スズキ エブリイ AGSミッション警告灯 点灯 P190Fアキュムレーター異常

スズキエブリイ DA17V 平成28年式 走行約15万㎞
数年前から気温が下がってくると時々AGSミッション警告灯が点灯。
一度エンジンを切って再度掛けると消えてる、という症状。

3~4年前から相談を受けていましていつも入庫時には警告灯は消灯しており、診断機でダイアグコードを見ると  P190F  ⇒  アキュムレーター異常   というコードが過去故障として記憶されています。

これがなかなか再現性がなく、お車を預かって試運転しても点灯せず、異常も感じられないので困ってました。
整備マニュアルのフローチャート(整備手順)をたどっていっても最終的にはアキュムレーター交換という高額な修理を選ばないといけないコース。
変速に異常が現れて仕事に差し支えるなら仕方ないので修理を選ぶのですが、今の段階では走行に異常があるわけでなく、さてどうしたものかと。

幸いお客さんも整備に理解のある方で、まあ行けるとこまで行こか、という了承を得ていたのでそのまま走ってもらってました。

ことしも気温が下がってきていつものパターンでとうとう点灯。
エラーコードは相変わらずP190F

何か情報は無いかとスズキのオンライン情報を探ってると、なんと症状そのままの対策としてミッションコントロールプログラムが更新されていました。

そのままの対策でうれしくなってきました(笑)

というわけで早速スズキ純正診断機を接続してリプログラミング
通称リプロ。

しっかり修理できたであろうということでお車を返しました。

数年間モヤモヤしてた気持ちが晴れてすっきりしました。
できればもうちょっと早く対策してほしかったなという気持ちもありますが何にも無いよりは数倍ましです。
スズキの開発者たちに感謝です。

 

2024年11月まとめ


あっという間に12月になってしまいました。
なんとなく12月というと焦る気持ち満タン。
でも自分は単なる月末という気持ちで、年末に大掃除するわけでもなく、少し温かくなってからお掃除することにしてます。
12月はおおきな節目ではなく4月の方が大きく動くと思ってるんです。

さて11月は長年夢だった「南海電車まつり」に初参戦
電車の整備工場へ入れるという感動・・・

車輪

台車というひとかたまりの部品

たぶん砂箱

電車を動かすモーター

これを見て「あっ抵抗器」とわかる人はかなり電車の床下機器に注目してる人。
知ってる人にしかわからないパーツです。
駅に滑り込んできた電車は抵抗器からかげろうが昇ってるんですが・・・
半導体が進んだ今では無くなっていく部品です。

南海電車は自動運転の実験中。
本線や高野線はともかく支線から自動運転になっていくでしょう。

さてお仕事に戻ります(笑)
新車納車からすぐに接触事故。
ご本人さんもかなりヘコんでおられますがお仕事するこちらも同情してしまいます・・・

スズキのレア車
バレーノの車検です。
ブレーキ廻りのお手入れ。

バレーノはベルトも交換

ランドクルーザープラド
タイヤ&ホイルが重くて筋肉痛になります。
エンジンルームを覗くにも踏み台が必要&背伸びも必要。
全身使っての作業です・・・

ハンドルを交換してほしいとのことで分解。
いつもながらこのエアバッグのコネクターを外すとき、取り付けるときがビビります。
暴発したらどうなる?と想像ばっかりです。

ヘッドライト調整

左右がバッチリ同じような照射範囲ですね。

ジムニーシエラはベルト交換

一番新しいスペーシアはリヤスピーカー増設。

スマホの接写撮影の実験
お客さんに劣化度合いを説明するのに大活躍

マツダ3は車検。

ブレーキフルードを入れ換えるんですが、このお車はマイルドハイブリッド。
ブレーキをメンテナンスモードにしたら他の車と同じ手順で入れ換えることができます。
そこまでは良かったんですが終わったらコンピューターにエラーが・・・・
一瞬やってもうたか~と思いましたが診断機でエラーを消すことができてセーフ。
心臓に悪いなあ・・・マツダさん。

エンジンカバーを作業中にボンネットパネルに吊り下げるパーツ。
アイデアはとても優秀で重宝してるんですがなぜが割れてる。
注文すると恐怖のメーカー欠品で納期は2週間後。
走行可能なパーツで後日取付で良かったけど・・・・

KTCのブレーキフルードを交換するマシンを使ってますが、アダプターの錆びるスピードが早いのが難点。
軸の部分が錆びすぎてフルードが漏れてくるので部品単品ででないか問い合わせ中。

ゴムの部分は消耗品なので経年劣化は理解しますが、金属部分が錆びるのは材質選択が悪いのでは?とちょっと残念。

そんなこんなんで11月は終わりました。
12月もお仕事てんこ盛りなのでひとつひとつ対応していきましょう!!

 

1234yfガス用添加剤 NC-200 施工にご来店いただきました

新しいエアコンガス(1234yf)用nutec社製エアコン添加剤NC-200の入荷案内や施工例をご覧いただきまたまたご来店いただきました。
なんと今度の方は兵庫県の明石からはるばるご来店いただきました。

今回はダイハツムーヴキャンパス。          

ガスの選択をR1234yfに選択してまずは回収から。

規定量は290g。
これが大事。

施工時の外気温が26.2℃でおいでになったときのエアコン吹き出し温度が9.2℃。
オーナーさんが、冷えてないわけではないけどより一層の能力増大のために、というご希望でした。
吹き出し温度計測条件は風量最大・内気循環・アイドリング15分で、というパターンです。

施工前のガス圧はこんな感じでした。

規定量充填サービスの時に同時に添加剤NC-200 R1234yf用を注入。

施工後は高圧の数字が下がり低圧の数字も下がりました。
施工前よりガス量も増えているにもかかわらず圧力が下がるということはエアコンガス循環の効率が良くなってると判断しました。

同じ条件で施工後の温度は7.4℃ということで約2度下がりましたね。

施工後オーナーさんからgoogleマップへの口コミ投稿という形で感想をいただきました。

添加剤は期待通りの効果で、高速道路での中間加速がしやすくなってエアコンの負担が少なくなったことが体感できました。 R1234yf対応の機材が置いてあるところは少ないので、新し目の車をお持ちの方にはとてもありがたいお店です。2年に1回くらい施工すると良いとのことなので、またお世話になります。

まだまだ新しいお車でしたが施工後に効果を実感していただけたようで作業した甲斐がありました。

自動車のエアコンはすぐに壊れるという代物ではないですが、当店ではほぼ2年に一度車検時などでエアコンガス規定量充填サービスを行わせていただいてます。
作業するようになって管理車両ではほぼエアコントラブル(コンプレッサーの焼き付きなど)がなくなりました。
やはり日頃のメンテナンスが長い目で見ると修理費用の抑制に役立ってるのではとデーターや根拠はないですが日々の実感として感じています。

ここ最近の酷暑ではエアコンの働きは命に関わるところまで来ていますね。
エンジンの調子が悪いとかかからない方が安全だったりして・・・

 

エブリイ エンジンチェックランプ点灯

三菱 ミニキャブ つまりは スズキ エブリイ
業界内通称64エブリイですね。
平成26年式 走行16万㎞。
高速道路走行後、一般道で信号待ち中にエンジンチェックランプが点灯、何回かエンジンを止めたり始動したりしてたらそのうちランプが消えた、という一報にて入庫です。

エンジンチェックランプが点灯すると、なにをしても消えない場合とその内消えるというパターンがあります。
故障が回復していない場合などは常時点灯します。
一過性の不具合の場合、制御されてる電圧などがとりあえず範囲内に戻った場合で複数回エンジンを掛けたら消える、というプログラムが組み込まれてるということもあります。
ただし一度入力され記憶された不具合は診断機で見るとしっかり残ってることが多いので『消えたから治った」というのはちょっと違います。

入庫したところで早速スズキ純正の診断機を接続。
三菱だけどスズキの診断機で見れます。(キーの登録はだめでした)
しっかり記憶が残ってますね。

そしてフリーズフレームという部分を見ると車がどんな状態の時エラーコードが記憶されたかということも見れます。
この場合エンジンはしっかり暖まってて速度は0㎞、アクセルも踏んでいないアイドリング中に記憶されたということは推測できますので一報が入ったときの状況とほぼ同じということです。
ただ何時何分とかまではわかりません。

そしてエラーコードは
P0138
「リヤO2センサーの電圧が高くなり数分間そのまま張り付いた」
というエラーです。

この故障コードの場合、センサーそのものの特性がずれたということが多いですが、中には排気ガスをきれいにする触媒が劣化したときにも同じようなことにもなるので、この先の切り分けを慎重にしないといけません。
ここで診断する道を誤ると高価な部品を間違えて交換してしまい誰も幸せにならないのでいろいろ推測を確信に持っていきます。

走行しながら電圧変化を見たり下のグラフはエンジンを空ふかしをして電圧の動きを見てるところです。

排気ガステスターで排気ガスの成分を調べたり・・

そんなこんなでほぼ間違いなくセンサーそのものが劣化して間違った電圧を出すようになった、と結論づけて部品を交換することに決定。
センサーそのものも安くはないですし触媒が悪くなってたらもっと高額な部品代が必要なので「ここ」と決めるまでいろんな想定をしていつものことながら診断項目に抜けが無いかビビりながら作業を進めます。

交換すると決めたらエブリイの作業は簡単なものです。
コネクター抜いてセンサーを緩めて新しいものにつけ替えるだけ。

新旧の部品です。

作業後のチェックでも想定通りの電圧の動きで完治したということでお仕事に復帰するためミニキャブ(エブリイ)はユーザーさんのところへ帰って行きました。

おおよそ最初の見立て通りの故障で、その裏付けを取るための作業だったため大きな波乱はありませんでしたが、スタートでこけると思わぬ遠回りをしてしまうのが故障診断。
毎回作業がおわるとホッと安堵するのが日常です。

 

ジャンプスターターが膨らんだ

バッテリー上がりの車を救援に行くとき、ン10年前ごろは補助バッテリーとブースターケーブルもって出張、とか言ったり言われたりして現場に向かったもんですが、今どきは補助バッテリーの事をジャンプスターターと言う名前になってたり作業そのものをジャンピングとかなんか作業名も聞き慣れない事になっています。
そのあたりはなかなかバージョンが書き換わってないようで若い方と話すると??マークが飛び交うのかもしれません。

ジャンプスターターもリチウムイオン電池が普及してきたおかげで小さいのに始動能力があるようになり、重たいバッテリーを持って現場に、ということもなく、なんなら原付バイクで現場に向かい、その場でエンジンを掛けてお客さんに『エンジン掛けたので止めずにそのまま工場まで乗って来てください」というパターンも可能になりました。

うちのお店の方針としては管理させてもらってるお車がバッテリー上がりで現場に救援に行くと言うことは迷惑掛けた、と言う気持ちになるのと、緊急なことが起こると自分の作業のスケジュールが変わってしまうということもあるのでできるだけバッテリーの寿命管理はお客さんとの共同作業で予防整備に力を入れてます。
ただ避けられないのはバッテリーの品質のばらつきによる不具合やらお客さん側の”ライトつけっぱなし”などのミスで上がってしまう、と言うこともあるので皆無にはできないですけどね・・

寿命を予測するためにもアイドリングストップもできるだけオフにしましょう、とお客さんにアピールしまくってますし、できればアイドリングストップキャンセラーをオススメして取り付けることでバッテリー劣化のスピードを今まで通りにできるようにしています。

ただここ最近バッテリー管理で恐いなあと思うのはドラレコの駐車監視モードです。
ドラレコが駐車中に撮影するための電力は車に載ってるバッテリーなので監視モード中は放電します。
放電電圧が規定値以下になったら監視が止まる設定やら、駐車してエンジンを止めたら何分まで撮影するのか、という時間を決めたりはできますが、我々整備士側からすると監視モードはバッテリーへの負担はとてつもなく過酷です。
その理由はバッテリーというものは電気を放電して充電してというサイクルが寿命を決める大きな要素です。
ドラレコで放電してエンジンが掛かったら使った分を充電する。
この繰り返しが普通に車を止めるだけの時より電気の出し入れが多いのでバッテリー寿命にかなり影響してくるのです。
できれば監視モード専用のバッテリーを増設した方がいいなと思ってます。

というわけで本題です(笑)

ジャンプスターターのリチウムイオンバッテリーがとうとう膨らんで危険な状態になりました。
膨らむのは危険な火災に繋がりかねない状態です。
ネットの動画などでバッテリーが激しく燃える場面を見たことあると思いますが火を噴く前兆がバッテリーの妊娠。
定期的に充電してたのですが充電が終わって手に取ってみたら何となく『膨らんでない??』ということで分解してみました。

そうしたらやっぱり膨らんでました。

これはヤバい、ということで使用は中止。
火を噴くまで至らずに良かった良かった

とはいえ救援時には大活躍のツールなので代替品を物色しなければ。

いろんな記事で今までのリチウムイオンバッテリーは「三元系」といい、同じリチウムイオン電池の中にも『リン酸鉄系」というのが有ると。
リン酸鉄系は発火しにくい、ということを学んでいたので次のジャンプスターターはリン酸鉄系にしようと思い検索。
中華製の安いものはきっと寿命が短いだろうと言う勝手な思い込みで日立製のPS-1600RPをチョイス。
日立と言っても中身はサーキットテスターやらバッテリーテスターなどで有名なkaise製のOEMらしいのでより一層安心かなと言うことで決めました。

電池だけでなくOBD端子を使ってのバックアップケーブルやらUSBコードやらいろいろおまけも付いてました。

できるだけ使わなくていいならその方が良い、という工具ですがそのうち活躍する場面が出てくるでしょう。
とりあえず昨日、整備でのバッテリー交換の時、車のコンピューターのバックアップに使ってみました。

燃えにくいバッテリーは安心できますね・・・・

潰れたネジを外す工具買いました

整備作業をしてると当然部品交換など自動車のその部分を分解することが多いわけです。
分解するには何か締め付けたり抑え込んだり固定したりするためにネジ(ビス)を使ってます。

エンジンなどの部品は基本的にボルト&ナットなどを使って組み立てられてるので工具もそれに対応したものを使います。
それに対して内装部品やエンジンでも軽い部品やプラスチック部品などはいわゆる「ネジ」を使ってます。

ボルト&ナットにしてもネジにしても工具がきちんと当たって力を加えることができると緩むんですが、6角形部分の角がなめてたりプラスねじのプラス部分が壊れていたりヘキサゴンと呼ばれる6角レンチなどの穴がまん丸になってたりして途方に暮れるということがたまに発生するんです。

そのネジを緩めることができないとその先に一歩も進めない、てな感じで立ち往生します。

それらのアクシデントに遭遇したときに緊急避難的に活躍する工具があります。

今回は緊急事態対応用の工具を買いました
いや買っておきました。
エンジニア製 DXZ-09

ヘキサゴン 6角レンチ用

プラスねじの穴用

つかむときに口先の広さを合わさずともしっかり加えるバイスや延長工具など

こういう系統の『緊急用工具』はまさに先行投資。
この先何年も使うかどうかもわからない防災グッズのようなものです。
でもあるとないとでは大違いという側面も持ってるのでついつい買ってしまいます。

ひとことで

使うことがあってはいけない工具

といえます。

あ~神様どうかこの工具を駆使してアクシデントをクリアできる事態がこの先起こりませんように・・・・

2024年8月まとめ

お盆休みがあるとは言えあっというまに8月ももう終わろうとしてて、暑さにやられてるうち一月過ぎ去ったという感じです。
今年の暑さは数字上で言うとかなりのものですが湿度が数年前の酷暑よりはましだったと思えるので身体的にはまだ生きてる・・・

というわけでキューブです。
消耗品の手当てということでフロントのロアアームを交換。
とても賢明な選択だと思います。

20年以上前の製造ですがロアアームの取付部のナットが今のプリウスか?という感じの構造で普通の工具が入りません。
プリウス用に買った工具が活躍するとは皮肉なもんです。

両手が塞がるので撮影できませんが嵌め合いを外すのにエアハンマーが活躍する事案。

ネジというネジが錆びて堅い。
20数年いじってないわけですから当たり前と言えば当たり前。
でも雪国を走ってる車の塩害での錆に比べたら比較にならないかも、という錆。
大阪で走ってるだけであればなんとかなりますね。

外れたら新しいものと交換してアライメントを見て完了。

MK53スペーシアはテンショナからの異音で初交換。
走行が10万㎞超えてるのでこれも消耗品の手当てですね。

コンプレッサーベルトの取外しは汎用工具で。

ISGベルトはKTC社製の専用工具で。


テンショナー自体を外すためのボルトは各テンショナーごとに2本。
ダブルテンショナーなので全部で4本のみ。
しかしこれがなかなかの難作業です。とにかくエンジンとメンバーの隙間が狭い。
活躍したのはストレートタイプのレンチですね。

下側のテンショナーは取り付ける前に固定ピンの向きを変えるようマニュアルにも記載。
そのまま付けると取り付けたあとにピンが抜けないんです。
部品製造してる会社とスズキが連携取れてないのかな?
上側は来たままの向きの方が抜けやすいとかほんとどうなってんの?という感じ。
下側のテンショナーは要注意。

外した上側テンショナー。
ひねると音がしてます。

ISGベルトを取り付けたあとのコンプレッサーベルトの取付はスズキのSSTが確実。

スズキのフロンクス。
ショールームに入ってますと連絡をもらったので実物を見に行った。
自分は基本的にメカニックなのでスタイルとかデザインとかあまり興味は無く整備性がいいのか悪いのかが新車の良し悪しの基準です。

年に一度受けなければならない整備士の実技講習。
1日かけての講習なので毎年お店は臨時休業して行きます。

今までなかったんですが今年からこんなシールがもらえるようになったとのこと。

スズキ車のリヤハブベアリング交換。
長いことしてなかったけど久しぶりに作業。

ダイハツタント エアコンの高圧ホースのカシメ部分からの漏れ。
バンパーさえ外せば割と楽ちんに交換できる。

取付ボルトの締め付けトルクを調べるとコンデンサーとコンプレッサーでは少し規定値が違うんですね。
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スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルにて規定量のガスをきっちりチャージして完成。

それ以外にも今年の8月は新車への入替とかが偶然にも連続して発生したりで事務作業や名義変更とかいろいろ。

早く汗のかかない季節にならんかな?と切望してます。

エンジンオイルから出てくる泡の謎

エンジンオイルを交換するのに大まかに二通り。
『下抜き』と『上抜き』という方法があります。

下抜きとは、エンジンの下部にあるオイルパンから抜き取り用のボルトを抜いて自然落下で抜き取る方法。

上抜きとはオイルレベルゲージの穴を利用して真空状態を作れる工具を使って吸引して抜く方式。

どちらの方式も一長一短ありますし、エンジンの構造上下抜きでしか対応できないお車もありますし、ベンツなどではメーカーが整備方法として上抜きが指定されてるとか。
(外車のことは知らないので伝え聞き)

うちのお店では上抜き可能なお車はできるだけ上から抜くようにしてます。
オイルを抜くボルトを付けたり外したりするときに何かのはずみでネジが壊れたりするリスクを避けるのと、ボルトに付けるパッキンの節約になるのでお客さん負担も減るからです。

さてここからが本題ですが、ある日上抜きでオイル交換をしてるときに出てきたオイルがやけに泡立つときと泡立たないオイルがあることにふと気づきました。

そして抜き終わった後にこのまま真空状態を続けたらどうなるんだろうと自分の中の「実験君」が出てきてそのまま観察してると泡はオイルの中から無数に沸いていてそれからだんだん泡が消えていく。

そしてまったく根拠もない自分の中の空想ですが、これは

オイルの中に取り込まれた水分が真空状態で沸騰して出てきてるのでは?

と推測。
そして水分が沸騰しきってオイルの中から出終わると泡が消えていくのではと。

そんなことに気づくとこの泡の元はなんなんやろう?と疑問に思い、そこから数十台観察してみました。

すると泡が出てくるオイルは短距離走行を繰り返す車に多いという傾向があること。
同じような走行距離で同じような汚れ方をしてるように見えるのに通勤に使ってる車で通勤距離がそこそこ走るよう車は泡が少なくて、子育て中のお母さんが乗るような自転車代わりのチョイノリな車&ハイブリッド車に泡が多い感じです。
つまりはエンジンが暖まりにくい乗り方をしてる車に泡が多いのでは?と思います。

ガソリンが燃えると水が発生します。
その発生した水のほとんどは排気管から出ていきますが一部はオイルの取り込まれます。
一度でも長距離走行があってオイルが充分暖まるとその水分はオイルの中から蒸発していきます。
オイルの沸点より水の沸点の方が低いからですね。

オイルが温まらない乗り方をしてる車は水分が蒸発せずにオイルの混じったままになります。
その水分はエンジンにはよろしくないので、オイルが暖まりきらない短距離走行を繰り返すシビアコンディションの車はオイル交換をまめにしましょうとなるわけです。

オイルの成分の中には『消泡剤』という泡を消す成分も含まれているのでその性能が劣化したら泡が発生しやすくなるということもありますので何とも言えないのですが・・・

泡が出てきてるのはオイルの中から、まさにビールやコーラの炭酸の泡が液体から出てくる様子とそっくりなのでひょっとしたら水が真空で100℃でもないのに沸騰してオイルの中から気体になって出てきてるの??と思った次第です。

もしこの仮説が正しいのならオイルが水分含んで傷んでますね~という新たな指標になると思うのですがさてどうでしょう??・・・・

動画も張っておきますのでご参考に

Play Video: オイルから出てくる泡の謎

ワゴンR エアコンが冷えない MH34S

エアコン冷え不良のシーズンまっただ中でお問い合わせ・相談が連日続いてます。
そんな中 ワゴンR MH34S なにかしら冷えてるような風は出てるけど明らかに冷えてる感じがしないと言うことでご相談を受けました。

明らかに冷えてないのでいろいろ測定器具を装着。
スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルは圧力計も装備されてますのでいろんな装置をつながずとも総合的に診断器具として使えますので便利。

この日の気温はおおよそ33℃

吹き出し口の温度は約28℃

あきらかに冷えてない

その時の圧力は

エアコン整備を常々されてる整備士ならこの数字で『ガスが足りない』は判断できますね。
では『どれほど足りない』はなかなか当てられないのがガスの量です。
某カー用品量販店やスタンドとか慣れてない整備士ならこの数字でも『ガスは入ってます』とかいいそうです。
自分でもこのメーターの指示値で「どれほど足りない」と聞かれても答えられないのがガス量なんですよね。

ガスの量を診断するには

いったんガスを回収して精密なはかりでその重さを量る

しかないです。

ということで、少なそう、を前提に回収してみました。

するとワゴンRからは35gしか出てきませんでした。

これが新車から自然に減ってこれほどしか残ってなかったのか、どこかが漏れて減ってるのか中古車購入のご新規さんなので整備歴がわかりません。

ユーザさんにも

タイヤの空気と一緒で気体は自然に抜けてしまいます。
それが自然に抜けただけなら足せばまた使えますがもしこれが釘を踏んでパンクしていたのならまずはパンク修理からですね。

と説明しました。

その上で今回はガスを規定量にチャージしますがパンクを見つけるのは同時に注入する蛍光剤を使います。
しばらく走ってください

との了承のもとガスチャージしました。

規定量チャージしたあとの指示値です

最初と見た目何にも変わりませんね。
規定量320±20gに対しての35gですから『ほとんど無い』という状態と、正常な量になったあとの圧力計の指示値は高圧側の数字が正常になっただけです。
ガスの量は圧力計だけでは見分けるのが難しいです。

吹き出し温度は

スズキ車ではこのあたりで低温側のスイッチが切れますから正常な温度まで冷えるようになりました。

ガスが足りなくて冷えなくなるのは当たり前なのですが、以外に軽自動車クラスは100gあたりまでは結構冷えるように感じます。(冷えてないことにユーザーさんは気づいてない)
でもその時のエアコンシステムは少ないガスで全力で働いてるので部品に無理が掛かり、結果的にエアコンの故障に繋がります。

冷えてると言ってもぎりぎりなのか正常なのかでその先のコストが変わってくるのでタイヤの空気圧(つまりは空気量)を見る人は多いですがエアコンシステム内のガスの量にも気をかけてくださいね。
せっかく縁があって一緒の居る愛車なのですからペットと同じだと思います。
いつも健康に気を掛けてあげてください。
ついでと言ってはついでですがエンジンオイルの管理は基本中の基本と呼べる健康管理です。

※ 一週間後ワゴンRのオーナーさんは今度はタイヤのパンクでご来店。
ご縁があって再度お世話させてもらえました。
エアコンは今のとこ絶好調に冷えてると言うことでした。
ガスが自然に減ってたことをお祈りしております・・・・・

 

1234yfガス用添加剤 NC-200 施工しました

先日、nutec製 1234yfガス用のNC-200添加剤が入荷しましたというブログをアップしましたそうすると早速そのブログを見てお問い合わせがあり施工第1号として入庫いただけました。
わざわざ奈良からおいでいただきましてありがたいお話しです。

90ノアですね。
ガスは1234yf。
純粋なガソリン車ですので機械式コンプレッサーでした。

作業そのものはオーソドックスにカーステーションサービスデュアルにお任せと言ったところですがホース類が1234yf用のセクションを使うので普段よりは新鮮です。

そして添加剤は1234yfガス用のnutec NC-200です

施工後のアイドリング状態のガス圧。
気温に対していたって教科書通りの値です。

施工前に同じ状態で8.9℃だったので冷えるようになってます。

回収量がほぼ規定通りだったので優秀なお車ですね。
もうそれなりの台数の1234yfガスを施工し始めてますが3年走って66%の回収率だったお車もあります。
メーカによる違いではなくそれぞれの個体差という感触です。
まあそれぞれですね~

遠いところわざわざうちを訪ねてきてくださりありがとうございました。