ニッサン スカイライン ECR33 平成6年式 走行約74000㎞
パワステが、据え切りのときに重い、ということでご入庫。
・ 全然効いてないことはなくなにかしらアシストはしてる
・ ガレージにオイル漏れのあとは無い
との問診で油圧系統に不具合はなさそうとは第一印象。
あとはハイキャス(HICAS)ランプが点きっぱなしとのことで、電気的な制御が不具合でフェイルセーフ(緊急最低限動作)してるな、ということで診断開始。
このあたりの年式の車は診断機でつないで数値を見るというやり方は少なく、いろんな動作、たとえばファミコンでいう「上上下下右左右左BA」みたいなことをやってコンピュータやらコントローラーと対話します。
そして既定のランプが出すモールス信号みたいな点滅を読み取って診断します。
所定の動作を実行。
でも何の反応もせずランプは光ったまま。
この時点でコントローラーが動いてなくて気を失ってる予感。
さてこうなるとひとつひとつ可能性をつぶしていかないといけません。
けれどもこの時点で先行きは「コントローラー本体が壊れた」という悲しい予感しかしません。
診断フローチャートに則ってひとつひとつコマを進めます。
まず全体的な回路を見て入力される信号と出力される信号を把握。
車の電気的な制御は
「目で見て脳が判断して手足を動かす」です。
センサーが計った電圧を入力してコントローラーが考え動作機器に命令を出す、ということです。
入力と出力それぞれを測れ、と診断フローチャートに書いてます。
全ての項目を診断。
入力系の回路は全てOKまで進みました。
パワステのアシスト量を決めている出力電圧が1.8VでNG
電圧が低いのでアシストされてないわけです。
NGの先はC/U不良(コントロールユニット不良)
はい悪魔の宣言がなされました。
ここで普通なら「コントローラーあかんわ、髙価やけど交換しかないな~」となります。
でも平成6年式・・・・
製造廃止で新品は手に入りません。
仮に手に入ってたとしても廃止直前の最終価格は314000円。
絶望的な流れ(泣)
幸いなことにこの時代のコントローラーはネジを外せば中を見られることが多いんです。
いまはプラスチックで固められてるので不可能です。
このままではあきらめきれないのでとりあえず開けてみます。
開けてはみたもののプリント基板の回路が読めるほど技量も持ち合わせていないのでただただ眺めるだけ。
ただ、電圧が異常値とはいえ1.8V出力されているということは完全にコントローラーが死んでるとは思えなかったので突き詰めて配線を追うのではなく時間が空いたときに「新鮮な目」で何度となく眺めました。
そしたらひとつのコンデンサーの根元にわずかに液の漏れた跡あるのを発見。
よし、こうなったらダメ元でコンデンサーを総替えしてみよう、と計画。
地図を書きました(笑)
拾い出したコンデンサーを入手。
交換しました。
全部で24個。
仕事の合間でぼちぼちやってのべ10時間以上かかりました。
交換が終わって元通り組み立てて現車に装着。
なおってくれよ~とエンジン始動。
結果は変化無し (゜◇゜)ガーン
ハイキャスランプは点いたままで自己診断も受け付けず出力信号は1.8Vのまま・・・
さて
さて
さて 次なる手は・・・
また基板を眺めることにしました。
一番怪しいのは、液漏れで汚れていた部分、ぐらいしか手がかりが無いのでそのコンデンサーをもう一度外して、付近をスマホの顕微鏡モードとかを使って再度確認。
そしたら
「あれ?基板のラインが液漏れのとこで途絶えてないかな?」
と。
テスターで導通を見てみたら
ここ腐食で切れてるんと違う?
この時点で確証はないけどとりあえず基板を修理
紫外線硬化型接着剤で絶縁
再度の再度元通り組み立てて現車に装着。
エンジン始動。
ハイキャス警告灯消えました。
ハンドル軽くなりました。
自己診断も受付けて異常なしの点滅をしてくれました!!
よかった~
長かった。
ぐったり・・・
ふたを開けられるコントローラーで良かった。
修理できました。
現在のコントローラー類でしたらこうはいかなかったと思います。
スカイラインはまだユーザーさんとの縁を切りたくないんでしょうね。
末永く健康に!!
この作業するのにさてハンダゴテを、と思ったら寿命で使えず、温度調整ができる今どきのハンダゴテに買い換えました。
ついでにコテを置く台も錆びてボロボロだったので同時交換
久々の電子工作でした。