ホンダ ゼスト(ライフ) エアコンが効かない

ホンダゼスト 型式 JE2 平成19年式 走行108,000㎞

3月の終わり頃にエアコンの効きがぬるいということでご来店いただいてまして、車検を受けた店ではエアコンはこんなもの、という診断だったらしいのですがうちで診断しても明らかに冷えてない。
お客さんの訴えは真摯に聞かないとなあ、と思いつつ基本中の基本でまずはガスが規定量きっちり入ってるからの定番診断。
メーター2個で読み取るガスの圧力ではおおよその雰囲気はつかめますが、どれほど入ってる(残ってる)はわかりません。
全量をエアコンサービスステーションデュアルに回収して重さを量ることで車のエアコンシステム内にどれほどガスがチャージされてるのかを診ます。

けっかは規定量400グラムのところ80グラム !!
なんと2割しか残ってない。

まずこれでは冷えませんよね、ということできっちりチャージ。
シャキッと冷えました。

漏れてるかどうかは経過観察ということですが18年間一度もエアコンガスなどチェックしてなかったらあり得る数字なので
これですぐに冷えなくなったら漏れてるので大きな出費を覚悟してくださいね、ということで作業は終了。

そのときに
室内のファンから異音がしてますよ。もうすぐ寿命が来るかも。
とお伝えしてました。

すると電話で続報が入りまして、その瞬間は
「あ~やっぱり漏れてるので効かなくなったか・・」
と思いましたがオーナーさんからは

「うんともすんといわず風が出なくなった」

とのこと。

若干安堵しました・・・
「冷えてないわけじゃないんやな・・・」

風が出ないなら話は別。
新たに診断しますよとご来店いただきました。

診てみると室内ファンのモーターが全然回ってない。
というわけで制御系から電気が来てるかなどなど診断。

その結果
電気はちゃんと制御されてるけどモーターが動かない、ということでモーターを外して単体テスト。

テスト電源を直結しても回りません。
手でちょっと押してあげたらゆるゆる回る。
回転軸をずらしてあげたら全速力で回る。
けど一旦止めたら再起動しない・・・
このあたりは動画でどうぞ

モーターが故障原因と特定したのであとは部品を注文して交換。
幸いなことにモーターを交換するのはビス3本ととても楽ちん。
でも、モーターが悪い、にたどり着くまでが慎重さが必要。
でないと「交換したけど動かない」というツボにはまってしまいますからね。

モーターを交換するにあたってエアコンフィルターを見てみると「これいつ交換した?」状態だったので同時に交換。せっかくモーターが新しくなってもフィルターが詰まってたら結局風量が減って「冷えない」に繋がります。

というわけでゼストは冷え冷えの風を”大量”に出せる状態になってオーナーさんのもとへ帰っていきました。

いつもながら冷えないエアコンが冷えるようになったときのオーナーさんの笑顔がうれしいもんです。

めでたしめでたし・・・

スバル BRZ 今年初めてエアコンスイッチオンしたら冷えない

スバルBRZ つまりはトヨタ86   平成27年7月登録  走行約87,000㎞

少し暑い日があったので今年初めてエアコンスイッチをオンにしてみたけど冷えない、ということでご入庫。

冷えないということでまずはエアコンのガスが規定量入ってるかを診断。
当店はスナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルがあるのでグラム単位まで測定可能。
BRZはチェックOK。

となると次は電気的な制御関係へ診断のコマを進めます。
高額修理はオーナーさんはもちろん作業する側もできるだけ避けたいものです。
安価で不具合が解決してほしいので本能的にここで治ってくれたら安く済む、という流れで診断していきます。

見た目にもエアコンガスを圧縮するコンプレッサーが動いてません。
ただ室内でエアコンスイッチをオンオフすると時々「カチッ」と動きます。
この時点でコンプレッサーのマグネットクラッチにちゃんと電気が行ってるかな?という流れ。

マグネットクラッチのコネクターを外しても電気来てません。
診断機でコンピューターから「動きなさい信号」が出てるかを並行して診断すると「出てる」

となるとマグネットクラッチに電気を送るスイッチにあたるコンプレッサーリレーはどこ?
整備書をひもといてみると  ここにある。

資料の向きを回転させて実車に照らし合わせるとこれ

念のためエアコンが稼働しようとするときは車の前にある冷却ファンも同時に回るはずということで確認すると「回ってる」
となればリレーに衝撃を加えてみると

はいコンプレッサーが動き出しました。

このあたりは動画で

間違いなくコンプレッサーを駆動する電気をオンオフしてるリレーが不良と絞り込み交換。

注文して到着した新品リレー

交換後、何度もエアコンスイッチをオンオフ、試運転中もしっかり冷えて、エアコン修理の中でもっとも安価に症状を解決できるコースでよかったです。
診断結果を待ちわびるオーナーさんに報告。
「安くついて良かったですね」

こうしてBRZはオーナーさんのもとへ帰っていきました。
この夏も室内をギンギンに冷やしてあげてね・・・

1234yfガス用添加剤 NC-200 施工にご来店いただきました

新しいエアコンガス(1234yf)用nutec社製エアコン添加剤NC-200の入荷案内や施工例をご覧いただきまたまたご来店いただきました。
なんと今度の方は兵庫県の明石からはるばるご来店いただきました。

今回はダイハツムーヴキャンパス。          

ガスの選択をR1234yfに選択してまずは回収から。

規定量は290g。
これが大事。

施工時の外気温が26.2℃でおいでになったときのエアコン吹き出し温度が9.2℃。
オーナーさんが、冷えてないわけではないけどより一層の能力増大のために、というご希望でした。
吹き出し温度計測条件は風量最大・内気循環・アイドリング15分で、というパターンです。

施工前のガス圧はこんな感じでした。

規定量充填サービスの時に同時に添加剤NC-200 R1234yf用を注入。

施工後は高圧の数字が下がり低圧の数字も下がりました。
施工前よりガス量も増えているにもかかわらず圧力が下がるということはエアコンガス循環の効率が良くなってると判断しました。

同じ条件で施工後の温度は7.4℃ということで約2度下がりましたね。

施工後オーナーさんからgoogleマップへの口コミ投稿という形で感想をいただきました。

添加剤は期待通りの効果で、高速道路での中間加速がしやすくなってエアコンの負担が少なくなったことが体感できました。 R1234yf対応の機材が置いてあるところは少ないので、新し目の車をお持ちの方にはとてもありがたいお店です。2年に1回くらい施工すると良いとのことなので、またお世話になります。

まだまだ新しいお車でしたが施工後に効果を実感していただけたようで作業した甲斐がありました。

自動車のエアコンはすぐに壊れるという代物ではないですが、当店ではほぼ2年に一度車検時などでエアコンガス規定量充填サービスを行わせていただいてます。
作業するようになって管理車両ではほぼエアコントラブル(コンプレッサーの焼き付きなど)がなくなりました。
やはり日頃のメンテナンスが長い目で見ると修理費用の抑制に役立ってるのではとデーターや根拠はないですが日々の実感として感じています。

ここ最近の酷暑ではエアコンの働きは命に関わるところまで来ていますね。
エンジンの調子が悪いとかかからない方が安全だったりして・・・

 

2024年8月まとめ

お盆休みがあるとは言えあっというまに8月ももう終わろうとしてて、暑さにやられてるうち一月過ぎ去ったという感じです。
今年の暑さは数字上で言うとかなりのものですが湿度が数年前の酷暑よりはましだったと思えるので身体的にはまだ生きてる・・・

というわけでキューブです。
消耗品の手当てということでフロントのロアアームを交換。
とても賢明な選択だと思います。

20年以上前の製造ですがロアアームの取付部のナットが今のプリウスか?という感じの構造で普通の工具が入りません。
プリウス用に買った工具が活躍するとは皮肉なもんです。

両手が塞がるので撮影できませんが嵌め合いを外すのにエアハンマーが活躍する事案。

ネジというネジが錆びて堅い。
20数年いじってないわけですから当たり前と言えば当たり前。
でも雪国を走ってる車の塩害での錆に比べたら比較にならないかも、という錆。
大阪で走ってるだけであればなんとかなりますね。

外れたら新しいものと交換してアライメントを見て完了。

MK53スペーシアはテンショナからの異音で初交換。
走行が10万㎞超えてるのでこれも消耗品の手当てですね。

コンプレッサーベルトの取外しは汎用工具で。

ISGベルトはKTC社製の専用工具で。


テンショナー自体を外すためのボルトは各テンショナーごとに2本。
ダブルテンショナーなので全部で4本のみ。
しかしこれがなかなかの難作業です。とにかくエンジンとメンバーの隙間が狭い。
活躍したのはストレートタイプのレンチですね。

下側のテンショナーは取り付ける前に固定ピンの向きを変えるようマニュアルにも記載。
そのまま付けると取り付けたあとにピンが抜けないんです。
部品製造してる会社とスズキが連携取れてないのかな?
上側は来たままの向きの方が抜けやすいとかほんとどうなってんの?という感じ。
下側のテンショナーは要注意。

外した上側テンショナー。
ひねると音がしてます。

ISGベルトを取り付けたあとのコンプレッサーベルトの取付はスズキのSSTが確実。

スズキのフロンクス。
ショールームに入ってますと連絡をもらったので実物を見に行った。
自分は基本的にメカニックなのでスタイルとかデザインとかあまり興味は無く整備性がいいのか悪いのかが新車の良し悪しの基準です。

年に一度受けなければならない整備士の実技講習。
1日かけての講習なので毎年お店は臨時休業して行きます。

今までなかったんですが今年からこんなシールがもらえるようになったとのこと。

スズキ車のリヤハブベアリング交換。
長いことしてなかったけど久しぶりに作業。

ダイハツタント エアコンの高圧ホースのカシメ部分からの漏れ。
バンパーさえ外せば割と楽ちんに交換できる。

取付ボルトの締め付けトルクを調べるとコンデンサーとコンプレッサーでは少し規定値が違うんですね。
φ(..)メモメモφ(..)メモメモ

スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルにて規定量のガスをきっちりチャージして完成。

それ以外にも今年の8月は新車への入替とかが偶然にも連続して発生したりで事務作業や名義変更とかいろいろ。

早く汗のかかない季節にならんかな?と切望してます。

ワゴンR エアコンが冷えない MH34S

エアコン冷え不良のシーズンまっただ中でお問い合わせ・相談が連日続いてます。
そんな中 ワゴンR MH34S なにかしら冷えてるような風は出てるけど明らかに冷えてる感じがしないと言うことでご相談を受けました。

明らかに冷えてないのでいろいろ測定器具を装着。
スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルは圧力計も装備されてますのでいろんな装置をつながずとも総合的に診断器具として使えますので便利。

この日の気温はおおよそ33℃

吹き出し口の温度は約28℃

あきらかに冷えてない

その時の圧力は

エアコン整備を常々されてる整備士ならこの数字で『ガスが足りない』は判断できますね。
では『どれほど足りない』はなかなか当てられないのがガスの量です。
某カー用品量販店やスタンドとか慣れてない整備士ならこの数字でも『ガスは入ってます』とかいいそうです。
自分でもこのメーターの指示値で「どれほど足りない」と聞かれても答えられないのがガス量なんですよね。

ガスの量を診断するには

いったんガスを回収して精密なはかりでその重さを量る

しかないです。

ということで、少なそう、を前提に回収してみました。

するとワゴンRからは35gしか出てきませんでした。

これが新車から自然に減ってこれほどしか残ってなかったのか、どこかが漏れて減ってるのか中古車購入のご新規さんなので整備歴がわかりません。

ユーザさんにも

タイヤの空気と一緒で気体は自然に抜けてしまいます。
それが自然に抜けただけなら足せばまた使えますがもしこれが釘を踏んでパンクしていたのならまずはパンク修理からですね。

と説明しました。

その上で今回はガスを規定量にチャージしますがパンクを見つけるのは同時に注入する蛍光剤を使います。
しばらく走ってください

との了承のもとガスチャージしました。

規定量チャージしたあとの指示値です

最初と見た目何にも変わりませんね。
規定量320±20gに対しての35gですから『ほとんど無い』という状態と、正常な量になったあとの圧力計の指示値は高圧側の数字が正常になっただけです。
ガスの量は圧力計だけでは見分けるのが難しいです。

吹き出し温度は

スズキ車ではこのあたりで低温側のスイッチが切れますから正常な温度まで冷えるようになりました。

ガスが足りなくて冷えなくなるのは当たり前なのですが、以外に軽自動車クラスは100gあたりまでは結構冷えるように感じます。(冷えてないことにユーザーさんは気づいてない)
でもその時のエアコンシステムは少ないガスで全力で働いてるので部品に無理が掛かり、結果的にエアコンの故障に繋がります。

冷えてると言ってもぎりぎりなのか正常なのかでその先のコストが変わってくるのでタイヤの空気圧(つまりは空気量)を見る人は多いですがエアコンシステム内のガスの量にも気をかけてくださいね。
せっかく縁があって一緒の居る愛車なのですからペットと同じだと思います。
いつも健康に気を掛けてあげてください。
ついでと言ってはついでですがエンジンオイルの管理は基本中の基本と呼べる健康管理です。

※ 一週間後ワゴンRのオーナーさんは今度はタイヤのパンクでご来店。
ご縁があって再度お世話させてもらえました。
エアコンは今のとこ絶好調に冷えてると言うことでした。
ガスが自然に減ってたことをお祈りしております・・・・・

 

1234yfガス用添加剤 NC-200 施工しました

先日、nutec製 1234yfガス用のNC-200添加剤が入荷しましたというブログをアップしましたそうすると早速そのブログを見てお問い合わせがあり施工第1号として入庫いただけました。
わざわざ奈良からおいでいただきましてありがたいお話しです。

90ノアですね。
ガスは1234yf。
純粋なガソリン車ですので機械式コンプレッサーでした。

作業そのものはオーソドックスにカーステーションサービスデュアルにお任せと言ったところですがホース類が1234yf用のセクションを使うので普段よりは新鮮です。

そして添加剤は1234yfガス用のnutec NC-200です

施工後のアイドリング状態のガス圧。
気温に対していたって教科書通りの値です。

施工前に同じ状態で8.9℃だったので冷えるようになってます。

回収量がほぼ規定通りだったので優秀なお車ですね。
もうそれなりの台数の1234yfガスを施工し始めてますが3年走って66%の回収率だったお車もあります。
メーカによる違いではなくそれぞれの個体差という感触です。
まあそれぞれですね~

遠いところわざわざうちを訪ねてきてくださりありがとうございました。