ホンダN-BOX JF1
ご同業様から
「エアコンの冷えが悪いので配管内フラッシングしたら冷えるようになりますか?」
とのご依頼でご入庫です。
第一報では自分の所で吹き出し温度測ってるけど20度までしか下がらないとの事で、たしかにこの気温で20度までならわずかに冷えてるというものの物足りないというかほぼ冷えてるという感じにはならんわな、という感じです。
フラッシングしたら冷えるようになりますか?という質問はたくさんいただきますが、フラッシングしたら冷えるようになるのではなくまずはエアコンガスが規定量入ってるかと言うところから話がスタートします。
ガスがきっちり入ってる前提での次の段階がフラッシング。
フラッシングと言うよりは汚れたコンプレッサーオイルを排出してきれいなコンプレッサーオイルをこれまた設計通りの分をきっちり入れることでそのお車の設計図通りのエアコン循環の状態を作り出すと考えていただければと思います。
エアコン冷えないという場合の診断は
・エアコンガスをきっちり決まった量をチャージする
・コンプレッサーオイルをきっちり決まった量を入れ換える
そこから冷えるか冷えないかを判断して冷えるならメンテ完了
冷えないならエアコンシステムの構成部品の診断に入る
というステップかな、と思います。
ご入庫いただいたので作業開始。
この日の作業スタート時の気温は33.3℃
エアコンを全開にして吹き出し温度を測ってみましたが、ご同業のおっしゃるとおり外気温よりは冷えてる、という状態でした。
まずはおおざっぱにエアコンガス圧力を測定。
高圧側が低いのでこの時点で「ガス量は多くない」という感じ。
で大事なのはこの段階ではまだ推測であって実際の診断は数値化して「どれくらい少ないか」を測らないと整備とは言えません。
結論から言うとこのお車のガス量は120g
規定量は320gですからほぼ1/3の量しか無かったことになります。
この量では冷やしきれません。
ガスを規定量にするだけでも冷えるようにはなりそうですがご希望によりフラッシングすることにしました。
まずは真空引き
そしていよいよ配管内フラッシング、というかコンプレッサーオイル入替という作業に進んで行きます。
配管を外さず液体状態のフロンガスを配管内に流して、オイルを溶けませた状態で機械に回収。
スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルのオイル分離機能を最大限使ってガスとオイルを分離してオイルのみ排出。
再度分離浄化されたフロンガスを配管内に注入⇒以下繰り返しで配管内をきれいにしていきます。
洗浄回数が進んで行きます
洗浄が全て終わったら回収されたコンプレッサーオイルがボトルに溜まります。
N-BOXのオイル量は60ccなのでほぼ全量回収されたことになります。
しっかり働いたオイルはこのように黄色くなってます。
洗浄が終わったら再度真空引きをしてガスを充填していきますが、その時に新しいコンプレッサーオイルを同時に入れます。
新しいオイルは透明ですよ。
作業が全て終わった後の吹き出し口温度
試運転中、信号待ちでの吹き出し温度。
このお車は9℃くらいで機械的にエアコンが切れますのでほぼ冷え切ってるという状態です。
というわけでN-BOXはご機嫌にエアコンが冷えるようになり帰って行きました。
中古車として販売される前のお手入れとのこと。
どこかでこのN-BOXを乗るお客さんが快適なカーライフを得られることを願っております。