長野県でタイヤが外れたノートと同じ箇所を整備したけど緊張した

昨今ニュースなので「タイヤが外れた」と聞きます。
その瞬間に我々整備士は「原因は何?」と興味津々。

一概に

タイヤが外れて○○がケガした

とマスコミは書きますが、タイヤが外れることは稀で、厳密には

タイヤ&ホイルが車輛から外れた

というのが正しいことが多いです。
もちろん本当にタイヤだけ外れないこともないですがとても稀な事案です。

北海道でジムニーの違法改造車からホイル&タイヤが外れてころがって女の子に当たって意識不明の事案は、ホイルを車輛に取り付けしてるボルトが折れて飛んで行った、というのが原因ですし、トラックのタイヤ&ホイルが外れるのもボルトにヒビが入ってそこから折れた、とか車輛の軸のベアリングが壊れて外れたとか、まさに原因は様々。

長野県で新装開店の鯛焼き屋さんの前で待っていたお客さんに外れたタイヤが飛び込んで怪我した事件。
ニュース映像からその車が日産ノートで明らかにホイルとタイヤだけでなくブレーキドラムという装置ごと外れてました。
これは後側の車軸にホイル&タイヤやブレーキドラムやリヤベアリングをまとめてたった1個で取りつけしてるリヤハブロックナットがなくなっていたのがニュース映像から見て取れたので
「あ~締め忘れか元から取りつけるのを忘れたんかな?」
と思ってたけど今日は同じ型式のノートを整備。

事件の原因はこのナットやんなぁ・・・

と締付しながらここから外れていく様子を想像したら変に緊張してしまった。
きっちり確実になおかつ決められた規定トルクでの締付。
その上「緩み止め」がついた新品ナットで対応。

だいたい、ではこの部分は恐くて・・・

動画はこちら ↓ ↓ ↓

※ 実は規定トルクの設定を間違ってて新しいナットでやり直したのは内緒(笑)・・・

診断機は G-scan LV を使っています

今や自動車はコンピューター無しでは語れないほどいろんな制御にコンピューターが使われています。
それもひとつではなく持ち場ごとに専用のコンピューターがありそれぞれがお互い連絡を密に取りながら協調して自動車全体を制御してるのです。
なので自動車整備にかかる側としてはそれらのコンピューターが今どんなことをしてるかを見て、整備士が車からの信号を把握しながら修理の材料とすることが必須となっています。

お医者さんでいう聴診器や血圧計(そういう工具も役に立つ)はもとより、血液検査の数値を自分で出す、あたりの領域に入ってる感じですかね。

そのためには「診断機」を用意しないとこの先の自動車と対話すら出来なくなってきています。
この診断機というのもそれはそれはいろんなメーカーが入り交じって

どこのこれはいい

これはあかん

などなど何を選んだら良いのかさっぱりという整備士さんも多いです。

まあこういうものは、買おうと思ったときの「エイや」という直感というか決断するのが何かの縁だろうと思ってるので、一番最初に決めた
インターサポート社製 G-scan という診断機をずっと使っています。

一番最初に買ったのはこれです。
当店ではG-san初号機と呼んでいます。
この診断機はサポート及び内部の新車データーの更新などが終わり過去の車しか診断できなくなりましたが未だに現役で使ってます。
立ち上がりが早くてちょっと軽く診たい、というときに重宝します。
ただ液晶表示がモノクロであり電圧グラフの描画などはさっぱりです。

 

少し前から車検の時に車のコンピューターの状態を車検事務所に送らないといけないルール改正がありそれに対応するために初号機では出来なくなったのでこの
G-san Tab
という診断機に更新しました。

これを選んだ理由は「OSがWindows」だからです。
Windowsで走ってるということは他のアプリがパソコンと同じものが使えるということです。
たとえばスズキの純正診断機のアプリもWindowsです。
トヨタもそうですね~
そして車検時に国交省にデーターを送るアプリもWindowsなんですよね。
なので「これ1台」で何にでも対応できる、というのが決め手でした。
タブレットなのでタッチパネルでスマホ感覚で使えることに大いに期待しました。

けれどG-scan Tab には問題がありました。
ハードウェア的なスペック、つまりは非力なんです。
使ってるCPUやらSSDの容量など普通に業務に使えるといえば使えるんですが、パソコン好きの自分にとってあまりにも非力で、クリックしてからの画面変換とか、CPU処理してる間のフリーズ状態が長くて待ちきれなかったりで不満満タンでした。
聞くところによるといまのTabはすこし性能が上がったとかなんとか・・・・

というわけで営業さんに良い方法が無いか聞こうかなと思ってたところなんと
G-scan LV
というマシンが発売されたという情報をキャッチ

これはノートパソコン型でスペックも上々。
展示会で触ってみたら  「使えるスピードやん」と思い、

なんとかライセンスはそのままでTabからLVにハードだけをバージョンアップしてもらわれへんやろうか?とお願いしたところ、料金は要りますけど可能です、というお返事。

というわけで現在のうちの診断機は G-scan LV になりました。
これも同じくwindowsで走り、他のアプリもWindowsアプリとしてインストールできますので、車検のための送信アプリも中に入れてこれ一台で完結。
スズキ車用の診断機としてもこれを使ってサクサク作業が出来ます。
モニター部分タッチ対応でそのまま180°折り曲げられるのでタブレットのような使い方も出来ます。

やっとこれで人並みの性能が手に入りました(笑)

このさきG-scanの購入をお考えの方はぜひ LV を選ばれることをオススメします。

ホンダ ゼスト(ライフ) エアコンが効かない

ホンダゼスト 型式 JE2 平成19年式 走行108,000㎞

3月の終わり頃にエアコンの効きがぬるいということでご来店いただいてまして、車検を受けた店ではエアコンはこんなもの、という診断だったらしいのですがうちで診断しても明らかに冷えてない。
お客さんの訴えは真摯に聞かないとなあ、と思いつつ基本中の基本でまずはガスが規定量きっちり入ってるからの定番診断。
メーター2個で読み取るガスの圧力ではおおよその雰囲気はつかめますが、どれほど入ってる(残ってる)はわかりません。
全量をエアコンサービスステーションデュアルに回収して重さを量ることで車のエアコンシステム内にどれほどガスがチャージされてるのかを診ます。

けっかは規定量400グラムのところ80グラム !!
なんと2割しか残ってない。

まずこれでは冷えませんよね、ということできっちりチャージ。
シャキッと冷えました。

漏れてるかどうかは経過観察ということですが18年間一度もエアコンガスなどチェックしてなかったらあり得る数字なので
これですぐに冷えなくなったら漏れてるので大きな出費を覚悟してくださいね、ということで作業は終了。

そのときに
室内のファンから異音がしてますよ。もうすぐ寿命が来るかも。
とお伝えしてました。

すると電話で続報が入りまして、その瞬間は
「あ~やっぱり漏れてるので効かなくなったか・・」
と思いましたがオーナーさんからは

「うんともすんといわず風が出なくなった」

とのこと。

若干安堵しました・・・
「冷えてないわけじゃないんやな・・・」

風が出ないなら話は別。
新たに診断しますよとご来店いただきました。

診てみると室内ファンのモーターが全然回ってない。
というわけで制御系から電気が来てるかなどなど診断。

その結果
電気はちゃんと制御されてるけどモーターが動かない、ということでモーターを外して単体テスト。

テスト電源を直結しても回りません。
手でちょっと押してあげたらゆるゆる回る。
回転軸をずらしてあげたら全速力で回る。
けど一旦止めたら再起動しない・・・
このあたりは動画でどうぞ

モーターが故障原因と特定したのであとは部品を注文して交換。
幸いなことにモーターを交換するのはビス3本ととても楽ちん。
でも、モーターが悪い、にたどり着くまでが慎重さが必要。
でないと「交換したけど動かない」というツボにはまってしまいますからね。

モーターを交換するにあたってエアコンフィルターを見てみると「これいつ交換した?」状態だったので同時に交換。せっかくモーターが新しくなってもフィルターが詰まってたら結局風量が減って「冷えない」に繋がります。

というわけでゼストは冷え冷えの風を”大量”に出せる状態になってオーナーさんのもとへ帰っていきました。

いつもながら冷えないエアコンが冷えるようになったときのオーナーさんの笑顔がうれしいもんです。

めでたしめでたし・・・

スバル BRZ 今年初めてエアコンスイッチオンしたら冷えない

スバルBRZ つまりはトヨタ86   平成27年7月登録  走行約87,000㎞

少し暑い日があったので今年初めてエアコンスイッチをオンにしてみたけど冷えない、ということでご入庫。

冷えないということでまずはエアコンのガスが規定量入ってるかを診断。
当店はスナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルがあるのでグラム単位まで測定可能。
BRZはチェックOK。

となると次は電気的な制御関係へ診断のコマを進めます。
高額修理はオーナーさんはもちろん作業する側もできるだけ避けたいものです。
安価で不具合が解決してほしいので本能的にここで治ってくれたら安く済む、という流れで診断していきます。

見た目にもエアコンガスを圧縮するコンプレッサーが動いてません。
ただ室内でエアコンスイッチをオンオフすると時々「カチッ」と動きます。
この時点でコンプレッサーのマグネットクラッチにちゃんと電気が行ってるかな?という流れ。

マグネットクラッチのコネクターを外しても電気来てません。
診断機でコンピューターから「動きなさい信号」が出てるかを並行して診断すると「出てる」

となるとマグネットクラッチに電気を送るスイッチにあたるコンプレッサーリレーはどこ?
整備書をひもといてみると  ここにある。

資料の向きを回転させて実車に照らし合わせるとこれ

念のためエアコンが稼働しようとするときは車の前にある冷却ファンも同時に回るはずということで確認すると「回ってる」
となればリレーに衝撃を加えてみると

はいコンプレッサーが動き出しました。

このあたりは動画で

間違いなくコンプレッサーを駆動する電気をオンオフしてるリレーが不良と絞り込み交換。

注文して到着した新品リレー

交換後、何度もエアコンスイッチをオンオフ、試運転中もしっかり冷えて、エアコン修理の中でもっとも安価に症状を解決できるコースでよかったです。
診断結果を待ちわびるオーナーさんに報告。
「安くついて良かったですね」

こうしてBRZはオーナーさんのもとへ帰っていきました。
この夏も室内をギンギンに冷やしてあげてね・・・