ニッサンキューブ ガソリン漏れ

ニッサンキューブ AZ10 平成14年式

ガソリンスタンドで燃料を入れて満タンになったと思ったら車の下からガソリンが漏れてきた、との症状で乗るのはヤバそうということでレッカーに引っ張られて入庫です。

うちに着いたときには漏れておらず、最初はどこかのホースが裂けたのかなと思いましたがユーザーさんへの問診で「給油中は漏れてなかった」というところが少し気になったのでリフトに乗せてみましたら、タンク下部にはガソリンが垂れたあとはありましたが、最初に思った給油口ホースも空気抜きホースも全く無事。
スコープで覗いてみたらタンクの上の出っ張りのあたりから垂れた跡が見えたので、これはタンク本体・・・と。

そうなったら次に問題になるのは車が古いので部品があるか?ということ。
ほんとに最近は「製造打ち切りの恐怖」に振り回されますのでまずは部品在庫確認。

在庫確認できてからでないとユーザーさんと修理の費用や日程などの相談ができない
ことが増えてます。

【ハイわかりました修理します】

とはうかつに言えない。
そんなに古くない車でも昨今の品薄状態、部品不足状態では部品が手に入る日も流動的になるのでほんとに神経使います。

今回のキューブのガソリンタンクは部品は在庫ありとのことでホッと一安心。
髙価なタンク本体取替になってしまいます。
中古品を使うという選択肢もありますが、経年劣化が原因で不具合の出てるのですから、さすがに燃料系に中古品を使う勇気はありません。
このお車があと半年乗れたら良い、という場合などはそれでもいいでしょうけどオーナーさんは気に入って乗ってて乗り換える予定はないとのことですから、新品をチョイスしました。

この部分がガソリンの液体部分と気体部分を振り分けるセパレーターという部分なのですが境目が経年劣化で割れたようです。

作業は「タンク交換」ということで単純。
関連するホース類6本もこの際交換しておきました。

作業後にタンクの底を見てふとタンク製造時の金型の細かい刻印を発見。

自動車の部品でプラスチック製品は製造工場で製作年月日の刻印があったりしますが、このタンクも長年の金型更新が記録されてて歴史を感じました。
キューブが製造されるまえの1991年9月からスタートしたのが見て取れます。
そこから2001年12月まで印が進んでますね。

そしてそこから時々製造されてたのかな?
1枚目の写真の上の方に1303という刻印も見えますね。

 

2013年3月に製造されてそこから在庫されてたのかなとか想像は膨らんで楽しいですね(笑)
え~もしそうなら作られてから10年寝てたのか??
そんなこと無いよなぁ。
素材が光ってるし、あくまでも金型更新やよね、などなど思いをはせてましたが、最初に作り出したのが1991年ということで、この形状のタンクを他の車用として作り始めてキューブに流用したのは間違いなさそうです。
この工場が受注して作り始めたのがこの年なのかもしれません。
それにしても1991年9月あたりに作り出したとすれば1992年1月頃にマーチのフルモデルチェンジがあったので2代目マーチ(K11)あたりから採用されたのかな?

仕事のあともいろいろ昔の思い出と重なってひとりで納得してました・・・

シエンタの簡単バンパー修理

商売の基本として大成功を収めたものは「消費者が望んでるものと商品が合致した」といわれます。

自動車整備業の場合は整備技術で不具合を治したり車に関するいろんなお世話をするというのが売り物なんですよね。
売るものは形が無かったりするのですが最終的にはお客さんの希望に対して回答を見つけるのが大きな流れです。

お客さんが望むこととお店側のしてあげたいこととが大きくずれてると満足してもらえない、というジレンマはずっと抱えています。
お客さんの希望と自分がしたい仕事が合致したときは自分が思ってる以上の感動と感謝をいただけて「そんなに?」とひたすら恐縮してしまったりします。

バンパーをちょっと膨らませて、手元にあるタッチアップペイント、しかもこの車の色ではない似た色を吹き付けるわけでも無く筆でちょちょっと塗っただけなのでお金をもらえるほどの仕事でもなく自分の出来る範囲でやっておこう、と思って作業したんで「こんなもんでOK」くらいな気持ちでいましたがお客さんからは

「気になってたからめっちゃうれしい」

と大きな感動と感謝をいただいて、あまりの喜びように

「それほど喜んでもらえるのか?」

というのが本音でした。

感動してもらえたので結果オーライなのですが、お客さんが求めるものと我々がよかれと思ってするサービスが乖離してると自分が「ええ仕事をした」と思っても意外に喜んでもらえなくて、これでええんかな?と思ったことがやたら喜んでもらったり・・・

商売の難しさも感じる出来事でした。

72ワークスと36ワークス 記念撮影

車検で入庫した36ワークスと当店で動態保存中の72ワークスを並べて記念撮影しときました。
7歳と35歳。
WORKSの文字列は共通です(笑)

 

 

古いワークスはガソリン入れるところをキーで開けるタイプです。
今の車にはもうないですね・・・
昔の車では普通だったんですが、いまはオープナーで開けるタイプだったりちょんと指で押すタイプだったり・・・

 

ガソリンを給油するときは必然的にキーを抜いて給油口に差さないといけないので【給油中エンジン停止】は絶対に守れます。
ある意味安全ですね・・・

1234yfガスをグラムで計ってきっちりチャージ

エアコン用のガスは過去から3回変わってます。
カーエアコンが誕生した頃のガスはR-12と呼ばれるガス。
そのガスが大気中に放出されると上空でオゾンが破壊されオゾンホールができる。
ソウすると紫外線が増えて皮膚ガンになるというストーリーで生産停止。

オゾンホール問題を解決するために134aというガスが開発されて30年間ぐらい(ちょうど平成の30年間)使われてました。
その134aが今度は二酸化炭素 CO2 より温暖化を促進してしまうと言う理由から3年ほど前から生産停止

変わって出てきたのがHFC-R1234yfというガス。
通称「1234ガス」です。

正直、ガスの変移を見てると理由が後付けでほんとは誰かが儲かるためと違う??という疑念が無いわけでは無いですが庶民はそれに従うしか無いなあとあきらめてます。

そんな理由から令和のころから自動車のガスは1234ガスに変わってきてまして我々整備業もそれに対応せざるを得ない状況です。
この1234ガス、今はまだ髙価です。
134aガスに比べると7~10倍ぐらい。
製造元が限られてるというのが原因でしょうけどビックリするレベル。
いずれいろんなところで製造されるようになれば価格もこなれてくるんでしょうけど・・・

今回車検でご入庫のMAZDA3 令和元年式 走行3万キロ
初回車検ですがお客さんのご要望でガスをきっちり入れました。

この日のためにスナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルを導入したのです。
とはいえ1234ガスの手当をするのは今回が初仕事です。
わくわくする半面、何事も初めてというのは何かしら緊張しますし「ガスが高い」と思うだけでも失敗してはいけないと余計に緊張。

ガスの充てん量もデーターベースを見たり現車を確認・・びびってびびって何度も何度も確認・・・

作業自体は全てエアコンサービスステーションデュアルがやってくれるのでスタートボタンを押すだけなんですがそれにしてもドキドキ

写真撮ったあと5g増えて最終340g回収でしたので結果は規定量に対して150g少ない状態でした

この結果なので「新車買ってから夏の昼間、炎天下ではエアコンの効きがいまいちやったからなあ~」というお客さんの感じ方はきっとまんざらでも無かったと思います。

134aガスにもR1234ガスにも対応のエアコンサービスステーションデュアル完備です。
冷えがいまいち、と思われる方は一度ガスをきっちり規定量に合わせてみましょうね。

カーエアコンサービスステーションデュアルについての詳しい説明はこちら

室内ファンモーターの中身を見るために分解してみた

ワゴンR 平成23年 走行約19万キロ

 

少し前から時々エアコンの風が出ない、と相談を受けていまして、距離や年式を考慮してできるものなら修理しなくて済むといいなと言うことで「完全に出なくなったらその時考えよう:」とお客さんと打合せは終わってました。

「もし止まってもグローボックスの下にモーターがあるから殴ってみて。動いたら儲けもの」ともアドバイスしてました。

けれど今回

「殴っても動かなくなった」

ということで交換することに・・・・

 

原因は回転してるモーターの軸に電気を供給するための接点、通称はブラシと呼ばれる部品の摩耗で回転軸と接触しなくなり回らなくなるという定番中の定番。
モーターも消耗品と言われる大きな原因でも有ります。

 

そういうわけでサクッとモーターを交換して故障修理は終了。
お客さんもこれで朝の寒さから解放されると喜んでお帰りになりました。

 

最後はうちの伝統的な定番作業
・ 捨てる前に中身を見る
・ 金属部品とプラ部品の選別
を兼ねて分解。

その時写真を撮った物をムービー化しましたのでご覧ください。
予測通りブラシが減ってスプリングで出てくる分も無くなって軸に接触しなくなってました。
長いこと働いてご苦労様でした、と独り言がでました。

オイル鉄粉吸着くん

自動車に使われる液体、例えばエンジンオイル、ATフルード、CVTフルードなどなどで同時によく耳にするのは「鉄粉」という言葉。
自動車のエンジンやら駆動系は金属同士の接触があるのでその削れ屑がでます。
それらを機械の外に排出するために「~オイル交換」とか「~フルード交換」という作業が発生するわけです。

これらを定期的に行っておけば削れ屑などもたまること無く機械類は元気に調子よく働いてくれるので長期的見てもお金儲けであったりするんです。

この鉄粉というもの、マニアチックな人からすると一度フルード類に混じったらできれば再循環して欲しくない願望がありますし、実際変速機の中にはメーカーが再循環させない効果を期待して磁石を組み込んであったりするわけですから寿命延長には間違いなく効果があるんでしょう。

無段変速機の内部にこんな磁石が組み込まれてますよ。

 

さてエンジンはというとそこまで気を遣わなくてもいいのか磁石による鉄粉除去というのはあまり採用されてないみたいです。
でもちょっとしたチューニングパーツとしてはオイルフィルターに磁石を組み込んだものが売ってたりします。

こういうものはエンジンで鉄粉が再循環して欲しくないマニアチックな人の気持ちをくすぐるんですよね。

まあ自分もどっちかというとそっち系の人間なのかもしれませんが磁石にはいろいろ期待してしまいます(笑)

たとえばオイルフィルターに磁石を組み込んだものと言えば
PIAAのツインパワー+マグネット
が有名です。
一度中身を分解してみたことがあります。
この2種類のフィルターに挟まれてるのが磁石ですね。

 

あとはオイルのドレンボルトに磁石を組み込んだものとか・・・

 

 

そして本題のオイル鉄粉吸着くんというダイレクトな商品名。

はちまき型磁石」(笑)    Amazonで売ってます

実はこれを購入してしばらく使ってたんですよ。
オイルフィルターは普通に純正品でこの磁石は外側に巻くだけという手軽さが気に入って買いました。
そして今回フィルターを交換するに当たって殻割りして中を確認。
あまり期待してなかったんですが、それらしきものはちゃんと吸着されていました。

これなら工具とかリフトが無くてもがんばれば自分で取り付けすることができて、なにかしらの鉄粉除去には交換があるのでは?と思いました。
普段お取引のあるお客さんなら買って持ってきてくれたら取り付けますよ!

 

まあ小手先の磁石よりは定期的なオイル&フルード交換が最強なのは間違いないですが、それでも通常より一層効果が欲しい人はこう言うもので遊んでみてはいかがでしょうか?

 

 

エクストレイルのフロントガラス交換

エクストレイル 平成24年 走行46000㎞

飛び石にてフロントガラスひび割れでご入庫です。
いつもながらパンクと飛び石はほんとに「運」だなと思います。
事故に近いぐらいの確率だと思うのですがこればっかりは運転されてる方がどんなに気を遣って運転しても避けられない事象です。

自分自身も高速道路走行中に経験がありますがバシッと音が鳴ったら「あ~大変」という感じで落胆ですね。

 

フロントガラスは「合わせガラス」といって2枚のガラスの間にフィルムを挟んだサンドイッチ構造になってるので決して砕けて飛び散らないようになっており、これは事故の時乗員がフロントガラスに頭や首をぶつけて致命傷にならないために装着が義務付られているのです。
その結果ガラスの価格が高くなるんですね。
一発石に当たると10万円、てなイメージです。

ここ最近はもっと大変で自動ブレーキ廻りのカメラやらレーダー装置が装着されてるとガラスがさらに高価な上、エーミング(方向調整)も必要になるのでもっと価格が上がります。

ほんとに車両保険は必須だと思います。
ある日突然 石」 が飛んできただけで20万円、といわれたら悲しいですよね。

 

さてエクストレイルですが幸いなことに車両保険を付保されていたので交換になっても当面は負担金無しで修理できました。
まずは破損したガラスを取り外します。

意外に一般の方には知られてないのですがガラスは車両に「接着」されているんです。
つまりは貼り付けられているので接着剤を切り取ってガラスを外します。
当店はガラス交換については腕のいい専門の業者さんにお願いしてます。
先代の頃からのお付き合いなのでほんとに長いことお世話になってます。
職人さんの手際がいいので見てて気持ちいいです。

ガラスが外れました。
車体に付いてる黒い筋の部分が接着剤です。
ガラス側をアップすると割れたガラスと接着剤の様子がわかります。

新しいガラスに接着剤を塗って車両に取り付けます。

接着剤を塗ったらいよいよ車両の所定の位置にガラスを装着。
その部分は動画を撮らせてもらったのでご覧ください。

取付が終わったらガラスの縁などの附属品やらを新しい部品で復元します。
このあたりまで来るとほぼ元通りになってきた感があります。

そして最後はワイパー廻りなどの部品を復元して完成。
接着剤を使ってるのでこのあとはしばらく安静にしておきます。
でないと車って走ると意外に車体がねじれてるもんなんですよ。
なので接着剤が乾かない間に走行などしたら接着剤とガラスの間にすきまができて水漏れの原因になってしまいます。

理想は12時間以上絶対安静ですね。

 

というわけでエクストレイルは待ちわびるユーザーのもとへ帰っていきました。

月末に田舎に帰省する予定だったそうでガラスが治らなかったらどうしようとドキドキされていたそうです。
無事走れますよ~

 

 

 

スペーシア スライドドアのカーテン 戻らない

スズキ スペーシア MK32S 平成25年 走行50000㎞

後のスライドドアに標準で装備されてるカーテン。

スズキでの正式名称はロールサンシェードというらしいですが下から引っ張り出して窓ガラスの上部にあるフックに引っかけて日差しを防ぐという装置。

フックから外すと自動的にドアの中に巻き取られて収納される・・が巻き取られなくなって写真の通りでだらんとぶら下がったままになったと言うことです。

ロールサンシェードはスライドドアの内装に組み込まれているのでいったん内装を分解。

内装からロールサンシェードを外してみたら巻き取るためのスプリングが付くべき部分が風化による破損でポッキリ。

部品交換すれば治る,というものですが部品は折れたところだけ設定されて居らず、サンシェードと本体全部で13000円程します。

使う頻度と効果やスペーシアの残り寿命などそのあたりは一考。
スプリングが固定できれば機能は復活するはず、ということで耐久性はどうかなと心配なこともありますが、スプリングの線径よりちょっとだけ太いドリル(1.2㎜くらい)で軸の根元に穴を開けてそこにスプリングの端っこを引っかけてみました。

あとは元通りに組立。組み立てるときに巻き取る力を加えるためこの本体を3~4回転ひねって取付。

無事サンシェードは元の機能を復活してちゃんと巻き取られるようになりました。

こんな細い穴を開けることはめったにないでしょうけどピンバイスドリルはひとつ持っててもいいかもしれません。

 

材料費+部品代は0円(笑)

うまく「修理」できるときのいうのはこんなものでだめなときはどう考えて交換しかない場合もありますし・・・

しかしこの部分の破損は定番の故障みたいで全国の皆さんがそれぞれそれなりの修理方法で直しておられますね。

このお車の場合引っ張り出したまま青空駐車しておられる車なので条件は不利かなと直感的に思いました、。
戻そうという力が軸に掛かったままで、車内の温度は夏において想像できないくらいの暑さになりますからプラスチック部品にとっては過酷な環境でしょうね。

同じスペーシアに乗って居られる方はサンシェードを収納した状態で駐車された方がこの軸の破損はひょっとしたら避けられるかもしれないなあ、と想像しました。

というわけでスペーシアはユーザーのもとへ帰っていきました。
反対側のサンシェードがちょっと心配・・・

VOXY AZR60 のリフレッシュ

トヨタVOXY(ヴォクシー) AZR60 平成18年式 走行159000㎞

 

息子が子育て車を必要として3列シート車を用立てないといけなくなり、

「どうしたものか?現状は新車の遅延もあって中古車も高いしなあ~」

と思ってたらたまたまお客さんが乗り換えるというタイミングの良い話でVOXYを譲っていただけることに。 じゃあリフレッシュさせるために手入れして乗らせようと着手。

車の現状は管理させてもらってた車で整備歴は完全に把握できてたので、まあまあそこそこ整備したら乗れるだろうと。 なかなか現状は甘くなかったですね。さすが14歳15万㎞オーバー・・・ でも車は生身の動物ではなくとやかく制限が無ければ復活させることは可能、と見本車を作るべく足回りは除いて実用的に子育てが終わる頃まで乗れるよう方針を立ててみました。

まず気付いてたのはエンジンの振動が伝わること。

これはマウントと呼ばれるエンジンを車体から浮かす部品を交換すれば新車の時の静けさが戻るのでこれをするだけでまあ大丈夫かとたかをくくってたのが間違いの始まり。

自分基準で不具合箇所と目があいまくりでとんでもない作業量(部品代)になってしまいました。

通常のお仕事ならばお客さんの予算とかもあるのでどこまで手当てするかを調整しながら最後の最後は泣く泣く見送り,という結末もあったりします。

けれども身内の車となれば判断基準は「自分の満足のため」というヤバい流れで物語は進む・・・

最初はマウントだけのつもりだったのでその為にバッテリー外したりしてマウントへのアクセスを確保。

 

 

ところが運転席のマウント外そうとしたらウォーターポンプから水漏れの跡が。 通常であればここでお客さんに電話して追加作業の相談orしばらく乗れそうなので予算だてしといてくださいね、とお願いをするところなんですが自分で判断するため交換を決定。 交換のためオルタネーターを外すことに。

 

マウント交換のために外した部分は後回し

 

 

このポンプ交換というのが60系のノア・ヴォクシーはエンジンをずらさないと外れないですよね。 でもマウント交換するつもりだったので運転席側のマウントはあっさり撤去してエンジンをずらして交換。

 

 

ポンプを交換したのでこれはサーモスタットをついでに替えよう。

サーモスタット替えるにはラジエーターロアホースを外すので交換。

そうなるとアッパーホースも交換した方がええよね、と言うことでホースを外すとなんとラジエーターが劣化末期・・・・ 黒いはずの素材がこの色になってきたらもう寿命です。

ということでラジエーターおまえもか・・・ 外したら見えない部分も白く変色してきてて気付かず乗り出したらすぐにラジエーターからの水漏れで立ち往生してたでしょう。 気付くことができてセーフ。

 

 

新しいラジエーターが来たので交換。 懸案箇所が1箇所減って安心が増えましたが出費も増えます(笑)

 

 

そこら辺まで作業が進んでやっと最初の計画であったマウントの交換に着手。

 

 

ポンプを替えるために外したオルタネーター。

別に異常も異音もなかったんですが、距離を考えるのともし故障したときの取替作業を考えるとどうしてもこのまま古いオルタネーターを車に戻すのは我慢できずリビルトオルタネーターを発注。

また出費が・・・という横からの非難に耐えて、 「また安心が増えたし作業効率はすばらしく良かった」・・・と自己満足。

 

やっとこさマウント交換、ラジエーターを含む水回り全般、オルタネーター、補機類ベルト、など交換してエンジン冷却水を入れて一段落。

冷却水入れるときは診断機で水温見ながらオーバーヒートさせないよう要監視。 本来の仕事の合間にちょっとずつやってこの時点でもう7日目くらい。

 

 

エンジンオイルやフィルターも交換。

エンジンが掛かって走れるようになったので試運転。

最初に気付いたエンジンの振動は完全に止まってるのを確認して満足。

 

 

走る、曲がる、止まる、は一通り確認できたのでつぎはエアコンコンプレッサーオイルの交換。

スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルは配管内のフラッシングと同時に古いエアコンコンプレッサーオイルを外に出してくれるので実質的なオイル交換が可能。 透明なコンプレサーオイルが黄色く劣化してるのがわかります。 透明な新オイルを充填。

 

 

15万㎞オーバーCVTのフルードは一度も交換歴がなかったのでストレーナー交換も含めて全量圧送交換。 オイルパン開けて中の磁石に付着してる鉄粉など綺麗のお掃除。

 

 

 

 

交換が終わったらオイル量を調整するのですが、これまたややこしいやり方で交換時に80℃kらいに暖まったフルードの温度を冷まして30℃~40℃の間で測るというとてもめんどくさい方法。

もうちょっと他にやり方ないのかと思いながら自然冷却しか思いついてなかったところYouTubeでスポットクーラーを使うやり方を見させてもらってすばやく模倣(パクるとも言う) こりゃいいですね。 半日かかって冷ましてたのを1時間ぐらいで冷やせますね。

 

あとこのエンジンは燃料噴射の方法でどうしても煤がたまりやすい構造なので吸気管内部をこのケミカル剤を吸わせて清掃。

物理的に清掃する方法にはかないませんが何もしないよりは効果はあるケミカル剤なので施工。 ワコーズさんのRECSよりはエンジン回復が体感できますね。

 

 

そんなこんなでなんとか中古車リフレッシュが完了。

これ以外にも60系の弱点であるパワステギヤボックスのブッシュの劣化があったので対策ワッシャーを使って延命&コストダウン。

このあたりの交換か修理か対策かごまかしか(笑)はその時の状況で選択でしょう。

お客さんとのコミニケーションがしっかりできればリーズナブルな方法を選択することも可能ですね。

復活したVOXYは子ども(つまりは孫)の成長を見守りながらしっかり働いてくれることを願ってやみません。
しっかり働いてね~

エアコン配管内のフラッシングとエアコンガス規定量の重要性

スナップオン社製 カーエアコンサービスステーションを使った修理の依頼が続いています。
みなさん以前のブログ記事を読まれたり、スナップオン社のホームページ上での機器設置店検索をご覧になったりでの作業依頼でご来店いただいてます。
配管フラッシング(配管内の汚れ洗浄や劣化したコンプレッサーオイルの入替)のご依頼であったり、一般のお客さんからの「冷えてるけどパンチがない」というご依頼などなど・・

少し前のノアの配管フラッシング同様、ご同業からのご依頼で今回はアトラスです。
エアコンの3種の神器
「コンプレッサー・リキッドタンク・エキスパンションバルブ」
を交換したけど配管の洗浄もお願いしたいと言うことでインターネット検索からうちのお店を見つけていただいてのご入庫。
高圧側の値が期待したほど下がらないのでどこか詰まってるのか洗浄してみたいと言うことです。
エアコンガスは既に入れてあるのでよろしくと言うことでフラッシング工程の初期段階でまずはガス回収。

すると205グラム
規定量は550グラムなんですけど・・・(笑)
ご同業も「えっそこそこ入れたつもりなんですがそれだけしか入ってませんでしたか?」と驚いてました。

通常のマニホールドゲージだけでは入れたつもりでも測って入れてないのでこんな感じです。
開き直って「入ってるから大丈夫」と豪語されるご同業もちらほら見受けられます(笑)
いやいやそれでは素人さんが例のメーター付きのホースでガス入れるのとたいして変わりませんやん、と思うのですが・・

 

そして本題のエアコン配管のフラッシング

 

出てきたコンプレッサーオイルは250ccほど。
交換したコンプレッサーに入ってた量と元々配管内にあったオイルの量が合算されてるようですね。
オイルの規定量は200ccですからガスだけでなくコンプレッサーオイルの量も規定量ぴったりに合わせることが出来ます。

 

フラッシングが完了したのできっちり計量した新しいコンプレッサーオイルときっちり計量したガスを注入。

 

ご同業さんの期待はフラッシングをすることでエアコンサイクルの問題を消去法で消すことでした。
このアトラスの最終的な結論を双方で診断した結果、

エアコンガスを冷却するためのコンデンサーの内部につまりがあって設計通りの冷却ができていないことによるガスの圧力が高い、

ということで根治的作業をするかどうかは先方のお客さんとの相談になるとのことでした。

 

その数日後、ワゴンR MH23S型 平成23年
「エアコンの効きはこんなもんかな?冷えてるように思われへんけど外の空気よりは冷たい」ということでご来店。
吹き出し口に手を当ててみるとあきらかにぬるい・・

外気温34度で吹きだし温度が27度。
数字で見てもこりゃ冷えてない。

ということでまずはガス量を測定。

 

結果は

規定量の30%しか残ってなかったということでこれはヤバい。
とはいうもののご新規さんでいままでどのような管理をされていたのかは不明で新車から今までの間で減ったものなのかここ最近急に減ったものなのかはわからないので「漏れてる」の判断はこの先になりますね。
お客さんには「この夏だけ冷えて来年の夏に冷えないとかになると修理が必要ですね」とアドバイス。

お帰りの節は27℃の吹き出し温度がアイドリングで13℃になって「冷えてる」と言うことでハッピーにお帰りになられました。

 

 

そして週末
ご新規さんから電話。
「スナップオンの機械があると言うことで純度の高いガスを入れてもらったら冷えるようになるのではと期待してます」
とのご依頼。

それだけではよくわからなかったので現在どういう冷え方ですか?と問診してみると

オーナー
「冷えてるようやけど冷えが足りない」
「ガスは入ってる」

とのこと。

自分
「ガスは入ってると言うことですがそれはどうお調べになったんですか??」

オーナー
「オートバックスで見てもらったらガスは大丈夫。というてた」

自分
「オートバックスはガスの重量を測っての診断ですか?」

オーナー
「ガスは入ってるようですが足りないようだったので少し足しておきましたとオートバックスが言うてた」

まあとにかくご来店ください
ということで作業開始
写真は取り損ねましたが外気温31℃で吹き出し温度が29℃。
日産ルークス(スズキのパレットOEM)

う~ん確かに冷えてませんが直感的にガスが足りないような・・

 

途中省略の結論はやはりガスが残ってませんでした。
なぜか似通った数字ですね(笑)

あとでエアコン用の添加剤を入れる前提で規定量は調整してますがやはり30%ぐらいしか残ってませんでした。

オーナーさんには
「純度の高いガスを入れられるのはこの機械の特徴ですが、それ以前にまずは設計通りのガスの量があってそこを基準に次に純度が効いてきます」
とご説明。

そして

「オートバックスがガスを足したという作業はいったいどんなことをしたのか??」

という笑い話です。

 

このルークスも中古車で購入されてるので以前の修理歴は不明で1つ前のワゴンRと一緒で漏れてるのか自然に減ったのかがこれまた不明。
「すぐに効かなくなるようでしたら本格的な修理が必要です」とデジャブーな説明をさせてもらいました。

このあたり年式のお車はスズキ車を含め各メーカー、室内のエアコンユニット(エバポレーター)からの漏れが多いです。
もしそこが原因であれば7万円オーバーの修理になるので・・・。

 

なかなかエアコンの修理というか故障診断は原因の幅の広いので「どこが悪い?」に対しての答は現車を確認してもあれこれ可能性があって難しいですね。
一つ一つ勉強と経験を重ねていかないと、と常に思っています。