アルファード エアコンが効かなくなった

アルファード ANH20 平成25年式 走行約5万㎞
走行中に急にエアコンが効かなくなったというご一報で入庫しました。

 

この季節、エアコンが効かないとこの先とんでもないことになりますので、修理する側も
「早く修理してあげないと・・・・」
とちょっと焦ります。

エアコンが効かない場合の基本中の基本点検は配管内にガスがあるかどうか。

エアコンサービスステーションデュアルに接続してみるものの、この数値であればガス漏れしてアウト、という感じでもない。
0.6MPa(メガパスカル)というのは27℃という気温から判断すると
「まあそこそこガスは有るな」

ただエアコンのスイッチを入れてもこの値に変化は無い。
そうなるとコンプレッサーが動いてなさそう。

コンプレッサーの電磁クラッチに電気は来てるか?と診てみたら、このタイプは可変容量コンプレッサーが搭載されている機種で電磁クラッチはなくて、常に動力は伝わっていて、中の機構で0~100%まで能力を制御するタイプ。
外観からは判断できません。
コンプレッサーは後回しにしてふと見ると冷却ファンも回ってない。

ということは根本的にエアコンコントロールが全部止まってるような・・・
エアコンリレーは?と整備書を見てもエアコン回路にリレーは無い。

ということで次は診断機を接続。
するとエアコンの項目に故障コードが記録されていて「冷媒圧力異常」
数字で見ると3.221MPa!!

これが本当に配管内の値ならエアコンの配管が破裂しそうな勢い(笑)
でも実際の圧力は、カーエアコンサービスステーションデュアルで最初に測っていた0.6MPaだったのでこの時点で「はは~ん、なにかおかしいな」

圧力センサーは割と手の届くところに有ってラッキー。

 

整備書で正常な値を調べて、テスターで計ってみると、4.69V以下でないとだめなのに明らかに5V超えてる。

 

圧力センサーが配管内のガス圧に対して異常な電圧を出してるのはほぼ間違いないと判断したので部品を交換。
交換とはいえ、まずはエアコン配管内のガスを一旦回収しなければいけないので簡単に「外して新品に交換」、というわけにはいきません。

 

センサーを交換してガスを充填する前の儀式として真空引きをしながら診断機の値と読み取ると見事に一致。

よしよし診断は正しいようだ、と規定量にガスを充填
規定量750gに対して回収量515gということで235g追加。

ドキドキしながらエアコンをON。
いつもながらなんどやっても「治ったかな」とスイッチを入れる瞬間が恐い。

きっちり冷風が出てきてホッと一安心。

そしてガス圧チェック。
外気温に対して教科書通りの値です。

そしてセンサーが出してくる値もカーエアコンサービスステーションデュアルの高圧側の値とばっちり一致。
これで正常に戻った、と判断して修理完了。

オーナーさんから第一報を受けたときは

ガス漏れ??  ⇒  室内ユニットで漏れてたら高額修理
コンプレッサー不良 ⇒ 高額修理
もしかして電気的な制御部分の故障 ⇒ 診断大変

などなどストーリーをいろいろ考えてましたが、結果的にはエアコン制御の入り口で修理できたので悪魔のストーリーと比べて思いのほかお金がかからず復旧できてよかったです。

なによりもオーナーさんが一番安堵してました。
(10万円超えの修理費を覚悟しておられたようです)

本格的な夏を迎える前に症状が出てある意味ラッキーだったかもしれません。
気温が35℃超える日にこんなことになったら車を移動させるだけで熱中症になってしまいますからね。

そんなわけでアルファードは無事エアコンが冷えるようになり待ちわびるオーナーさんのもとへ帰っていきました。
生活に、そしてレジャーにとオーナーさん共々元気に暮らしてほしいもんです。

VOXY AZR60 のリフレッシュ

トヨタVOXY(ヴォクシー) AZR60 平成18年式 走行159000㎞

 

息子が子育て車を必要として3列シート車を用立てないといけなくなり、

「どうしたものか?現状は新車の遅延もあって中古車も高いしなあ~」

と思ってたらたまたまお客さんが乗り換えるというタイミングの良い話でVOXYを譲っていただけることに。 じゃあリフレッシュさせるために手入れして乗らせようと着手。

車の現状は管理させてもらってた車で整備歴は完全に把握できてたので、まあまあそこそこ整備したら乗れるだろうと。 なかなか現状は甘くなかったですね。さすが14歳15万㎞オーバー・・・ でも車は生身の動物ではなくとやかく制限が無ければ復活させることは可能、と見本車を作るべく足回りは除いて実用的に子育てが終わる頃まで乗れるよう方針を立ててみました。

まず気付いてたのはエンジンの振動が伝わること。

これはマウントと呼ばれるエンジンを車体から浮かす部品を交換すれば新車の時の静けさが戻るのでこれをするだけでまあ大丈夫かとたかをくくってたのが間違いの始まり。

自分基準で不具合箇所と目があいまくりでとんでもない作業量(部品代)になってしまいました。

通常のお仕事ならばお客さんの予算とかもあるのでどこまで手当てするかを調整しながら最後の最後は泣く泣く見送り,という結末もあったりします。

けれども身内の車となれば判断基準は「自分の満足のため」というヤバい流れで物語は進む・・・

最初はマウントだけのつもりだったのでその為にバッテリー外したりしてマウントへのアクセスを確保。

 

 

ところが運転席のマウント外そうとしたらウォーターポンプから水漏れの跡が。 通常であればここでお客さんに電話して追加作業の相談orしばらく乗れそうなので予算だてしといてくださいね、とお願いをするところなんですが自分で判断するため交換を決定。 交換のためオルタネーターを外すことに。

 

マウント交換のために外した部分は後回し

 

 

このポンプ交換というのが60系のノア・ヴォクシーはエンジンをずらさないと外れないですよね。 でもマウント交換するつもりだったので運転席側のマウントはあっさり撤去してエンジンをずらして交換。

 

 

ポンプを交換したのでこれはサーモスタットをついでに替えよう。

サーモスタット替えるにはラジエーターロアホースを外すので交換。

そうなるとアッパーホースも交換した方がええよね、と言うことでホースを外すとなんとラジエーターが劣化末期・・・・ 黒いはずの素材がこの色になってきたらもう寿命です。

ということでラジエーターおまえもか・・・ 外したら見えない部分も白く変色してきてて気付かず乗り出したらすぐにラジエーターからの水漏れで立ち往生してたでしょう。 気付くことができてセーフ。

 

 

新しいラジエーターが来たので交換。 懸案箇所が1箇所減って安心が増えましたが出費も増えます(笑)

 

 

そこら辺まで作業が進んでやっと最初の計画であったマウントの交換に着手。

 

 

ポンプを替えるために外したオルタネーター。

別に異常も異音もなかったんですが、距離を考えるのともし故障したときの取替作業を考えるとどうしてもこのまま古いオルタネーターを車に戻すのは我慢できずリビルトオルタネーターを発注。

また出費が・・・という横からの非難に耐えて、 「また安心が増えたし作業効率はすばらしく良かった」・・・と自己満足。

 

やっとこさマウント交換、ラジエーターを含む水回り全般、オルタネーター、補機類ベルト、など交換してエンジン冷却水を入れて一段落。

冷却水入れるときは診断機で水温見ながらオーバーヒートさせないよう要監視。 本来の仕事の合間にちょっとずつやってこの時点でもう7日目くらい。

 

 

エンジンオイルやフィルターも交換。

エンジンが掛かって走れるようになったので試運転。

最初に気付いたエンジンの振動は完全に止まってるのを確認して満足。

 

 

走る、曲がる、止まる、は一通り確認できたのでつぎはエアコンコンプレッサーオイルの交換。

スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルは配管内のフラッシングと同時に古いエアコンコンプレッサーオイルを外に出してくれるので実質的なオイル交換が可能。 透明なコンプレサーオイルが黄色く劣化してるのがわかります。 透明な新オイルを充填。

 

 

15万㎞オーバーCVTのフルードは一度も交換歴がなかったのでストレーナー交換も含めて全量圧送交換。 オイルパン開けて中の磁石に付着してる鉄粉など綺麗のお掃除。

 

 

 

 

交換が終わったらオイル量を調整するのですが、これまたややこしいやり方で交換時に80℃kらいに暖まったフルードの温度を冷まして30℃~40℃の間で測るというとてもめんどくさい方法。

もうちょっと他にやり方ないのかと思いながら自然冷却しか思いついてなかったところYouTubeでスポットクーラーを使うやり方を見させてもらってすばやく模倣(パクるとも言う) こりゃいいですね。 半日かかって冷ましてたのを1時間ぐらいで冷やせますね。

 

あとこのエンジンは燃料噴射の方法でどうしても煤がたまりやすい構造なので吸気管内部をこのケミカル剤を吸わせて清掃。

物理的に清掃する方法にはかないませんが何もしないよりは効果はあるケミカル剤なので施工。 ワコーズさんのRECSよりはエンジン回復が体感できますね。

 

 

そんなこんなでなんとか中古車リフレッシュが完了。

これ以外にも60系の弱点であるパワステギヤボックスのブッシュの劣化があったので対策ワッシャーを使って延命&コストダウン。

このあたりの交換か修理か対策かごまかしか(笑)はその時の状況で選択でしょう。

お客さんとのコミニケーションがしっかりできればリーズナブルな方法を選択することも可能ですね。

復活したVOXYは子ども(つまりは孫)の成長を見守りながらしっかり働いてくれることを願ってやみません。
しっかり働いてね~

カーエアコンステーション エアコン配管 フラッシング

70系ノア 平成23年 走行10万㎞

ご同業のご依頼で

「冷えが悪いのでコンプレッサーやらエキスパンションバルブ(エキパン)などは交換するのでフラッシングをお願い」

ということで入庫です。

バンパーなどは既に外した状態で入庫いただいたので当方にとってはその分作業を省略できるので助かります。
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エアコンコンプレッサーから配管を外してアタッチメントを介してスナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルに接続します。
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液体のままのフロンガスを配管内に圧力を掛けたり逆流させたり脈動させたりして汚れを洗浄して配管途中にフィルターを設置して鉄粉や異物を取り除きます。
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作動中の液体フロンガスの流れです。

 

 

 

そして作業後のフィルターはこんな状態
一目瞭然ですが上が新品ですね。
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そして回収された配管内のコンプレッサーオイルはこの状態。
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痛んだコンプレッサーなどの部品を交換してそのまま普通にガスを充填しただけならこの汚れがずっと回り続けるわけですからぞっとしますね。
70系ノアのガスの規定量とコンプレッサーオイルの規定量はこうなってます。
225ccが基準で実際の回収されたオイル量は200cc近いですからほぼ全量回収出来たと思います。
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作業後出てくる記録紙
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ツインエアコン車なのでリヤエアコン配管もあります。
その関係もあって実際フラッシング中には2000グラムを越える液体フロンが出たり入ったりして洗い流してます。

そしてこのカーエアコンサービスステーションデュアルのオリジナル機能であるフロンガスの精製装置で洗浄に使ったフロンガスを不純物と分離しまた配管内を流れることで洗浄するを繰り返します。
この機械でないとできない機能です。

配管内を洗浄と聞くと、壊れたときだけ,という風に思いますが,このコンプレッサーオイルの入替、が予防整備に繋がります。
エンジンオイル交換やATフルードの交換と同じようにコンプレッサーオイルの交換がこの作業、として考えるとわかりやすいと思います。

 

エアコンガスを規定量に保つのはもちろん基本です。
プラスアルファーで愛車を末永く乗るためにもこういうエアコン廻りの予防整備もどうでしょうか?

というわけでノアはご同業の所へ帰って行きました。

新しいコンプレッサーを取り付けたあと、そのお店のエアコンマシンをつかってきっちり規定量のガスを充填されて、しっかり働いてくれることでしょう。

キャリイのISCV・ECU交換など12月の総集編

12月って年末でなんか追われるとかいいますが、自分的には昔から普通の月末に連休があるって言う感じなんです。
4月から5月にかけてのゴールデンウィークと同じですね。

いつの頃からか「年末だから掃除」というのもなぜこんな寒いときに掃除をするのか?と思ってからやめて、3月とかちょっと温かくなってきた頃にするようにしてます。

「節目」というのは大事なのかもしれませんが毎日寝る瞬間が節目なんでそれもあんまりけzじめに感じません。
「月末」と言う節目が12回目=年末で、すぐに次の月が始まりますよね・・・

さて12月は前半はまったりでこのまま12月は終わるのかと売上的にも戦々恐々としてましたが、10日過ぎくらいからなにかしらせわしくなって今日に至るという感じで後半が気付くと28日でした。
そんなわけで個別ネタをブログに書くのもついついおざなりになったので総集編。

ニッサンエクストレイルのアウターハンドル交換のため内装を外して、
「今の車はビニールを貼ってなくてガラスを上げ下げする装置と蓋が一体化してるのか?」と驚いてみたり・・・
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同じようなパターンでヴィッツのパワーウィンドウモーターの交換。
ドアの内部は、こんな感じで大きな穴はビニールで塞いであって修理の時にビニールを外したりずらしたりして修理、と思ってたんでエクストレイルはびっくり。
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仕事が終わってくつろいでるときサンダーバードを見てて、ロケット太陽号の発射ランチとニューヨークのエンパイヤステートビルを動かすマシンが使い回しと言うことを見つけて大はしゃぎ。
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中古車屋でお客さんが買ってきたMRワゴン。
買った直後からオルタネーターをまわすベルトがスリップしてて朝一壮大な異音が鳴ると言うことで買った先の中古車屋さんに伝えるとちょこちょこっと診て「別に悪いとこ無いですよ」と帰ったとのこと。

それでうちに来てくれて診断したらベルトだるだる。
スズキのK6Aエンジンは「張りすぎか?」って思うくらいが適正な張り。
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ビシッと張ってるように見えてスリップしてるからこんなにベルトの削りカスが・・・
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同じようにベルトを交換するヴィッツ。
エンジンを車体にぶら下げてるエンジンマウントという部品を外さないと取り替えできない構造。
ぶら下げてる部品を外すんですからそのままだとエンジンが落ちます(笑)
外す前にエンジン支えてからマウント外す。
これが結構な手間=お客さんが払う工賃に跳ね返ります。
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ハスラー MR41Sの一部リコール出てます。
排気側バルブコントールソレノイドの交換。
整備要領書ではバンパー外すとなってますが知恵と工具があれば何とかバンパー脱着は回避。
無事交換完了。
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スチールホイールのホイルキャップから日光が当たる部分だけの錆。
他の自動車屋さんは
「気になるから簡単な補修をやってるで」
と教えてもらったのでチャレンジ。
確かに見栄えはいいなと二度感心。
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ポルテもCVTフルード交換、オイルパン洗浄&ストレーナー交換。
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ポルテあたりのトヨタ車でエアコンの内外気切替のダンパーが古くなるとねちゃねちゃして張り付いてしまい、内気になったまま動かなくなるので対処。
へばりつく部分のワセリンを塗って張り付かないようにしてみた。
部品替えてたらきりが無いので知恵で対抗。
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スズキのキャリイ DA63T。
アイドリングを調整するバルブ(ISCV)がショートしてコンピューターの基板まで巻き添えにしてコンピューター交換までになってしまうという割と有名な故障。
コンピューターそのものやバルブは中古品を必死の思いで捜索。

オーナーさんの日頃の行いが良かったので万に一つの巡り合わせで手に入って高額な新品部品を使うことなく修理完了。

捜索に時間掛かったけどリーズナブルに修理できて喜んでもらえました。
んで研究のため痛んだコンピューターを開腹。
診断通りの回路のトランジスターが焼けてました。
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ほんとはこのトランジスターを1個交換できればこのコンピューターは復活するんですけど、
・トランジスターに型番が書いてない
・どんなトランジスターを使ってるかを解析
・解析できたら入手方法を
・さて最低何個から買えるのか、
など調査が必要。

きっとその道の猛者とネットワークが繋がれば何とかなるのかもしれません。
コンピューターのケースそのものも開腹したら復元が結構辛い構造でもあるので今回はここまでにしときます。

あとこれ以外に27才のスカイラインのマスターシリンダー交換とか。
「部品があってよかった」
が最近のトレンドかも。

なんせ昨今は古い車の部品はすぐに製造廃止、手に入る予定でも納期未定とかざらにあります。

自動車部品も物不足が直撃してますから思いもかけず修理期間が延びる可能性があちらこちらに。
そんなときでもオーナーさんの日頃の行いが良ければ偶然が重なったりして、振り返ってみれば「よかったよかった」で全て丸く収まりますよ(笑)・・・

ちょっとした凹みが水漏れの原因

トヨタウィッシュ GZE20 平成21年式 11万㎞
車検でご入庫ですが受け入れ問診の時に
「ここヘコませたけど修理は必要??」
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と聞かれ
「年式も年式ですし塗装も割れてないのでこれにお金を掛けるなら消耗品に廻したらどうでしょう??」
とオススメしました。
整備ではオルタネーターのワンウェイプーリーが痛んでたり、ゴム周りの経年劣化による部品交換もそこそこ年式相応の費用が掛かったので鈑金修理は結果的にしなくてよかったなぁ、と思ってたんですが最後の車内清掃の時に大どんでん返し。
バックドアあたりの小物入れスペースを清掃しようと床板開けたら水浸し・・
「え~いつから??どこから??」と
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でも直感で「まさかあの凹みから??」
カンは当たりました。
このささやかな凹みのおかげでパネル同士の隙間が出来てそこから水が浸入したようで、隙間にパーツクリーナーを吹き込んだら室内に出てきました。
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裏側から見るとつじつまが合います。
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見た目の隙間の大きさからシーリング材で埋められる、と判断したので処置しときました。
なにげに軽く考えてると思わぬ展開が待ってるという教訓を得ました。
またひとつ経験値が上がりました。
毎日に勉強です……

トヨタ アリオン RAV4 信号待ちで室内からコトコト音が鳴ってるのが聞こえる

トヨタ RAV4 平成12年式 距離7万㎞
車検でご入庫です。
入庫時の問診で、お気づきの所は無いですか?とおたずねすると
「走ってるときは気にならないが信号待ちしてるとどこかで何かがコトコト鳴ってる」という話。
それ以外は別に異常を感じてないと言うことでいざ着工。
気になるのでまずは音を確認するために試走。
最初は内装部品の劣化(もう21歳)やエンジンを支えるマウントとかの劣化かな?と思ってましたが信号待ちで聞こえてきました。
シャカシャカ、コトコト、カタカタ、あたりの音。
またなにかしらエアコンの吹き出し口の温度が高いか低いかのどちらかに偏ってることを発見。
そうなると「はは~ん、あれか」。
というわけで帰って早速その部品を見てみると
本来指示された位置で止まらないといけないのにずっと動いてる。

この部品は各社呼び方は違いますが、エアミックスサーボとかエアミックスアクチュエーターとか。
トヨタの場合正式名称は「エアミックスダンパー」
内部の接点の摩耗により変な動きをするようになります。
この接点の摩耗ですが室内温度が高かったり低かったりすると設定温度に近づけるために目一杯回転します。
そして室内温度が設定温度に近づいてくると微調整に入ります。
この微調整してるときの幅が小さい上に細かく移動するため接点の同じ場所が摩耗してしまうんです。
この構造を持ってるモーターはメーカー問わず起こる故障です。
交換後中身を見て見ます
故障してるエアミックスダンパー
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外して単体にしました。
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爪を数カ所外して分解
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この回転するギヤの黒い部分が金属で出来た接点です。
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この黒い部分を接写していくと一部黒い金属が摩耗して土台のプラスチックの色になってるのがわかります。
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色が変わってない部分でも接点が触っていたところが摩耗して溝になってるのがわかります。
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接点の金属部分が無くなるため結果的に接触不良が思ってる状態になるため、自分の回転位置を見失ってしまうわけです。
ネットなどのDIY記事を見ると、接点についてるグリスが原因で接触不良になるのでグリスを清掃して組み直したら治ったというのが結構ありますが、接点の消耗についての記述がないのでたぶん再発します。
根治させるには交換するのが最良の方法です。
もっといいのはこのギヤ部分だけ単体で部品が出たらリーズナブルな修理方法を選べるのですが、残念ながら部品設定はありません。
新しい部品の動作状態の動画です。
ピタッと所定位置にに止まります。

音も無くなりエアコンの効きも快適温度になるのが早くなりました。
車検にまつわる作業も標準的な消耗品
ブレーキフルード
エンジンオイル
オイルフィルター
点火プラグ
エアコンフィルター
ワイパーゴム
冷却水強化剤
などなどで終了。
RAV4はオーナーさんの元へ元気になって帰って行きました。

ラクティス エアコンガスリフレッシュ

6月も半ばです。
去年の頃を考えるとまだうだるような暑さとは言えない日々が続いてますがゆうちょなことを言ってられるのもあとわずかで、それこそ死ぬような暑さがもう目の前。
ラクティス 平成21年 走行10万㎞です
エアコンのガスをきっちりとしたグラム数に合わせたいというご依頼でご新規さんのご来店です。
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何回かワコーズのエアコン添加剤を入れたことはあるとのお話しでその場合缶の中に入ってるガス分で多少は追加されてるという状態でしょうねとお話ししながらエコマックスJrⅡを接続。
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接続しながら本日の外気温を測定
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施工前のエアコン吹き出し温度を測定。
全然冷えてない、てなことは無い状態です。
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ガスをエコマックスに回収して真空引き。
配管内の不純物やら水分を完全除去した後規定量の新ガスを充填。
そして施工後のに再度吹き出し温度を測定
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同じ条件で3度下がれば冷え冷えですね。
ちなみに充填したガスは40グラム
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想像したとおりいままで何もしてないお車よりは明らかにガスは入ってました。
その上でまだ吹き出し温度が下がるのですから同時に施工した添加剤もよく働いているようですね。
さて夏本番。
あの大阪の夏がやってきます。
少しで快適な車内を得られるためにもエアコンガスの規定量充填は必須です。
ぜひ当店にご相談ください。
※ 2022/05/22 追記
ガスの規定量充填を純度の高いガスで行えるスナップオン社製カーエアコンサービスステーションDUALPROという整備機器を導入しました。

こちらへどうぞ
大阪府泉大津市本町5-23
二葉モータース
0725-32-1741
※ 外国車は扱っておりません。

パッソ KGC10 のショックアブソーバー交換

トヨタパッソ KGC10 平成19年式 走行5万㎞
走行中ごつごつとショックが有るにもかかわらず何かとふわふわ感があるということでショックアブソーバー交換のご依頼です。
国産車で高級なショックアブソーバー以外の選択肢は純正かカヤバ社製のNewSRあたりに落ち着きます。
今回もNerSRをお客さんの希望でチョイス。
一昔前は純正以外のどこかの外品、が定番でしたがいまは純正部品の性能もそれなりなので足まわりをリフレッシュするには純正も充分選択肢に入ります。
では交換していきます。
パッソの作業をするのは初めてで、さてどこから外すのかとみるとアッパーマウントのナットは2個。
でも工具が入らない。
組み立てたときはどう組み立てたのかを考えるとそれらしい構造が見てきました。
はは~ん、なるほど。
あらすじが見てきたので作業を進めます。
まずはカウルトップと言われるワイパーの下のカバーから外します。
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そうしたらここに黒いキャップが。
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そこから工具が入る構造です。
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あとは下のボルト・ナットをはずせばショックアブソーバー本体の取り外し完了。
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このとき水準器を分解前にセット。
交換終了時に分解前の角度に戻せるようにしておくと最終調整がとても楽ちんになります。
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外れたら今度はスプリングを特殊工具で縮めて各部品に分解。
本体と同時にゴムでできた部品は全てこの機会にリフレッシュです。
お客さん曰く、他所で相談したらショック以外交換する必要ないですよ、といわれたそうですが、自分は??と思います。
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組み替えが終わったので車の装着。
このとき最初にセットした水準器を元に取り付けると分解前に元通り。
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この作業を前側で左右とも行ったら次は後側ですね。
後側もスプリングの上下にゴムのサポートが使われてるので同時交換。
足まわりをジャッキで支えて一旦下げきります。
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あとはイケヤフォーミュラー(ikeya formula)製のホイルアライメントテスターを使って最終微調整。
車は違いますが同じ作業風景
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あとはアライメントの調整結果が正しいかどうかを実走行して自分の感覚でチェック。
数字と感覚の両方面で自分が納得するまで・・・
こうしてパッソはリフレッシュされた足まわりでお客さんの手元に戻っていきました。
大事に末永く乗ってくださいね!!

ラウム ヘッドライトがハイもローも点かない

トヨタラウム 平成19年式 走行76000㎞
お客さんからの第一報は「ヘッドライトが点かないんです」
おおよそその時点で自分の頭の中の診断コンピューターは「球切れ」
をはじき出しますが、そこでさらに問診
「片方ですか?両方ですか?」
「両方です」とお客さん。
この時点でちょっと診断ルートが変わってくる。
「ハイビームにしたらどうですか?」
「ローもハイも点きません、ただパッシングしたらは点きます」
今までの材料で思いつくのは
・ ヒューズ
・ 配線切れ
・ ヘッドライのスイッチ
・ ややこしい思いもかけない原因
と最悪なコースを想像して暗くなります(笑)
とりあえず入庫してくださ~い・・・
お客さんが来るまで回路やら配線図を用意して備える。
ついでにインターネットで同じような症状がないか調べる。
調べるコツは「ラウム」で調べると販売台数が少ないので、同じような車格のメジャーな奴で調べる。
例えば「カローラのヘッドライト点かない」とか。
そしたら症例を発見。
ヘッドライトスイッチの接点焼け
先駆者のおかげでちょっと診断のショートカットさせてもらいました。
ありがとうございます!
入庫してきたラウム。
お客さんの言うとおりの症状です。
というわけでショートカットさせてもらったスイッチを外して点検してみます。
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スイッチにたどり着くにはエアバッグを外さないといけません。
外すためには配線を切り離すわけですがこの作業が大っ嫌い。
エアバッグの「誤爆」を想像してしまって恐いんです。
誤爆しないためにこの黄色の安全レバーをまず引き起こして回路から遮断。
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そして本体からコネクターを抜く
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たったそれだけなんですが、何か起きないかといつもビクビクしてます。
そのコネクターの処理が終わればあとは機械的な分解。
ステアリングホイール(ハンドル)を外します。
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そして附属品やらカバーやら
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そしてお目当てのヘッドライトスイッチ
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先駆者のページで見たのと同じように透明なカバーの左上が黒く焦げてます。
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カバーを外してみたら3個ある接点の一番左がライト全体の電気が流れるメインの接点でこれが経年劣化で接触不良を起こしてヘッドライトのロービームもハイビームも点かなくなったのでした。
パッシング動作は別回路を通るので点灯したんですね。
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と原因がわかれば後は新しいスイッチに交換して元通り組み立てれば一件落着。
先にカローラの記事をあげてくれた人に敬意を払って、「ラウムのヘッドライトが点かない」、と検索した人がこの記事にたどり着きますようにブログに書いときます。
夜に走らないといけないことがあったらどうしようとドキドキしてました
と喜んでくれたお客さんの大事な足となって活躍するためラウムは帰って行きました!

トヨタ ウィッシュ エアコンの効きが悪い エアコンガス量をきっちり補充する

ゴールデンウィークが明けると、日本国中の人達が「エアコンが冷えない」という検索を始めるのでしょう。
エアコンガス規定量充填サービスのページがたくさんある当店のブログのアクセスが伸び始め、8月の終わり頃まで結構な方がブログをちらっと覗きに来られているようです。
エアコンが冷えない原因はいっぱい有るので単に
「エアコンが冷えないんですけど」
と電話やメールでお問い合わせ頂いても「推測」は出来ても確固たる原因診断は難しいです。
故障箇所が断定できないので
エアコンの修理代金はいくらか?ざっとでええねん・・・
とのお問い合わせに対するお返事も、「あえて言うなら1万円から20万円の間ぐらい」としか言えません。
エアコンが冷えないとなったら信頼の置けるお店へ現車を持って診断してもらいに行く方が結局時短になると思います。
はっきり言えるのは診断の第一歩はエアコンのガスが設計通りのグラム数で入ってるか?からですね。
今回のエアコンガス規定量充填サービスのお車はトヨタのウィッシュ。
ZGE20W 平成23年 走行約11万㎞。
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本来は別のお客様のご紹介でご新規さんご入庫。
ブレーキのディスクローターの研磨修整でお仕事を頂きましたが、エアコンガスの話になって
「新車から一度もエアコンガスに関わる点検も診断も受けたことないから」
ということで同時作業でお受けすることに・・・
ウィッシュのエアコンガスの規定量はシールに書いてあるとおり
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エコマックスジュニアⅡを接続
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規定量をセットしてスタート
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エアコンの冷えをよくする添加剤も作業中に同時注入できるので便利な機械です
当店ではPitwork性のNC200を使っています。
これはnutec社のOEM商品です。
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エアコンガス規定量充填サービスの動作は
ガス回収⇒精密はかりで回収量測定⇒
そのまま真空引き⇒規定量充填(添加剤同時注入)
という流れです。
この流れで真空引きした後に規定量注入が最重要点。
これによってメーカーが設計したとおりのガス量をきっちり注入できるんです。
これは普通にガスを注入、では重さがわかりませんから安易なガス補充は余計に冷えを損なう恐れがあります。
「ガスがグラム数でどれだけ入ってるか?」
がエアコンには重要なのです。
よく見るツインメーターのあのマニホールドゲージでは「重さ」はわかりません。
エコマックスジュニアⅡのガス充填工程の最後の方をYouTube動画としてリンク張っておきます。

最終的には規定量の半分ぐらいしか残ってなかったと言うことで、これでこの夏はギンギンに冷えた室内で快適な通勤をしてもらえると思います。
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ブレーキの異音も解消されてると思います。
Wさま 今後ともお付き合いの程よろしくお願いします。
595-0063
大阪府泉大津市本町5-23
二葉モータース
TEL 0725-32-1741
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