CVTフルード21万㎞無交換のハスラー CVTフルード・ストレーナー交換

スズキハスラー MR31S 平成26年式 走行距離210,000㎞

インターネットで当店を見つけていただいたオーナーさんから

「21万㎞走ってる中古車を買いましたが加速時にぎくしゃくするのでCVTフルード交換したら改善しますか?」

とお問い合わせいただきましたので来店いただき一緒に試運転。

オーナーさんが感じておられる違和感は察知できませんでしたが、問診内容ではエンジンの失火も考えられますものの、それはさておき距離もかさんでどことなくなめらかなはずのCVTがぎくしゃくしてるかな、とは感じたので

「大手カー用品店でやってるようなフルードだけぱっと入れ換える方法とは違い、それなりの作業量になるので安くは無いですが、フルード交換並びにその付随作業一式をしてみますか?」

と提案させていただき承諾をいただきましたので作業しました。

通常当店では作業中の写真を撮影してオーナーさんに画像を見ながら作業の内容を説明してからお車をお渡ししています。
ただこのCVTフルード交換作業は動画で内容をお伝えしたほうがわかりやすい題材なので今回生まれて初めて「全作業」をスマホで撮影して編集してみました。
作業後の報告を動画でする第1号です。
不慣れなため編集作業にかなり時間がかかってしまい寝不足になり目が乾燥してパリパリになったのは内緒です(笑)
まあ少しずつやっていこうかなと思いますが決してカメラの前でしゃべるYoutuberにはなれないでしょう・・・・
かろうじて文字で説明するのがやっとです。
お店の中でしゃべるのは今まで通りです(爆)

リンク張っておきますのでご覧ください。

 

ラパンショコラ CVTフルード&ストレーナー 交換

ラパン ショコラ HE22S 平成27年式 走行距離65000㎞

CVTフルード、ストレーナー、ポンプ用のフルードフィルターの交換依頼で和歌山市からおいでです。
自宅近くでやってくれるところが無かったとのことで当店の過去の作業事例のブログを見て依頼していただきました。

 

スズキのこのタイプのCVTはレベルゲージがあるので準備としてそこから上抜きである程度のフルードを抜き取ります。
そのほうがあとでフルードパンをめくるときにフルードがこぼれなくて良いです。

フルードの抜き取りが終わったらパンをめくっていきます。

 

フルードの残量はこれぐらいまで抜けてたのでこぼれないで外せました。

CVTの内部が見えました。
ストレーナーもそれなりに鉄粉色になってますけど全体的には距離の割には鉄粉の料はさほど多くない、という風に思いましたね。

オイルパンを清掃して鉄粉除去用の磁石も清掃して、の定番作業です。
フルードだけを交換する作業に比べて、ここを清掃するという作業の方が大事かなと思ってます。
なんなら清掃だけして抜けた分だけの規定量のフルードを追加するだけの方が効果的な整備では。

ストレーナーの新旧です。
もちろん右が新品。

メッシュ部分は異物はあまり噛んでませんでした。

 

内部の鉄粉をパーツクリーナーで流しておきます。

 

ストレーナーと共にポンプ用フィルターと言われるエレメントも交換。
このお車はアイドリングストップ時用のオイルポンプが付いてるタイプでしたのでまずはポンプを外して奥にあるエレメントケースを外します。

ポンプを取り付けるときにパッキンは新品に。

外した部品を全て組み上げたら抜けた分のフルードを注入。
ポンプ付きの車はエア抜きが必要なので診断機を使って作業します。

トルコン太郎にて圧送交換をして終了したあとの状態です。
左側の新油と右側の今現在CVT内を流れてるフルードの色合いがほぼ同じになりました。

交換した部品です。

最後は各部の漏れを点検

交換したフルードの廃油処して終了です。

今回作業の様子を動画にしてみました。
編集作業のまねごとみたいなものをしてみましたが慣れてないので時間ばっかりかかってしまいました(笑)
2分ほどなのでお時間があればポチッとな。

モコ MRワゴン ラジエーターファンモーターの寿命で交換

令和5年5月8日(月)よりお店は営業再開しております。
大型連休はしっかり安静にしてました。
出かける気は毛頭無かったので安静に絶対がついて「自主的絶対安静」の状態で暮らしてました。

時々渋滞情報をみて、赤い線が着いてる高速道路を走ってる方々は「大変やろなあ」と思ってました。

さて日産のモコ、スズキのMRワゴンOEM車です。
まあよくはたらいてる車で2008年式で18万㎞走ってます。
いろんな消耗品は一通り交換の憂き目に遭ってますが今回は

「水温警告灯がちらっと光った」というご一報です。
冷却水がなくなってたら大変なのでレッカーサービスをお願いしてご入庫です。

ご入庫後は冷却水量点検 ⇒ 水はある。
では次は冷却ファン回ってる?? ⇒ 回ってない
この時点でだいたいの故障ストーリーが頭の中を巡ります。

ファン用のモーターまで電気来てる?? ⇒ 来てる。

電気来た状態でモーター殴る(笑) ⇒ ちょっと回る(爆)

ということでファンモーター内部の消耗で寿命が来た、との判断で作業開始。

 

ファン単体では車から外せない構造で、ラジエーターごとの取り外しです。
そのためにいろいろ附属品も分解。

 

外すための作業をしながらエンジンに目が行くと「オイル漏れ」と目があってしまいました。
このまま放置すると以前に交換したサーモスタットケースのパッキンにオイルが回ってしまいパッキンが劣化、結果その部分から冷却水漏れというストーりができあがってしまうのでユーザーさんにその旨報告して追加作業の許可をいただきました。

18万㎞走ったエンジンとは思えないほどのきれいなカムシャフトまわり。
幾度となく定期的にオイル交換してもらってる証拠です。
ユーザーさんの日頃の愛情いっぱいオイルメンテナンスでしか得られない結果です。

素晴らしいメンテナンスとはいえ車のゴム製品は経年劣化します。
ただこの距離と年数まで漏れなかったのはやはり定期的なオイル交換のなせる技ですね。
外す途中でパキパキ「割れる」
もうゴムでは無くただの堅いプラスチックになっています。
これでは金属と金属の間を自身の柔軟性でせき止めてるパッキンの働きは無くなり液体の漏れを止める性能は残っていませんね。

 

オイル汚れが固着してないのでちょっとウエスで拭くだけで素材の色に戻ります。
素晴らしい!

新しい「しなやかなゴム」に交換してカバーを復元。
理屈では同じ年数・距離だけこのパッキンはもつはず・・・

カバーを復元途中にエンジンのアイドリング回転を調整するバルブにアクセスしやすかったので、外して点検。
スズキを含めこの形の調整バルブは煤が堆積して通路が狭くなってエンジンの回転数を調整しきれなくなることがあるので時々お掃除は必須です。
点検してみると18万㎞分溜まってました。

ちょっととがった工具で煤をつつくとご覧の通り。
この厚みの分、煤が蓄積してるわけです。

溶剤などを使ってきれいさっぱり。
これが本来の姿です。

いろんな回り道を経て本来の故障箇所、ファンモーターの交換。
これでオーバーヒートは大丈夫。
このファンはエアコンのガスも冷却してるのでこれが調子悪くなると、エンジンを冷やしきれないだけで無く、エアコンも冷えなくなると言う大事な部品なんですよね。

全ての作業が終わって、冷却水のエア抜きやらエアコンガス圧力など後処理をしてモコは待ちわびるユーザーさんの元へ帰っていきました。
まだまだ元気に走ってくれることでしょう。

 

 

さてあとは家訓に基づき捨てる前には部品を分解。
なぜモーターが回らなくなったか?という構造分析タイム。

このスプリングで「ブラシ」と言われる炭素素材でできた部品が電線の先にあるはずなのですが摩耗しきってしまってスプリングが飛び出てしまってます。

「ブラシ」がすべて「粉」になって堆積してますね。

よく見るとわずかに残骸が残ってました。
ほんらいは1㎝ほど長さのあり、写真の茶色のケースに収まってる部品なんですよ。
軸が回転することで押しつけられたブラシは少しずつ摩耗していき最後はこういう形で寿命を迎えモーターは終わります。

実はこのブラシを交換したら復活するので部品さえあれば実は修理できるんです。
部品設定されてたり、他のモーターのブラシを流用したりして復活させてる場合も見受けられます。

修理して使えば流行りのSDGs(えすでぃーじーず)って言う一部の人が大好きなあれですね。
いろんなキャンペーンをして、使えるものは修理して使うことで再生できるものは再生して使う、とか。

自動車も修理できるのならその部位だけ手当てして復活させるといいと思うんです。が、再生するコストを考えたらユーザーが嫌がって捨てる選択をする、となるのが現実ですよね。
このモーターでも分解することなんか想定してなくてプレスで蓋が開かない構造になってるのを力技で無理矢理開けてこそ中身とご対面できるわけです。

最初からモーターごときを修理して使うなんて言うことは考えてなくて壊れたら交換、もしくは壊れたら新車買ってねと言うことですね。
自動車が耐久消費財なのである程度は理解できるんですが何かもったいない気が。

その上、国の施策として古い車には税の重加算をして、新しい車はいろんな特典をつけて減税して乗換に誘導してたり・・・・
ドイツなんかは古い車を維持してたら「ゴミを出さない」という環境維持のご褒美として「減税」ですからね~

えすでぃーじーずで循環可能な社会を、といいつつ、乗り換えざるを得ない方向に民間を導く・・・
なんとも矛盾だらけの現実ですよね~

現場からは以上です。

72ワークスと36ワークス 記念撮影

車検で入庫した36ワークスと当店で動態保存中の72ワークスを並べて記念撮影しときました。
7歳と35歳。
WORKSの文字列は共通です(笑)

 

 

古いワークスはガソリン入れるところをキーで開けるタイプです。
今の車にはもうないですね・・・
昔の車では普通だったんですが、いまはオープナーで開けるタイプだったりちょんと指で押すタイプだったり・・・

 

ガソリンを給油するときは必然的にキーを抜いて給油口に差さないといけないので【給油中エンジン停止】は絶対に守れます。
ある意味安全ですね・・・

スペーシア スライドドアのカーテン 戻らない

スズキ スペーシア MK32S 平成25年 走行50000㎞

後のスライドドアに標準で装備されてるカーテン。

スズキでの正式名称はロールサンシェードというらしいですが下から引っ張り出して窓ガラスの上部にあるフックに引っかけて日差しを防ぐという装置。

フックから外すと自動的にドアの中に巻き取られて収納される・・が巻き取られなくなって写真の通りでだらんとぶら下がったままになったと言うことです。

ロールサンシェードはスライドドアの内装に組み込まれているのでいったん内装を分解。

内装からロールサンシェードを外してみたら巻き取るためのスプリングが付くべき部分が風化による破損でポッキリ。

部品交換すれば治る,というものですが部品は折れたところだけ設定されて居らず、サンシェードと本体全部で13000円程します。

使う頻度と効果やスペーシアの残り寿命などそのあたりは一考。
スプリングが固定できれば機能は復活するはず、ということで耐久性はどうかなと心配なこともありますが、スプリングの線径よりちょっとだけ太いドリル(1.2㎜くらい)で軸の根元に穴を開けてそこにスプリングの端っこを引っかけてみました。

あとは元通りに組立。組み立てるときに巻き取る力を加えるためこの本体を3~4回転ひねって取付。

無事サンシェードは元の機能を復活してちゃんと巻き取られるようになりました。

 

材料費+部品代は0円(笑)

うまく「修理」できるときのいうのはこんなものでだめなときはどう考えて交換しかない場合もありますし・・・

しかしこの部分の破損は定番の故障みたいで全国の皆さんがそれぞれそれなりの修理方法で直しておられますね。

このお車の場合引っ張り出したまま青空駐車しておられる車なので条件は不利かなと直感的に思いました、。
戻そうという力が軸に掛かったままで、車内の温度は夏において想像できないくらいの暑さになりますからプラスチック部品にとっては過酷な環境でしょうね。

同じスペーシアに乗って居られる方はサンシェードを収納した状態で駐車された方がこの軸の破損はひょっとしたら避けられるかもしれないなあ、と想像しました。

というわけでスペーシアはユーザーのもとへ帰っていきました。
反対側のサンシェードがちょっと心配・・・

エブリイ エンジンの力がない エンジンがガタガタ揺れる

スズキ エブリイ DA64V 平成19年 走行20万㎞
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朝から着信でお客さんからのお話は

エンジンがおかしい

これだけではわかりません(笑)
というわけでじっくり問診するためにお客さん宅へ。
そこでの話は、

・エンジンは掛かる
・動こうとクラッチをつなぐも車が重い
・エアコンを入れようものならクラッチ合わせすらきつい
・取りあえず少し走ってみたが信号待ちで車全体が揺れるほどの振動がある

そこで自分が乗ってエンジンを掛けてエンジンからの声を聞く(笑)
自分自身の「お尻センサー」から伝わってくる振動で

3個ある燃焼室の一つが燃えてない

ということはわかったので代わりの車をおいて工場まで引き取る。

 

エンジンの燃焼室が燃えてない。

基本点検は先人がらの言い伝えでちゃんと燃えるには

良い圧縮

良い燃料

良い火花

もうこの3つに限るという感じ。
まあこのあたりで火花がヤバいというのは薄々感じてるんですが、そうじゃなかったら遠回りしてしまうので基本に則って診断。
入庫したときに排気ガスが臭いので、燃料はエンジン内までは行ってると後回し。
火花を診断するにはカイセ社製のイグニッションアナライザーが使えるので3個調べる。

 

1気筒目
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2気筒目
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3気筒目
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波形の細かい説明は省略で3個の波形が似てるかどうかが判断材料。
明らかに3気筒目が違うのは一目瞭然。
2番目と3番目のイグニッションコイルという部品を入れ替えてみたら入れ替えた2番目が働かなくなる。
だんだん絞り込めてきました。
どうも良い火花ではなさそうなのは間違いない。

 

良い圧縮を確認。
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20万㎞も走ってるので良くはないけど燃焼しない原因までではないので除外。
燃えてない3番目が一番良い値なのはご愛敬。

そんなこんなで点火プラグも大丈夫だったのでイグニッションコイルがお亡くなりになってるのは間違いないと判断。
ついでにエンジンオイルがプラグホールに漏れてたのでそこも同時に手当。
イグニッションコイルがオイル漬けになってたのも遠因かも。
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エンジンオイルはすごくマメに交換してるオーナーさんなので距離にしてはとても状態は良好。
部品が揃ったのでイグニッションコイル×3、プラグ×3、カムカバーパッキン、などなど交換。
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交換後の波形
1気筒目
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2気筒目
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3気筒目
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全てがおおよそ同じ形、というが完治の証拠。

 

ついでにはたらく車のタイヤも交換。
2年、1.5万㎞足らずでこの状態。
よく 「走り・止まり・曲がる」 くるまです。
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エブリイはお仕事するためにオーナーさんのもとへ帰ってきました。
しっかり働いてね~





アルト ワゴンRなどのタイロッドエンドブーツ交換専用工具

アルト HA24S 平成21年式 走行100000㎞
車検でご入庫です。
オーナーさんが自ら消耗部品を管理されているので年式や距離の割にはとても手入れの行き届いたお車です。
なのでお仕事させていただく部位も日頃からいじる場所では無く10年に一度作業するとかの部位です。
何カ所か作業させていただきましたがその中のタイロッドエンドブーツの交換の様子です。
タイロッドエンドのナットを外すために割ピン外します。
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つぎにナットを緩めます。17mmです。
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テーパーの付いた軸で嵌合されているためナットを緩めただけでは外れなくて何らかの方法で嵌合を解き放たないといけません。
その方法は工具もいろいろ、整備士さんごとの方法いろいろ、なんですがうちではネジに締め込んでハンマーでたたくという工具を使ってます。
これを使うようになってからハンマーを使う力が減りなおかつ仕事が早くなりました。

ナットを外したネジ部分に専用工具をねじ込みます。
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1~2mm隙間を空けて取り付けたあと工具のおしりをハンマーで殴ります。
そうすれば嵌合が外れてくれます。
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ご覧の通り軸に少し傾斜が付いてますね。
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タイロッドエンドの軸が外れたらブーツを取り付けてるスプリングを外します。
細いドライバーでほじほじするか一旦ブーツごと外してスプリングを分離します。
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痛んだブーツをを外して中の古いグリスを拭き取り、新しいグリスを盛って入れ替えて新しいブーツを取り付けます。
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最後にまた外したスプリングを付け直しますが、これがまた付けにくい。
この取付方法もいろんな方法&整備士ごとに慣れた方法があります。
自分はスプリングのインサーターを持ってるのでそれを使います。
これが時間的には一番早いですね。
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内側の筒にスプリングをセットして外側の筒でスプリングを押し下げます。
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スプリングがはまったらあとは元通りにナットを締め付けて割ピンを装着して完了。
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このスプリングを取り付ける専用工具は結構昔からあったのですが高額でなかなか手が出ませんでした。
でもストレート社が結構気楽に買える金額で発売してくれたので購入のきっかけとなりました。
これがあれば早く確実に、そして「楽ちん」に作業ができるようになったのでブーツの交換が気楽に行えるようになりました。
時短もできるようになったので心に余裕ができましたのでひとつ買っておいてもいい工具だと思うのでオススメです。

これ以外に車検作業として
カムカバーパッキンの交換
PCVバルブのパッキン交換
そしてスナップオン社製
カーエアコンサービスステーションによるエアコンガス規定量充填サービス
などなどを終えてアルトはユーザーさんの元へ帰って行きました。
末永く元気に走ってね!!

スズキ ワゴンR ラパン きっちりとしたブレーキパッドの交換方法 ローター研磨

自動車整備工場あるあるの1つに「同じような症例とか整備事例が続く」というものがあります。
全く別の場所で、別のオーナさんが、別の使われ方をしてるにもかかわらず、同じようなタイミングで同じような不具合で入庫するわけです。
オカルトチックに「誰かがコントロールしてる」と感じざるを得ないときがあります(笑)
間髪入れずに入庫したワゴンRとラパン。
どちらも
「あとわずかでブレーキパッド使い切る」
いいタイミングでの入庫でした。
もう少し遅かったら余計な部品代が掛かって「ざんね~ん」と言う状態でした。
どっちもお客さんは不具合を感じることなく車検と12ヶ月点検で入庫。
作業してるこちらはメーカーも同じと言うこともあって部品の形も含め「風景一緒やなあ」と思いながらの整備でした。
ワゴンR MH23S 平成23年式 走行18万㎞
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新旧比較
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普通のブレーキ整備ならブレーキパッドを交換して終了、てなもんですが自分はブレーキディスクの傷みも気になります。
今までなら専門業者に外注してブレーキディスクを修正してもらって・・・という手順だったのでどうしても時間的に遠回りが必要でそうなると急ぎの仕事なら「残念ながら省略」ということがあって悔しく思っていました。
そんな折ディスクローターを自社で修正できる工具をゲットできたので思ったときに自社内で修正できるようになり、質の良いお仕事を提供できるようになりました。
ブレーキパッドのように目に見えて摩耗するわけでないですが、表面がでこぼこに、レコード盤(死語)のような線傷、そして厚いところと薄いところができて均一な状態ではなくなってます。
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それを専用の工具で均一に削ります。
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これでブレーキパッドとブレーキローターが100%なじみ始めるので設計通りの制動力が得られるようになります。
大阪は凍結防止剤などの塩害の影響はほぼありませんがやはり使われ方によってはブレーキローターに錆が発生するので耐熱塗料でお化粧しておきます。
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全てを組み立てて完成
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続いてラパン HE22S 平成26年式 走行6万㎞
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これも見事に使い切る寸前
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ブレーキディスク表側
見た目は正常
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でも裏側は外周から錆が侵食してきててブレーキパッドの接触面積(接触幅)が減ってます。
こうなると止まる力が減ってしまってます。
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同じようにディスクを研磨修正
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ディスクの摩耗限度は10.00㎜
研磨修正終わった段階でまだ残量は確保できています。
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うちではディスクブレーキの整備をするときはブレーキのピストンを脱落寸前まで押し出して錆の確認と滑りをよくするため清掃と注油を施します。
これをするだけで足で踏んだ力が100%ブレーキパッドに伝わってブレーキの効きとして反応します。
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写真はありませんがスライドピンへの注油、パッドサポートの磨きなども必ず行います。
そして各パーツの整備が終わったら組み付け
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スズキはブレーキ廻り消耗部品、このあたりのお車はほぼ全車種使い回しの共通部品です。
コストダウンするために部品をできる限り使い回すんですね。
その車種だけの部品とすると製造コストが上がりますからね。
軽自動車は庶民の車、というスズキの方針がよく見える部分です。
なお当店ではスズキ車のフロントブレーキパッドは純正品を使います。
パッドに付属する異音止めのプレートがセットされてるのでその部分も同時にリフレッシュできます。
メーカのわからないようなパッドも格安で販売されていますがせっかく整備するのですからきれいさっぱり消耗部品とすべての構成部品を交換したほうが結果的にリーズナブルな部品価格だからです。
それにしても写真を眺めてると誰のどの車の写真やったかなと思うぐらい同じ風景、同じ痛み方の整備でした。

キャリイのエアコンが効かない エアコンスイッチの分解修理の仕方

DA63Tあたりのキャリイはエアコンのブロアファンスイッチ、つまりは風量を調整するスイッチが調子悪くなって風が出ない、エアコンのスイッチは押し込まれてるのにエアコンランプが点かない、などなどの症状が出ます。
エブリイを含めたりすると「風が出ない」となるとファンモーターという原因も考えられるのでそのあたりの診断は必要です。
とはいえどっちにしても我々がお客さんから連絡ををもらう段階では

「エアコンが効かない」

という連絡をもらいます。

現車を見たら「冷やすとか言う以前に風が出ない」ですよね~というオチが付いたりします。

このケースでのエアコンランプが点かないのはファンスイッチが働いてないのでコンプレッサーをまわすとか言う以前の段階でこけてるのでランプが点かないんです。
診断は取りあえず乱暴にエアコンファンスイッチをガチャガチャ動かす(笑)

というわけでこのキャリイも平成18年式です。
でも走行距離は18000㎞。

こんな条件でもエアコンスイッチが不良になるので経年劣化の一言では片付けられない事象ではありますが、自動車はいっぱいの部品が組み合わさってるわけですから完璧な商品というものはこの世に存在しません。

まあこんなこともあるわな、と修理します。

一番簡単なのはスイッチの交換です。
以上おわり・・・・

なのですけれど割と症例のある故障でネット上でも過去に見たことあったので分解修理ができることは知ってましたから修理を選択。
ちょっと器用な人なら素人さんでもDIYも可能でしょう。

普通のプラスドライバーと短いプラスドライバーがあればスイッチを外すところまではいけます。

後述しますがこの故障の原因はスイッチの接点グリスということなのでそこは別途購入が必要かも。

この形のエアコンパネルのキャリイです
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パネルの周りとか下段のラジオなど分解。
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コネクターが2個接続されているのが今回のターゲットのスイッチ。
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スイッチ自体はビス一本で止まってるだけなのでビスを取るとスイッチは外れます。
外れると言ってもちょっとコツが要りますね。
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スイッチがパネルから外れたらコネクターを外してスイッチ単体にします。
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スイッチの下側の台形型のパネルを外します。
はめ込まれてるだけなので細いマイナスドライバーなどでこじると外れます。
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レバーを止めてるネジを外すと、レバーと動く側の接点が外れます。
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この動く側の接点を見た段階で「ひどい色」と思いました。
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本体側の接点も同じような色。
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変色したグリスをせっせと拭き取ります。
パーツクリーナーが役に立ちます。
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いろんな情報をまとめると、この最初に塗られてるグリスは白色で通常の接点グリスとのこと。
これが接点に発生した緑青(銅が変質してできる一種の錆)と混じってこんな色になり、この緑青の混じったグリスが悪さをして接点と接点の間で電気が流れなくなりスイッチ不良になるとのことです。
そのためこのグリスを除去して、接点を磨き、ちゃんとした接点グリスを塗り直すとスイッチは復活するので部品交換の必要ななくなる、とのストーリです。

今回は接点グリスとしてトヨタ部品共販経由で仕入れた日本バーズ社製のコネクタールーブを使うことにしました。
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ラジコンで遊んで時のタミヤの接点グリスなども使いました。
少量でいいならこっちの方がリーズナブルかもしれません。

本来はヘッドライトコネクターなどに部分に塗って防水と抜き差しするときの滑りの良さを確保するためのものでグリス自体に導電性を持たせてあるというものです。
H4タイプのヘッドライト球のコネクターやキツキツでなかなか抜けないパワーウィンドウスイッチのコネクターなどにあらかじめ塗っておくと後日簡単に抜けるのでうちに入庫したお車には気がついたときには塗るようにしてます。

接点を磨き、グリスを塗って、レバーを取り付けた状態。
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この後は来た道を戻り元通りに組み立てたら完成。
最初はかろうじて2速だけ、それもガチャガチャやってやっと廻っていた室内ファンもちゃんと1~3速で調整できるようになり確実のエアコンランプも光るようになりました。
もうすぐ暖かい日がやってくるので先回りできて良かったです。
暑くなってから風が出なかったらイライラして事故の原因にもなりかねませんからね~

スズキ アルト ワゴンR スペーシアなどのフロントブレーキキャリパーオーバーホール作業

現車は日産ピノ つまりはスズキのアルトです。
平成19年式 走行65000㎞。
車検で入庫ですが以前からオーナーさんが整備時にはフロントブレーキのオーバーホールを希望されていたので作業しました。
1年前にフロントバッド交換とローター研磨は終えているので今回は割愛。
それ以外の消耗品に手を入れていきます。
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キャリパー取り付けボルトを2本緩めたら(このときは取りはずない)ブレーキホースとキャリパーとつないでるバンジョーボルト(ユニオンボルト)と呼ばれるボルトを外してホースを分離。
外すとブレーキフルードが垂れ落ちるので洗濯ばさみ式のフルード止めで垂れ落ちを回避。
外す前にブリーダーを緩めながらブレーキペダルを目一杯踏み込んで木材などでそのまま固定する方法でもOK。
但し作業中ブレーキランプは光ったままなのでそれに対する手当は必要かも。
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ホースが外れたらブレーキキャリパーを外してオーバーホール作業へ。
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まずピストンを抜くためにボルト穴からゆっくりエアガンでエアーを吹き込みます。
ピストン側にはウエストか段ボールとかゴム板などを用意してピストンに傷がつかないように。
なおかつエアーの入り具合でピストンが大砲の弾のように押し出されてきますから指を挟まないようにしないと危険です。
できるだゆっくり・・・
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抜けたピストン。
キャリパーシールが接してるところは黒いはちまきが。
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ピストンが抜けたブレーキキャリパー
摩耗したシールゴムとブレーキフルードが混じり合った状態です。
これ見たら2年に1回ぐらいはブレーキフルードを交換した方がいいに決まってる、と断言できます。
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シールゴム類を外していきます。
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この一本の輪ゴムでブレーキフルードが外に出てこないわけでディスクブレーキを設計した人はすごいなと感心します。
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キャリパーをきれいに清掃して組立開始。
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スズキはシールとピストンのセット部品を注文してもシールだけを注文してもさほど金額に差が無いので、うちではピストンごと替えます。
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組立方は整備士それぞれ自分のやり方を持ってますが自分はエアを吹き込むこの方法。
内部のシールリングをセット。そしてダストブーツをキャリパーにセット。
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ピストンをダストブールの上に置く
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ピストンを押さえながらフルードの穴よりエアを吹き込む。
するとアーラ不思議(笑)ダストブーツが膨らんでピストンに巻き付きます。
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そのままピストンを押し込んだらセット完了。
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この方式を始めた頃はなかなかコツがつかめませんでしたが一旦習得すると一番短時間で作業できます。
ま、人それぞれ慣れた自分のやり方が一番早いとは思いますが・・・
ピストンが入ったらなめらかに出たり入ったりするかのテストをして(これは結構重要)キャリパーは完成。
あとはせっかくオーバーホールしたのでパッドスプリングなども新調。
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スライドピンブーツも新品に。
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ブレーキパッドをセットしてオーバーホールしたキャリパーを取付。
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ブレーキホースを取付。
このとき2枚のガスケットは必ず新品にしましょう。
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ホースが繋がったらこぼれたブレーキフルードをクリーナーで洗い流して完成。
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これをもう片方も同じ工程を繰り返してフロントブレーキキャリパーオーバーホール作業は終了。
最後は配管内のエア抜きを兼ねてブレーキフルード交換まで。
実際の整備作業はこれ以外にもちろん後のブレーキメンテも。
そして補機類を駆動するベルトなども交換しました。
それ以外の消耗品類はオーナーさんが自己管理されているので当店ではここまで。
予防整備を兼ねた作業を重ねられているピノ(アルト)はほんとに快調です。
これでこそ自動車整備の見本のようなお車です。
お手伝いさせていただいてる当店も気持ちよく納車できます。
日本中の自動車がこう言う整備で快適に走って欲しいと常々願っています。