量は55g
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施工後
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右のメーター(高圧側) 1.40から1.46
左のメーター(低圧側) 0.21から0.19

高圧側が上がって低圧側が下がってるのがわかるのと思います。
ガスの量が増えたら両方の圧力が上がりそうに思えますがきっちりガスが入ると実際は効率が良くなって冷えに関わる低圧側が下がります。
でも動画などでは0.20ぐらいでガスがたりない、という勝手な判断で0.30~0.40になるように追加します。

など説明がされてて実際0.35ぐらいになるまでガスを入れます。
はっきりいって低圧側の圧力が0.35もガスの圧力があれば

「冷えません」

それなら施工前の0.20ぐらいの方がましです(笑)
他の例でも

施工前
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ガスチャージ量40g
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施工後
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MRワゴンはあまり減ってなかったのですが高圧側も低圧側の値が増えています。
これはエアコンガスの量がどうのこうのというよりは作業中に周りの気温が上昇していたからです。

気温の上昇が無ければ似たような値になっていたと思われます。
圧力は気温(エンジン廻りの気温)によっても左右されます。

エブリイバン DA17V

施工前
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チャージ量は95gで施工前は規定量の66%しか残ってなかったということになります。
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施工後
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3分の2しか無かったガスがきっちりの量になっても圧力は大幅に変わりません。

これはキャラバン

施工前
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ガスは規定量の80%でした
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施工後
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キャラバンもきっちりガスが入ったら左の低圧側が下がりました。
どうでしょうか?

チャージホースで見る低圧側の圧力は目安にもならず

・ガスがちゃんと入ってるかとか
・どれくらい減ってるので入れたらいいか

とかの判断材料にならないことがわかると思います。
ブログとかYouTubeでのやり方をすればほとんどの場合
入れすぎ
になると思います。

 

エアコンのガスはほんとに足らない場合も冷えませんが、入れすぎても冷えません。
そして入れすぎの場合コンプレッサーや配管とかエアコン機器に重大な損傷を与える恐れが出てきます。
入れすぎた結果の損傷を考えたらむしろ足らない方がいいくらいです。

うかつに、冷えないからガス補充、は極めて短絡的なDIYです。
・ 転けても泣かない
・ 自己責任でお願いします
の一言で自身が許されるのならOKですけど扱う材料が「高圧ガス」ですから扱いは慎重にすべきだと思ってます。

自分自身は自動車の管理は自分でする,ということに対して大賛成派です。
メンテナンスをしながら乗る。

これは機械ものを扱う場合の大原則です。
命を乗せ、他人に怪我をさせないためにもあくまでも「構造を知った上で」というのが前提ですけど・・・・