E12ノート ニスモ エアコンの風が冷えたり冷えなかったり

ニッサン ノート ニスモ
型式 E12 走行4万㎞ 平成28年式

通勤用のノートで連絡いただいた第一報では、

仕事帰り炎天下に駐車後乗るとエアコンの風がいつもよりぬるい。
A/Cボタンを押してコンプレッサーを切ると明らかに冷えないので冷やそうとはしてると思う

とのことでした。

入庫するまでいろいろ原因を推測。

・ 冷えないからエアコンガス漏れ?⇒数ヶ月前に車検してエアコンガスもきっちり規定量入れた。
・ コンプレッサーのマグネットクラッチ不良?⇒それなら冷やそうとしてると思うというオーナーさんの表現とは一致しない。
・ 温度センサーの誤動作⇒自己診断でわかるかも

などなど頭の中のカンピューターはいろいろ提案しますが、実車を見るまでのいつもの推測祭り。
この期間が結構辛かったりします。
思いも寄らない原因やったら探すの大変やろうな~と不安ばっかり・・

というわけで入庫しました。

入庫したときには冷えてました。
ノートなどの日産車は車自体に自己診断機能をもってるのでまずそれを使ってみると異常はありません。
制御系統は実際診断してみるとそれなりに動いてそうです。
コンプレッサーもしっかり動いてるしなにより低圧側のパイプはキンキンに冷えてますので冷やす機能はちゃんと動いてそうで念のためガス圧も診断しましたが大丈夫。
じゃあなぜ冷えないか、ぬるいか、を考えると冷風と温風の割合を制御するエアミックスドアあたりかなと推測。
根拠はないけどそんな予感がしたので、一度エアコンパネルで温度をフルホットに、風量最大で温度を下げていくとぬるい風になったままに!

やっぱりここか

整備マニュアルとみるとエアミックスドアを制御開いてるアクチュエーターは足元

どうやら動こうとしてるんですが力がなくて風圧にまけてるようでした。
ほぼ断定できたので部品を注文。
部品番号の末尾がAからBに変わってますね。
27732-3VA0A から 27732-3VA0B
その下の数字はきっと製造年月日

整備士は部品番号が変わってるとなにかしら安心する習性があります(笑)
きっと不具合が重なったから改良されてるんだ、原因はこの部品に間違いない!!
となるのです。

そして交換はビスを2本緩めて交換するだけ。
念のためフルコールドの状態で一度外してきた部品の軸の位置を確認。
同じ位置だったのでそのまま交換。
場所がずれてたら初期化とかいろいろありそうだったのでその気配もなく無事作業完了。

最大風量でもしっかり冷風が出るようになりました。

これでこの夏も冷気全開で過ごせそうです。

さて定番の「壊れた部品の中身を見よう」のコーナー(笑)

残念ながら今回は見ただけではどこが不良なのかわかりません。
接点が不良になったのかモーターが力不足になったのか。
構造的にはとてもオーソドックスなエアミックスドアアクチュエーターの構造をしてます。

原因がいまいち絞り込めなかったのは残念でしたが一件落着!

セドリック ブロアファンが時々回らない

Y32セドリック 平成3年式

エアコンの室内ファン、ブロアファンが時々回らなくなると言うご一報をいただいてましたが、なかなか故障の再現性が無くしばらく乗ってもらってましたが、いよいよ症状が確実に出るようになって、最大風量で無いと回らないという状態でご入庫。
正直故障の状態が目の前で見られるというのは整備するものにとって最高のプレゼント。
診断して故障を手当てして元に戻ったということが確実に判断できるのでありがたいことなんです。

さて入庫してもらったので診断開始。
事前に故障事例などを調べていましたが「回りっぱなしになる」という症例が結構あり、原因はファンの回転を制御する半導体部分にあると言うこと。

今回はちょっと症状が違うので自分としては半導体部分なのか「どうかな~?」という不安がいっぱいでした。
モーター側が悪くなってるということも考えられますし、回れという指示を出すコントローラー側に問題があるのかもという状態でした。

電気的な流れは
回れという指示 ⇒ 半導体 ⇒ モーター
という順番なのでそのあたりからチェック。

またオーナーさんは予防整備に理解あるのと、旧車なので部品があるうちに替えといて、というお気持ちだったのでまずは症状が出始めた頃にその半導体部分とモーターを購入されていました。
良くても悪くても部品交換できる状態にしていただいたのでほんとにありがたい話です。

診断してみるにしてまずモーターをはずさないと点検すらできないのでそのあたりを分解します。

整備書には「ビスを4本外してアンダーカバーを外しモーターを止めてるこれまた4本のビスを外して分離」と1行で書いてある。
そうなのか、と着工すると自動車整備あるあるで、アンダーカバーの残り1本がエンジンコンピューターの影に隠れて外せない・・・・

コンピューターを外すところからか~、と作業を進めます。

外れたコンピューターをそ~っと置いておく。
振動与えたところで壊れるような代物では無いですがどういうわけか慎重になる(笑)

ここまできてやっとモーター本体まで到着。
あとビス4本でモーター分離できそう。

モーター外して単体テスト。
モーターは元気に動くと言うことで次は半導体。

外すとこんな形の部品です。

半導体からの出力をテスターで見てみると最大風量の状態で無いとモーターに電源から電気が行かないと言うことがわかったので原因はここにあると判断。
普通ならこの時点で部品発注、という手順ですが今回はもうすでに部品が手元にある!
これは地味にうれしい(笑)
モーターも新品があるのであとは復元するだけ。

復元後、テストすると1~4速の全ての状態でモーターが回りました。
やっぱり半導体が原因、と一件落着。
モーターは部品がなくなる前の予防整備ということで。

これでセドリックは大阪の暑い夏に耐えてオーナーさんお役に立つことでしょう。

ただこのセドリックはエアコンガスがR-12という初期のガスでガスチャージなどはこれまた別な問題として考えないといけないんですよね。
旧車を維持するにはほんとに大変な時代になりました・・・

公道ウルフ 第10巻 発売決定

いろんなご縁があって背景にうちのお店は出てきますし、作者の野口賢先生も当店においでになりましたが、いよいよ公道ウルフ第10巻発売決定だそうです。
40~60代あたりの昭和の車好きにぜひオススメの物語。
見たことのある、そしてなんなら乗ったことのある車がいっぱい出てきて物語との距離感がとても身近な物語ですよ。
二葉モータースは劇中の双葉モータースを応援していますw

(画像は野口先生のTwitterからお借りしました)

ノートe-POWER ハイブリッド車 エアコンガス規定量にします

ノートe-POWER 車検で入庫でしたがエアコンサービスステーションデュアルによる規定量充填サービスの様子です。

ハイブリッド車は電動コンプレッサーなのでPOEという種類のコンプレッサーオイルを使っています。
これまでのコンプレッサーオイルはPAGという種類のコンプレッサーオイルでした。
何が違うのかというとPOEはオイルが絶縁性能が高いのです。
電動コンプレッサーはオイルの絶縁性が重要でPAGオイルを使ってはいけないのです。
混ざると故障の原因になるのできっちりとオイルを分けて使う必要があります。

規定量は500gですが冷えをより一層よくする添加剤の缶の中に25gガスがあるのであらかじめその分を引いて475gに設定してあります。
そしてノートから回収されたガスの量は335gで500gから計算すると165g減。
登録5年目のノートで30%ほど減ってることになりますね。

全ての作業が終わった後に圧力チェック。
この圧力でガスの流れ方を推測できますが圧力チェックする大前提が
「ガスが規定量入ってる」
ことなのでガス量を合わさずに圧力チェックしても全体像はつかみにくいんですね。

お客さんにお渡しする控えです。

作業前は9.9℃でしたが作業後は7.5℃まで冷えました。

ハイブリッド車のエアコンガスはコンプレッサーオイルが混ざらないようにしなければならなかったのでカーエアコンサービスステーションデュアルを導入するまではうちのお店では対応できなかったんですが設置されてからは活躍してくれてます。

コンプレッサーの種類が2種類、なおかつ最近はエアコンガスも新しくなり2種類のガスが混在するので4種類の作業方法が必要なんですよね。
(厳密に言うとガスはもう1種類あるのですが数も減ったので今回の話題からは割愛)

大阪の夏はエアコン無しでは車に乗れませんよね。
冷えが??というときはまずはエアコンガスを「規定量」にしてそこから次のステップを考えましょうね。

規定量に合わせたあとより一層冷えをよくする添加剤も用意してます。
もちろん添加剤もPOE対応の添加剤でないといけませんのでnitec製のNC-200を使います。

ブレーキ踏み間違い解除 アイアクセル

日本特殊陶業っていう会社知ってますか?
我々自動車業界に暮らしてる者からするとすぐに「点火プラグのNGKやん」と連想できます。
割と有名な会社です。

でも一般の、特に関西の若い人になると

NGK=なんばグランド花月

となってしまうみたいです(笑)

 

まあそれはさておき、そのNGKが代理店となって販売する商品に「アイアクセル」というものがありまして「ブレーキ踏み間違い解除装置」なんです。

こないだNGKさんから営業さんがおいでになり、ひととおり説明を聞かせてもらいました。

これがなかなか凝った動きをする商品でちょっと感動的な動きをします。

ある一定の閾値を超える踏み込み=ブレーキとアクセルの踏み間違い、が起こるとアクセルペダルを踏んでるレバーが戻り、同時にブレーキペダルを押すレバーが軽くブレーキペダルを押す、と動作で暴走を止めなおかつ停車させる、というのです。

動画も撮ってみました。
ちょっとブレーキペダルを押す部分がわかりにくいですが・・・・

取り付けには講習を受けて認定されたお店でないとだめみたいです。
1人で営業してる当店は「2級整備士2名以上在籍」という基準を満たしてませんので・・・
基準が緩和されたのなら講習受けようかなと思います。

——————-
暴走事故について自分なりにはこう思ってます。

アクセル踏み間違いというのは昨今かなり大々的に報道されるようになったりして社会問題化してるようです。
ただ個人的な見解は、
「事故が起こるたびにでかでかと取り上げるのは高齢者に免許返納を促すための世論作り」
のように思えてなりません。

マスコミの論調は
「歳を取って車に乗るから踏み間違えて暴走する」
と言う感じですが、業界におる自分が思うのは
「年齢のせいでは無くその人それぞれの運転技量」
だと思ってます。

たしかに歳を取るとなにかと反応速度が鈍くなったり、とっさに判断できない、とかはあると思いますが、当店をごひいきにしてもらってるお客さんたちを見ると
「運転うまい人は歳を取ってもうまい」
が結論です。

一律に70歳がとか75歳がとか年齢による制限では無くきっちりと個々の運転技量を測る制度を作った方がいいと思います。
そのうえで技量が落ちたなら返納勧告や強制的な返納命令もありだと思います。
もちろん認知症が進んだ、も運転技量の中に含まれますよね。
個々に技量を判断というのは判断する側からするととても大変な仕事量になると思うので理想論かもしれませんが少しでもそういう形になっていけば良いなと思っています。

参考までにアイアクセルのページを置いておきます。
アイアクセルのNGK(販売元)公式ページはこちら
アイアクセルの英田エンジニアリング(製造元)公式ページはこちら

ダイハツ ミライース LA350S ベルト交換

ダイハツ ミライース LA350S 平成30年式 走行約11万㎞
車検で入庫しました。

ウォーターポンプの交換が必要でしたのでその過程でのベルト交換の部分。
ダイハツのこのあたりの車はミラにかかわらずほぼ一緒なのでは?と思います。

オルタネーターの上と下のボルトを緩めます。

オルタネーターとウォーターポンプを駆動するベルトは調整式。
エアコンベルトは調整機構無しのストレッチタイプ。
オルタのベルトは調整機構を緩めて外して、ストレッチベルトは切断するか、外す工具を使って物理的に外します。

外すのは汎用工具でスパッと外れるので楽ちんです。

created by Rinker
Lisle
¥3,698 (2024/05/07 14:05:29時点 Amazon調べ-詳細)

ベルトを取り付けていくときのの張りは、たわみ量が〇ミリという時代はほぼ終わっててスズキ車もダイハツ車も取付は張力計を使うという整備マニュアルになってますね。
ま、この方が「これくらいか~?」という曖昧さをなくして確実になおかつ早く仕事が出来ます。

 

張力計に打ち込む値もきっちり整備マニュアルに記載されています。

 

張力計を使ってオルタネーターの張りを見ながら取り付けます。
決められた値を張力計に入力

 

ベルトをギターの弦のようにはじいて張力計のマイクに聞かせると・・・
張りの強さが値となって表示されますので規定値に合わせてボルトを締める。

オルタネーターの上と下のボルトは50Nmくらいの締め付けトルクです。
こういう部分もトルクレンチ使った方が結果的に自分が安心できるので一手間余分ですけど使います。

 

エアコンコンプレッサーベルトを取り付けるときは汎用では無く専用工具を使った方がベルト痛まなくていいです。

 

ちなみにこのSST(特殊工具)はダイハツ純正のもの
値段は忘れましたがそんなに高くなかったのでオススメです
部品番号はこれ
取り付け工具付きのベルトも販売されてますけど・・・

今回はこれ以外にウォーターポンプの交換がありましたがそのあたりは割愛。
ポンプ替えるにしてもオルタネーター交換にも必ずベルトの脱着は必要となる作業ですね。

ポンプとかいろいろメンテナンスを受けたミライースは通勤の足になるべくオーナーさんのもとへ帰っていきました。
いつまでも調子よくオーナーさんの役に立ってほしいものです。

 

ご同業さんから1234yfガス充填依頼

ワゴンRスマイル平成4年式
事故で前回りを修理し、ガスが抜けたあとの1234yfエアコンガスの充填依頼がありました。

1234yfを充填するには新しい規格の整備機器が必要と以前からお知らせしております。
普段お付き合いのある工場さんから当店にエアコンサービスステーションデュアルがある、とご紹介いただいた鈑金工場から新規のおしごとでした。

ネットワークが広がってとてもうれしい事案でした。

事故修理後の1234yfガスの再充填はご相談に乗ります。
事故修理前のガス回収からのご利用であればガスは必要な分だけでの対応となりますのでコストダウンになります。
当店をせいぜいご利用ください。

E26 キャラバン ベルトの交換方法

E26型のキャラバン ガソリンエンジンのベルトの交換。
1本もののベルトをテンショナー緩めてピンで固定。
固定後にベルトを脱着というパターンですね。

エンジンアンダーカバーの一番前をボルト5本緩めて外します。

テンショナーの真ん中のナットに14ミリのレンチで時計方向に回して固定用の穴にドライバなりヘキサゴンなりを突っ込んで固定します。
他のプーリ等の配置からすると首振りタイプ、もしくはミディアムの長さのソケットが楽ちん。


写真に写ってるレンチはKTC首振りラチェットのロング型

created by Rinker
京都機械工具(KTC)
¥8,070 (2024/05/07 16:53:45時点 Amazon調べ-詳細)

わかる人しかわからない謎のメモをもとにベルトを復旧。

7年で10万㎞お疲れ様のベルトと新人でこれから働くベルト

1本もののベルトは外すとこんなに長~い。

1本もののベルトというと

・ 部品点数を減らすというメーカ側からのコストダウンという意味合い、
・ 組み立てるときの手間を減らす

という意味合いからはとても有効な方法です。

半面、一度切れると全ての補機類が止まってしまうというリスクも抱えてしまいます。

そうならないためにも定期的に、なおかつちょっと先回りの予防整備。
大事な要素では無いでしょうか?
特にキャラバンなどは

「商用車=お仕事のための車」

ですから止まってしまうと乗用車よりヤバいことが多いと思います。
お客さんも整備工場をあわててしまう(笑)

というわけでベルト交換も含めて定期メンテナンスを終えたキャラバンはオーナーさんのお役に立つべくお仕事場に帰って行きました。
しっかり働いてね~

臨時休業のお知らせ

令和5年6月16日(金)~6月17日(土)
は整備工具展参加のため臨時休業します。
6月18日は日曜日で定休日です。

6月19日(月)より平常営業します。
お休みの間はご不便掛けますが何とぞご容赦を。

スズキ 愛車無料点検 承ります

2023年も!愛車無料点検!!
キャンペーン期間:2023.06.01~2023.09.30

毎年恒例となりました
スズキの愛車無料点検
令和5年6月1日~9月末までの期間中、点検承ります。

※2021年以前にご登録・届出のスズキ車が対象です。
※店舗へご来店いただき、30分程度お待ちいただければ作業完了です。
※ご予約の上でのご来店ご協力お願いします。