いよいよ大阪あたりでは車のエアコンが働き出す季節がやってきました。
ということは仕事中に汗をかく季節がやってきたと同じ意味で少し憂鬱な自分です。
トヨタ C-HR 平成30年式 走行距離約35000㎞
車検でご入庫ですが夏に向けてエアコンのお手入れもしっかりと作業しておきます。
ガスは134aか1234yfで「ハイブリッドだから特殊なガス」というわけではありません。
ガスを圧縮するためのコンプレッサーの動力が違います。
いままでの車はコンプレッサーの動力源はエンジンの回転で、ベルトを使ってコンプレッサーを駆動してました。
このC-HRだけで無くハイブリッド車はメーカー問わずほとんどが「電動コンプレッサー」を使用しています。(マイルドハイブリッド車は除く)
大きく違うのは電動と機械式とではコンプレッサーを潤滑するオイルの種類が違います。
電動ということでオイルに「絶縁性(電気を通さない)」が必要なんだとかで今まで使っていたオイルとは種類が変わっています。
機械式のオイルは電気を通すため、このオイルを電動式に使うと(混じる)と電動コンプレッサーがショートして壊れるということで
「混ぜるな危険」
らしいです。
そういうわけで今までのエアコンガスを手入れする機器は電動コンプレッサーなんて言うものを想定していなかったので2種類のオイルを混ざらないように整備機器を両方共用でそのまま使うことはできなくなりました。
そのまま非対応では悲しいので当店はあたらしい機器に設備投資しました。
これでハイブリッド車が入庫してもエアコンガス規定量充填サービスを安心して対応できるようになりました。
というわけで作業開始
このPAGというのとPOEというのがコンプレッサーオイルの種類で機械式がPAGでした。
このお車はPOEを使ってるのでオイルの種類を切り替えます。
するとホースの中をクリーニングせよ、と指示が出ます。
これによりPAGとPOEが混じらないようになるわけです。
洗浄用の接続口にホースをつないでクリーニングします。
これによりハイブリッド車への接続が準備できます。
それからは普通の作業を同じ手順で、まずは車のエアコン配管内のフロンガスを一旦カーエアコンサービスステーションデュアルに回収します。
今回回収出来たのが390グラム。
規定量は470グラムですから80グラム足りないということになります。
そこから今度は配管内を真空にしていきます。
配管内を100%フロンガスで埋めるのと、配管内の水分などを除去するために真空にします。
おおよそ15分真空状態を保ち、それが終わったら新しいガスをきっちり重さをはかって充填(じゅうてん)。
普通はあんまり充填なんていう漢字見ませんよね(笑)
まあつまりは詰め込むというような意味です。
470グラムに向かって現在420グラム入ったとこの写真です。
ガスが入ったら圧力計でちゃんとガスが流れてるかを確認します。
オプションでより一層冷えるための添加剤を追加充填。
作業前の写真を撮り忘れましたが作業前の吹き出し温度が5.6℃だったのが作業後は3.8℃まで冷えるようになりました。
このあたりの温度域になると吹き出し口の冷気が肌に突き刺さるような感覚になりますね。
作業後は機械から印字された紙が出てくるのでお客さんに持って帰ってもらいます。
このC-HRをはじめ、既存のお車はエアコンガスの種類が134aと呼ばれるガスで、同じガスを使いながら機械式と電動式で作業が変わります。
その上、令和の初めごろから製造された車はガスそのものが1234yfという種類のガスに変わってきています。
この新しいガスを使った車にも機械式と電動式があるわけですから、4種類の作業が必要なわけです。
厳密に言うと12というガスも過去に有りますので5種類です。
12の頃はハイブリッド車はありませんでした。
ついでにお伝えしておくと、1234yfガスは現在とても髙価なガスなので「ちょっと足しておきますか?」なんて簡単にオススメするような雰囲気ではありません。
お客さんも作業者側も覚悟を持って作業しないといけないんですよね~
まあそのうちもっと大量生産できる体制が整えば価格も下落していくと淡い期待を持っています。
エアコンのガスはタイヤの空気と一緒で配管の隙間から自然に漏れていくのでどこかで補充してあげないといけません。
ガスが足りなくなって冷えなくなるのは全量の30%切ったあたりからです。
そこまでは冷えてないのに「冷えが悪いかな?」ぐらいですごしてしまうもんです。
結果本当に冷えなくなるまでにエアコンに無理が掛かり高額な修理代が必要となってくるんですよね。
そうならないためにも定期的にガスを補充してあげるのが結果的にお金儲けになります。
さてこれでC-HRは暑い夏に立ち向かう準備ができました。
しっかりお客さんを冷やしてあげてほしいものです。