ワゴンR、プラグのかぶり

エンジンは掛かったけどバックしない、と言う第一報が入りました。
エンジン掛かってバックしないといわれたら普通はミッションの故障を疑いますよね。
とりあえずお客さんの車庫まで徒歩で出向きます。
「バックせえへんかったらどういう風に車を動かすか?」
「ミッション壊れたら修理はもうしないで乗換えやろうなあ?」
とかいろいろ考えながらガレージへ。
さてエンジンをかけてみたらスカッと掛かります。
お客さんの説明では「エンジンががくがくしてバックしない」、とちょっとさっきとニュアンスが違う。
乗り込んでバックに入れると普通に動く。
これは第一報とちょっと様子が違うということで、もっと詳しく問診。
すると、
・エンジンが掛かってもすぐに止まるときがあった。
・前進するときも力がないときもある。
・エンジンがなかなか掛からないときもある。
などなど情報が出てきました。
この情報を元に考えると故障部位はミッションでは無くエンジン、それも「プラグのかぶり」が疑わしくなってきました。
というのもこのお車、短距離走行の繰り返しで通勤してます。
今年も冬はとても寒いので通常より暖気状態の条件がわるくてかぶりやすい条件が整っています。
普通に走ったのでそのままお店に持って帰りました・・・
さて問診の後は実際の診断に。
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まずは気になるプラグを外しに掛かります。
インタークーラー付きのターボですからまずそれを外さないとプラグにたどり着きません。
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外したイグニッションコイルを見るとエンジンオイルまみれです。
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ここにオイルがあるということはプラグホールのパッキンが硬化してる証拠。
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それはさておき肝心のプラグは?というと
やっぱり真っ黒&電極摩耗でした。
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エンジンが掛かるには掛かってもちゃんと燃焼しなかったため、バックに入れたときにエンジン回転に力がなかったので「バックしない」という感覚になったのでしょう。
というわけでバックしないという症状の診断は解決。
プラグを替えればOKでしょう。
でも硬化したパッキンををそのままにしておくとプラグホールにオイルが漏れてしまうので、お客さんの了解を得て、あと少し足を伸ばして同時に修理してしまうことにします。
カムカバーと呼ばれる部品を外してパッキンを替えます。
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ちょっとオイル焼けしてますがこれくらいなら致命傷にはならないでしょう。
そしてパッキンを外して交換します。
丸い部分が原因なのですがこのエンジンの場合カバーの淵の部分とプラグホールのパッキンは一体ものなのでそのまま交換です。
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新品のパッキンはしなやかで明らかに弾力があるのは見た目でわかります。
いつもながら新品のパッキンは気持ちいいです。
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エンジン部分の局面がきついところは液状パッキンも併用して取り付けます。
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というわけであとは分解した部品を復帰させていきます。
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これで元通りになりました。
あとはエンジンオイルを交換して完成!
もちろんエンジンも絶好調!
復活しました。
念入りに車庫入れなどをシュミレーションしたり、冷えてからエンジンをかけたり、高速走行したり、症状が出ないかを確認して、お客さんの元に返っていきました。
短距離走行の繰り返しはそれはそれはエンジンにとって過酷なものです。
プラグもそうですがエンジンオイルの汚れ方はそりゃもう尋常では無いくらい汚れます。
パッキンの硬化も短期間で起こってしまいます。
温度変化が硬化の原因なので、変化の回数が多いと早く痛みます。
車の使われ方によって故障診断のポイントが変化してくる例でした。