オイル鉄粉吸着くん

自動車に使われる液体、例えばエンジンオイル、ATフルード、CVTフルードなどなどで同時によく耳にするのは「鉄粉」という言葉。
自動車のエンジンやら駆動系は金属同士の接触があるのでその削れ屑がでます。
それらを機械の外に排出するために「~オイル交換」とか「~フルード交換」という作業が発生するわけです。

これらを定期的に行っておけば削れ屑などもたまること無く機械類は元気に調子よく働いてくれるので長期的見てもお金儲けであったりするんです。

この鉄粉というもの、マニアチックな人からすると一度フルード類に混じったらできれば再循環して欲しくない願望がありますし、実際変速機の中にはメーカーが再循環させない効果を期待して磁石を組み込んであったりするわけですから寿命延長には間違いなく効果があるんでしょう。

無段変速機の内部にこんな磁石が組み込まれてますよ。

 

さてエンジンはというとそこまで気を遣わなくてもいいのか磁石による鉄粉除去というのはあまり採用されてないみたいです。
でもちょっとしたチューニングパーツとしてはオイルフィルターに磁石を組み込んだものが売ってたりします。

こういうものはエンジンで鉄粉が再循環して欲しくないマニアチックな人の気持ちをくすぐるんですよね。

まあ自分もどっちかというとそっち系の人間なのかもしれませんが磁石にはいろいろ期待してしまいます(笑)

たとえばオイルフィルターに磁石を組み込んだものと言えば
PIAAのツインパワー+マグネット
が有名です。
一度中身を分解してみたことがあります。
この2種類のフィルターに挟まれてるのが磁石ですね。

 

あとはオイルのドレンボルトに磁石を組み込んだものとか・・・

 

 

そして本題のオイル鉄粉吸着くんというダイレクトな商品名。

はちまき型磁石」(笑)    Amazonで売ってます

実はこれを購入してしばらく使ってたんですよ。
オイルフィルターは普通に純正品でこの磁石は外側に巻くだけという手軽さが気に入って買いました。
そして今回フィルターを交換するに当たって殻割りして中を確認。
あまり期待してなかったんですが、それらしきものはちゃんと吸着されていました。

これなら工具とかリフトが無くてもがんばれば自分で取り付けすることができて、なにかしらの鉄粉除去には交換があるのでは?と思いました。
普段お取引のあるお客さんなら買って持ってきてくれたら取り付けますよ!

 

まあ小手先の磁石よりは定期的なオイル&フルード交換が最強なのは間違いないですが、それでも通常より一層効果が欲しい人はこう言うもので遊んでみてはいかがでしょうか?

 

 

スズキ バレーノ 車検 ブレーキ廻りの整備

スズキ バレーノ 平成29年式 約4万㎞
車検でご入庫です。

 

普段の自動車メンテについては充分ご理解のあるユーザーさんなので基本的な消耗品は自己メンテ。
当方ではブレーキ廻りなどを手入れさせていただきました。

ホイルを外しブレーキ廻りを目視。
第一印象としては大阪を走ってる車としては錆が多め。
これはこのお車の使用環境で潮風の影響ですね。

ブレーキのパッドは残りそろそろ交換の準備をしておこうかなという段階。
リヤのブレーキシューは残量まだまだOK。
距離からするとスタンダードな状態です。

 

という状況をつかむためには後ブレーキはブレーキドラムを外さないといけないのですが、錆が多めなので結構固着してます。
車検をお世話させていただくのは2回目なので前回車検時にはそれなりに固着対策はしてますが使用環境によっては固着の方が勝ってしまいますね。
なので取り外し用のサービスホールにボルトをねじ込んで物理的に力技で外します。

外したあとのハブは錆びてます。
これが固着の原因なので錆落としは必須。

 

ブレーキドラムの錆は機能的に問題ないレベルですが自分自身の基準に当てはめると気になるので錆落とし&防錆は次回までの固着対策としてやっておきます。
もちろんその前にはブレーキ内部のシューあたりの摩耗粉落としも。

 

前のブレーキも錆落としと各部清掃。

 

フロントブレーキキャリパーとピストンの間に錆が発生してないかピストンを伸ばして点検。
伸ばしたついでにピストンの摺動をよくするため専用のグリスを注入。
そのグリスを行き渡らせるためにピストンを初期位置まで押し込んで同時に動きがなめらかなのかを確認。

 

キャリパースライドピンと呼ばれる部品は若干の錆発生してました。
ここが錆びて固着するとブレーキの効きに影響するのできっちり手当てしておかないとだめです。
ピンの入る穴の内部をしっかり清掃して、ピンにもきっちりグリスを塗って所定の位置に戻します。
そしてブレーキ全体を復元して前回りのブレーキも完成。

スライドピンは低価格車検ではコストと時間の兼ね合いで省略されがちな部分です。
うちで管理させてもらってる車は固着まで行ってるのは見たことないですが、他所からやってきたお車では固まってしまった状態で入庫してくるのも散見します。

 

ブレーキ廻りの仕上げはブレーキフルードの交換。
これも地味な消耗品ですがそこそこ大事な働きをしてるので車検ごとには交換するようにした方が余計な故障を発生させないで済みますよ。
最初は透明、使ってると黄色くなってきます。

 

ご用命の中にエンジンオイルの交換があったので作業。
ドレンボルトを抜いても全部のオイルが出てこないので真鍮パイプを曲げたオリジナル工具(笑)を使ってオイルパンの底に残ってるオイルを吸引してます。
これなら全量交換できます。
バレーノは残りが多めで、400ccほど抜けました。
全量が3リットルぐらいなので普通にやってたら90%しか抜けてないことになりますよ。

 

整備はこれでほぼ終了です。
バレーノはしっかり通勤の足として働いてくれることでしょう。

 

あとついでにバレーノの配線の中で初めて見るコネクターを発見したのでどういう風に外すのかと実践してみました。
普通にロックを押しても全然抜けなくてしばし思案してしまいました。

よ~くみてたらこの黄色を何とかすればいけそうと気付きごそごそして答がわかりました。
黄色を一旦引き出して底から真ん中のロックを押すんですね。

 

わかってしまえば「な~んやそうなってるのか」ですが何事も新しいタイプと遭遇すると最初は手順が引っかかります。

また1つコネクターの抜き方を勉強できました。

つぎからは大丈夫!

 

 

エクストレイルのフロントガラス交換

エクストレイル 平成24年 走行46000㎞

飛び石にてフロントガラスひび割れでご入庫です。
いつもながらパンクと飛び石はほんとに「運」だなと思います。
事故に近いぐらいの確率だと思うのですがこればっかりは運転されてる方がどんなに気を遣って運転しても避けられない事象です。

自分自身も高速道路走行中に経験がありますがバシッと音が鳴ったら「あ~大変」という感じで落胆ですね。

 

フロントガラスは「合わせガラス」といって2枚のガラスの間にフィルムを挟んだサンドイッチ構造になってるので決して砕けて飛び散らないようになっており、これは事故の時乗員がフロントガラスに頭や首をぶつけて致命傷にならないために装着が義務付られているのです。
その結果ガラスの価格が高くなるんですね。
一発石に当たると10万円、てなイメージです。

ここ最近はもっと大変で自動ブレーキ廻りのカメラやらレーダー装置が装着されてるとガラスがさらに高価な上、エーミング(方向調整)も必要になるのでもっと価格が上がります。

ほんとに車両保険は必須だと思います。
ある日突然 石」 が飛んできただけで20万円、といわれたら悲しいですよね。

 

さてエクストレイルですが幸いなことに車両保険を付保されていたので交換になっても当面は負担金無しで修理できました。
まずは破損したガラスを取り外します。

意外に一般の方には知られてないのですがガラスは車両に「接着」されているんです。
つまりは貼り付けられているので接着剤を切り取ってガラスを外します。
当店はガラス交換については腕のいい専門の業者さんにお願いしてます。
先代の頃からのお付き合いなのでほんとに長いことお世話になってます。
職人さんの手際がいいので見てて気持ちいいです。

ガラスが外れました。
車体に付いてる黒い筋の部分が接着剤です。
ガラス側をアップすると割れたガラスと接着剤の様子がわかります。

新しいガラスに接着剤を塗って車両に取り付けます。

接着剤を塗ったらいよいよ車両の所定の位置にガラスを装着。
その部分は動画を撮らせてもらったのでご覧ください。

取付が終わったらガラスの縁などの附属品やらを新しい部品で復元します。
このあたりまで来るとほぼ元通りになってきた感があります。

そして最後はワイパー廻りなどの部品を復元して完成。
接着剤を使ってるのでこのあとはしばらく安静にしておきます。
でないと車って走ると意外に車体がねじれてるもんなんですよ。
なので接着剤が乾かない間に走行などしたら接着剤とガラスの間にすきまができて水漏れの原因になってしまいます。

理想は12時間以上絶対安静ですね。

 

というわけでエクストレイルは待ちわびるユーザーのもとへ帰っていきました。

月末に田舎に帰省する予定だったそうでガラスが治らなかったらどうしようとドキドキされていたそうです。
無事走れますよ~