9月ヘッドライト下向き測定での検査場混乱で暫定処置

9月1日からヘッドライトの光軸測定のルールが変わって大混乱していた全国の車検場ですが、あまりにも実態を無視したルール変更で、検査員も整備士も立場は変われど異口同音で現場から悲鳴が発生した模様で、国土交通省から、暫定処置の通達がでました。
お役所文章なのでわかりにくいですが転記

すれ違い用前照灯の計測において、右側もしくは左側のみを計測した時点で不適合と表示された場合は、計測困難な自動車と見なして走行用前照灯での計測をするものとする。
この場合において、走行用前照灯を計測し不適合となり再検査で再度計測する場合はすれ違い用前照灯又は走行用前照灯のいずれの方法で計測しても差し支えない。

つまりは下向きで不合格になっても上向きで測定し直して上向き基準に合格なら当面許そう、と言う趣旨ですね。

これはこれで我々現場からすると再検査の手間が省けるので車検場滞在時間が短縮されて大助かりなので大歓迎です。
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けれども、そもそもこんなごたごたが起きること自体問題は別にあります。
というのも上向き(ハイビーム)はほぼ確実に向きをとらえることできますが下向きでヘッドライトの光軸を計ると言う計測機器の技術があまりにも曖昧だからです。
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検査というのはどんなものでも基準値と照らし合わせてどれくらいずれているかを調べるものです。

その検査基準が測定機器の間でばらついていたらどうでしょう?

血液検査でAと言う機械とBと言う機械で測定値がずれる、みたいなものです。
現実にお友達の自動車整備工場の方が1コースと2コースの計測値のずれを発見して検査場に指摘してみましたが、検査場は「テスター屋さんに校正を任せてある」とのこと。

そりゃそうでしょう。
検査員のレベルでは測定機器の保守まではできずに専門家(テスターメーカー)に依頼するしかない。
その専門家ですら完全に計れない、と本音を漏らすのですからね(笑)

いくら校正をかけても対象となるヘッドライトの形状やら反射板の設計で下向きの光軸は測定機器によって幾通りも「計り損ねる」のです。
検査場では問題に対して打つ手がないのが実態です。
その結果こんな暫定処置を通達せざるを得ない状況なのです。

実はヘッドライトに関して法律的には原則
「上向きで走行」
対向車に幻惑を与えるような場合のみ
「下向きに切り替える」
というのが本来のルールなんです。

昨今、警察方面では事故防止のために「暗い道路ではできるだけ走行ビーム(上向き)で走ってください」と指導してます。

国土交通省では下向きでの測定で上向きの照射方向の基準を事実上撤廃したので同じ。
ちまたでいっぱいある行政の縦割りはここでも発生してます。

一般市民からしたら「どっちやねん」と突っ込みを入れたくなります。

自分は歩行者をひいたりしないためにもこまめにヘッドライトを切り替えます。
すこしでもまわりに迷惑が掛からないのならわずかな時間でもハイビーム走行します。

そこを邪魔臭がってずっとロービームで走ってたら事故に繋がると思うからです。
特に狭い道路ではハイビームで走ります。

人間50歳にもなると明暗反応が鈍くなってヘッドライトはできるだけ明るいものが欲しくなります(笑)
高速道路は、対向一車線の高速道を除いて、設計時点でガードレールの高さを工夫したり、道路自体に段差を付けるなどして対向車にハイビームの光が届かないように作られてるって知ってましたか?

前に車が居ないのなら対向車が居たってハイビームで走ってもかまわない仕組みになってるのです。
高速道路で前に車が居ないときはがんがん積極的にハイビームにした方が身を守りますよ。

普段ハイビームにしたこと無い、という人も多く居られますが、一度試しに市街地や住宅地に中でも切り替えてみてください。
「こんなに周りがよく見えるんや」と感動しますよ。


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カテゴリー: 日常の出来事など   作成者: てんちょー パーマリンク

てんちょー について

専門家や職人は仕事の話をするときに専門用語やら隠語を使わないとお客さんと会話できないという習性に疑問を持ち、自動車に関して自分の知ってることや機械の原理をいかにわかるように説明できるかを考え続けてるちょっと変わった自動車修理の職人。 仕事の質ももちろん、その仕事の内容をお客さんに理解してもらうことを自分自身の生き甲斐にしてるおっさんである。

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