初代アルトワークス 18回目の車検

いまだに動態保存してる初代アルトワークス。

この世にアルトワークスとして発売開始された初代モデルです。
72ワークスとも呼ばれたりもします。
排気量は550cc。

昭和62年式ですから36歳。
この度18回目の車検。
うちに出入りする新車や部品屋さんの営業さんたちはワークスより若い人が増えました(笑)

記念撮影代わりに作業中の写真をブログにあげときます。

前のブレーキ。
この時代からちゃんとディスクブレーキです。

エンドレスのパッド。
まだ手に入るのかな?

ピストンの錆は避けたいので注油を念入りに

後のブレーキ。
軽自動車で後の車軸に割ピンを使ってる車はほんとに見なくなりました。

何回か車検以外でもブレーキ廻りの作業でブレーキフルードを入れ換えてますので最低でも18回以上のフルード交換。

消耗品は都度交換してるのでローテーショ的にギヤオイル(ミッションオイル)の交換をしようと抜いたらビックリの色です。
以前交換したのが10年くらい前で、走行距離にしたら3万㎞ぐらい。

んで整備マニュアルを見ると、この頃のマニュアルミッション車のメーカー指定交換距離は2万㎞・・・
昭和のあの頃の基準はこうなのか~と時代を感じました。
それよりも「まだ3万㎞か」とたかをくくって交換してなかったらあかんやん、という話です。
交換してよかった。

リヤシートのノブが風化して割れて行方不明になってました。
もうさすがに部品なんか製造廃止やろうなと思いつつ問い合わせてみるとまだ出ました。
聞いてみるもんですね。


令和5年7月から車検期限を示すシールを貼る位置のルールが変更になりましたので所定の位置に張ってみましたが、ガラスの面積が今どきの車に比べて小さいのでシールがでかく見えます。

ご老体なので長距離の走行は控えてますしあんまり頻繁に動かすわけでも無くバッテリーには不利な状態です。
屋根のあるガレージ保管で太陽には当たらないので、ガレージの屋根にモーターボート用の全天候型ソーラーチャージャーを乗っけて、そこから配線してコネクターで接続。
乗るときにコネクター外して乗る、という運用をし始めてからいつでもセルモーターは一発でなおかつ電圧計は規定値上限で乗ることができてます。

部品が手に入らない箇所の故障が起こらないことを祈りつつ末永く動いてほしいもんです。

E12ノート ニスモ エアコンの風が冷えたり冷えなかったり

ニッサン ノート ニスモ
型式 E12 走行4万㎞ 平成28年式

通勤用のノートで連絡いただいた第一報では、

仕事帰り炎天下に駐車後乗るとエアコンの風がいつもよりぬるい。
A/Cボタンを押してコンプレッサーを切ると明らかに冷えないので冷やそうとはしてると思う

とのことでした。

入庫するまでいろいろ原因を推測。

・ 冷えないからエアコンガス漏れ?⇒数ヶ月前に車検してエアコンガスもきっちり規定量入れた。
・ コンプレッサーのマグネットクラッチ不良?⇒それなら冷やそうとしてると思うというオーナーさんの表現とは一致しない。
・ 温度センサーの誤動作⇒自己診断でわかるかも

などなど頭の中のカンピューターはいろいろ提案しますが、実車を見るまでのいつもの推測祭り。
この期間が結構辛かったりします。
思いも寄らない原因やったら探すの大変やろうな~と不安ばっかり・・

というわけで入庫しました。

入庫したときには冷えてました。
ノートなどの日産車は車自体に自己診断機能をもってるのでまずそれを使ってみると異常はありません。
制御系統は実際診断してみるとそれなりに動いてそうです。
コンプレッサーもしっかり動いてるしなにより低圧側のパイプはキンキンに冷えてますので冷やす機能はちゃんと動いてそうで念のためガス圧も診断しましたが大丈夫。
じゃあなぜ冷えないか、ぬるいか、を考えると冷風と温風の割合を制御するエアミックスドアあたりかなと推測。
根拠はないけどそんな予感がしたので、一度エアコンパネルで温度をフルホットに、風量最大で温度を下げていくとぬるい風になったままに!

やっぱりここか

整備マニュアルとみるとエアミックスドアを制御開いてるアクチュエーターは足元

どうやら動こうとしてるんですが力がなくて風圧にまけてるようでした。
ほぼ断定できたので部品を注文。
部品番号の末尾がAからBに変わってますね。
27732-3VA0A から 27732-3VA0B
その下の数字はきっと製造年月日

整備士は部品番号が変わってるとなにかしら安心する習性があります(笑)
きっと不具合が重なったから改良されてるんだ、原因はこの部品に間違いない!!
となるのです。

そして交換はビスを2本緩めて交換するだけ。
念のためフルコールドの状態で一度外してきた部品の軸の位置を確認。
同じ位置だったのでそのまま交換。
場所がずれてたら初期化とかいろいろありそうだったのでその気配もなく無事作業完了。

最大風量でもしっかり冷風が出るようになりました。

これでこの夏も冷気全開で過ごせそうです。

さて定番の「壊れた部品の中身を見よう」のコーナー(笑)

残念ながら今回は見ただけではどこが不良なのかわかりません。
接点が不良になったのかモーターが力不足になったのか。
構造的にはとてもオーソドックスなエアミックスドアアクチュエーターの構造をしてます。

原因がいまいち絞り込めなかったのは残念でしたが一件落着!

セドリック ブロアファンが時々回らない

Y32セドリック 平成3年式

エアコンの室内ファン、ブロアファンが時々回らなくなると言うご一報をいただいてましたが、なかなか故障の再現性が無くしばらく乗ってもらってましたが、いよいよ症状が確実に出るようになって、最大風量で無いと回らないという状態でご入庫。
正直故障の状態が目の前で見られるというのは整備するものにとって最高のプレゼント。
診断して故障を手当てして元に戻ったということが確実に判断できるのでありがたいことなんです。

さて入庫してもらったので診断開始。
事前に故障事例などを調べていましたが「回りっぱなしになる」という症例が結構あり、原因はファンの回転を制御する半導体部分にあると言うこと。

今回はちょっと症状が違うので自分としては半導体部分なのか「どうかな~?」という不安がいっぱいでした。
モーター側が悪くなってるということも考えられますし、回れという指示を出すコントローラー側に問題があるのかもという状態でした。

電気的な流れは
回れという指示 ⇒ 半導体 ⇒ モーター
という順番なのでそのあたりからチェック。

またオーナーさんは予防整備に理解あるのと、旧車なので部品があるうちに替えといて、というお気持ちだったのでまずは症状が出始めた頃にその半導体部分とモーターを購入されていました。
良くても悪くても部品交換できる状態にしていただいたのでほんとにありがたい話です。

診断してみるにしてまずモーターをはずさないと点検すらできないのでそのあたりを分解します。

整備書には「ビスを4本外してアンダーカバーを外しモーターを止めてるこれまた4本のビスを外して分離」と1行で書いてある。
そうなのか、と着工すると自動車整備あるあるで、アンダーカバーの残り1本がエンジンコンピューターの影に隠れて外せない・・・・

コンピューターを外すところからか~、と作業を進めます。

外れたコンピューターをそ~っと置いておく。
振動与えたところで壊れるような代物では無いですがどういうわけか慎重になる(笑)

ここまできてやっとモーター本体まで到着。
あとビス4本でモーター分離できそう。

モーター外して単体テスト。
モーターは元気に動くと言うことで次は半導体。

外すとこんな形の部品です。

半導体からの出力をテスターで見てみると最大風量の状態で無いとモーターに電源から電気が行かないと言うことがわかったので原因はここにあると判断。
普通ならこの時点で部品発注、という手順ですが今回はもうすでに部品が手元にある!
これは地味にうれしい(笑)
モーターも新品があるのであとは復元するだけ。

復元後、テストすると1~4速の全ての状態でモーターが回りました。
やっぱり半導体が原因、と一件落着。
モーターは部品がなくなる前の予防整備ということで。

これでセドリックは大阪の暑い夏に耐えてオーナーさんお役に立つことでしょう。

ただこのセドリックはエアコンガスがR-12という初期のガスでガスチャージなどはこれまた別な問題として考えないといけないんですよね。
旧車を維持するにはほんとに大変な時代になりました・・・

公道ウルフ 第10巻 発売決定

いろんなご縁があって背景にうちのお店は出てきますし、作者の野口賢先生も当店においでになりましたが、いよいよ公道ウルフ第10巻発売決定だそうです。
40~60代あたりの昭和の車好きにぜひオススメの物語。
見たことのある、そしてなんなら乗ったことのある車がいっぱい出てきて物語との距離感がとても身近な物語ですよ。
二葉モータースは劇中の双葉モータースを応援していますw

(画像は野口先生のTwitterからお借りしました)

ノートe-POWER ハイブリッド車 エアコンガス規定量にします

ノートe-POWER 車検で入庫でしたがエアコンサービスステーションデュアルによる規定量充填サービスの様子です。

ハイブリッド車は電動コンプレッサーなのでPOEという種類のコンプレッサーオイルを使っています。
これまでのコンプレッサーオイルはPAGという種類のコンプレッサーオイルでした。
何が違うのかというとPOEはオイルが絶縁性能が高いのです。
電動コンプレッサーはオイルの絶縁性が重要でPAGオイルを使ってはいけないのです。
混ざると故障の原因になるのできっちりとオイルを分けて使う必要があります。

規定量は500gですが冷えをより一層よくする添加剤の缶の中に25gガスがあるのであらかじめその分を引いて475gに設定してあります。
そしてノートから回収されたガスの量は335gで500gから計算すると165g減。
登録5年目のノートで30%ほど減ってることになりますね。

全ての作業が終わった後に圧力チェック。
この圧力でガスの流れ方を推測できますが圧力チェックする大前提が
「ガスが規定量入ってる」
ことなのでガス量を合わさずに圧力チェックしても全体像はつかみにくいんですね。

お客さんにお渡しする控えです。

作業前は9.9℃でしたが作業後は7.5℃まで冷えました。

ハイブリッド車のエアコンガスはコンプレッサーオイルが混ざらないようにしなければならなかったのでカーエアコンサービスステーションデュアルを導入するまではうちのお店では対応できなかったんですが設置されてからは活躍してくれてます。

コンプレッサーの種類が2種類、なおかつ最近はエアコンガスも新しくなり2種類のガスが混在するので4種類の作業方法が必要なんですよね。
(厳密に言うとガスはもう1種類あるのですが数も減ったので今回の話題からは割愛)

大阪の夏はエアコン無しでは車に乗れませんよね。
冷えが??というときはまずはエアコンガスを「規定量」にしてそこから次のステップを考えましょうね。

規定量に合わせたあとより一層冷えをよくする添加剤も用意してます。
もちろん添加剤もPOE対応の添加剤でないといけませんのでnitec製のNC-200を使います。