ワゴンR しばらくアイドリングしたらコンプレッサーが切れてエアコンが効かなくなる

ワゴンR MH23S 平成21年 距離9万㎞
車検で入庫ですが、気になるところはないですか?
との問診に
10分ほどエアコンかけたまま停車してたら冷気がなくなりぬるくなってくる
とのお申し出。
車検の作業内容の方針を立てると同時にエアコンの診断。
効いてるエアコンが効かなくなると言うことでコンプレッサーの働きを点検。
電気が来てるかどうか。
電源関係は?とマニュアルをひもとくと
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この白いリレーがコンプレッサーリレーですね。
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実際コンプレッサーには電気は来てるようだったのでそのまましばらくアイドリングで様子を見てると、電気が来てるのにコンプレッサーのマグネットクラッチが切れました。
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同時にエアコンガスの状態もモニターして、少なくともエアコンガスサイクルに原因があるのではなくコンプレッサーまわりの不良と判断。
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原因としては
・電磁石を利用したクラッチのコイルが熱を持って磁力が弱くなりクラッチが切れる。
・電磁石に引き寄せられるクラッチ板が消耗により隙間が広がりひっつける力が負けて切れてしまう。
が考えられます。
クラッチの隙間を調整してみるのもひとつの手段ですが、お客様の要望でコンプレッサー本体をリビルト品(中古手入れ済み商品)を利用して修理することに決定。
バンパー外して交換準備に入ります。
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コンプレッサーを外すには補機類駆動ベルトを外す必要がありますが、今回車検でもそろそろ交換、という状態だったので1回工賃助かりましたね!
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車検作業と並行してコンプレッサーを入替終了。
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ベルトの張りを調整するのに今はこの『音波式張力計』を使います。
これなら「これくらいかな?」というカンではなく数字として張力を見られるので確実な整備が出来ます。
最近の整備マニュアルには張力計を使う場合の車種固有数値も書いてあるので数値をビシッと合わします。
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あとはこれくらいの年式になってきますと冷却ファンの風を効果的に導くためのスポンジが劣化して役目を果たさなくなってきてる場合があります。
このスポンジがあるとないとではエアコンの冷えに関わってくるのでしっかり対策はしておく方がいいでしょう。
この隙間から温風を吸い込んでしまうので効率激落ちです。
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精機の部品としてのスポンジなりアルミテープを使ったりしてできるだけ隙間を埋めます。
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あとは回収したガスを元通りに。
その際エアコンガスリフレッシュも兼ねて回収したガスに新ガスを足して規定量充填。
エアコンは20分アイドリングしてもぬるくなることなくしっかり冷え続ける事を確認。
というわけでワゴンRはまだまだ続く大阪の夏をしっかり乗り越えてユーザーさんと共に快適に働いてくれることでしょう!
※ 2022/05/22 追記
ガスの規定量充填を純度の高いガスで行えるスナップオン社製カーエアコンサービスステーションDUALPROという整備機器を導入しました。

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カテゴリー: スズキ修理   タグ:   作成者: てんちょー   この投稿のパーマリンク

てんちょー について

専門家や職人は仕事の話をするときに専門用語やら隠語を使わないとお客さんと会話できないという習性に疑問を持ち、自動車に関して自分の知ってることや機械の原理をいかにわかるように説明できるかを考え続けてるちょっと変わった自動車修理の職人。 仕事の質ももちろん、その仕事の内容をお客さんに理解してもらうことを自分自身の生き甲斐にしてるおっさんである。

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