アルファード エアコンが効かなくなった

アルファード ANH20 平成25年式 走行約5万㎞
走行中に急にエアコンが効かなくなったというご一報で入庫しました。

 

この季節、エアコンが効かないとこの先とんでもないことになりますので、修理する側も
「早く修理してあげないと・・・・」
とちょっと焦ります。

エアコンが効かない場合の基本中の基本点検は配管内にガスがあるかどうか。

エアコンサービスステーションデュアルに接続してみるものの、この数値であればガス漏れしてアウト、という感じでもない。
0.6MPa(メガパスカル)というのは27℃という気温から判断すると
「まあそこそこガスは有るな」

ただエアコンのスイッチを入れてもこの値に変化は無い。
そうなるとコンプレッサーが動いてなさそう。

コンプレッサーの電磁クラッチに電気は来てるか?と診てみたら、このタイプは可変容量コンプレッサーが搭載されている機種で電磁クラッチはなくて、常に動力は伝わっていて、中の機構で0~100%まで能力を制御するタイプ。
外観からは判断できません。
コンプレッサーは後回しにしてふと見ると冷却ファンも回ってない。

ということは根本的にエアコンコントロールが全部止まってるような・・・
エアコンリレーは?と整備書を見てもエアコン回路にリレーは無い。

ということで次は診断機を接続。
するとエアコンの項目に故障コードが記録されていて「冷媒圧力異常」
数字で見ると3.221MPa!!

これが本当に配管内の値ならエアコンの配管が破裂しそうな勢い(笑)
でも実際の圧力は、カーエアコンサービスステーションデュアルで最初に測っていた0.6MPaだったのでこの時点で「はは~ん、なにかおかしいな」

圧力センサーは割と手の届くところに有ってラッキー。

 

整備書で正常な値を調べて、テスターで計ってみると、4.69V以下でないとだめなのに明らかに5V超えてる。

 

圧力センサーが配管内のガス圧に対して異常な電圧を出してるのはほぼ間違いないと判断したので部品を交換。
交換とはいえ、まずはエアコン配管内のガスを一旦回収しなければいけないので簡単に「外して新品に交換」、というわけにはいきません。

 

センサーを交換してガスを充填する前の儀式として真空引きをしながら診断機の値と読み取ると見事に一致。

よしよし診断は正しいようだ、と規定量にガスを充填
規定量750gに対して回収量515gということで235g追加。

ドキドキしながらエアコンをON。
いつもながらなんどやっても「治ったかな」とスイッチを入れる瞬間が恐い。

きっちり冷風が出てきてホッと一安心。

そしてガス圧チェック。
外気温に対して教科書通りの値です。

そしてセンサーが出してくる値もカーエアコンサービスステーションデュアルの高圧側の値とばっちり一致。
これで正常に戻った、と判断して修理完了。

オーナーさんから第一報を受けたときは

ガス漏れ??  ⇒  室内ユニットで漏れてたら高額修理
コンプレッサー不良 ⇒ 高額修理
もしかして電気的な制御部分の故障 ⇒ 診断大変

などなどストーリーをいろいろ考えてましたが、結果的にはエアコン制御の入り口で修理できたので悪魔のストーリーと比べて思いのほかお金がかからず復旧できてよかったです。

なによりもオーナーさんが一番安堵してました。
(10万円超えの修理費を覚悟しておられたようです)

本格的な夏を迎える前に症状が出てある意味ラッキーだったかもしれません。
気温が35℃超える日にこんなことになったら車を移動させるだけで熱中症になってしまいますからね。

そんなわけでアルファードは無事エアコンが冷えるようになり待ちわびるオーナーさんのもとへ帰っていきました。
生活に、そしてレジャーにとオーナーさん共々元気に暮らしてほしいもんです。