サンバーのタイロッドのロックナットの締め忘れ、お見積時に発見

サンバー KV3 平成9年式 距離101000㎞
車検の整備が必要な箇所を相談するべく事前に入庫していただき各部点検というかお見積作業
年式がそれなりのお車なので経年劣化による想定外の不良箇所も出てきそうなので念入りにあちらこちらに目を配ります。
想像してたのがタイロッドといわれるハンドルの操作を前輪に伝えるいわゆる「棒」なのですが、その端に関節部分を覆ってるゴムカバー(以下ブーツ)の破れ。
これは車検の基準に抵触するのでもし破れなどで破損してると車検が通らないので必ず修理が必要です。
破れたり劣化したりしてるのを修理するのはこんな手順です。
これはワゴンRですがまあ似たようなものです。
破れるところまでは痛んでませんがひび割れ多数のブーツ
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古いブーツを取り外して
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内部の汚れたグリスを拭き取り新しいグリスを充填
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そして新しいブーツを取付けて
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もとの状態に復元
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サンバーの場合はこんな形(画像はネットで借りました)
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ほとんど駄目だろうなと想像して点検してみたらなんとみんなきれいに交換されてます。
「劣化をしてるかなと思ってた部分はちゃんと他所で交換してもらったんですね?」
とユーザーに聞くと
「このあいだスタンドで”車検通らないから交換しないとえらいことになりますよ”とあれよあれよという間に交換されて数万円払った」
とのこと。
そのスタンドは私も利用してましてやたらとブーツの交換に凝ってる(?)スタンドで自分も点検を進められたことが有り、他のお客さんも数件「こんなこと言われて見積もりされた」とうちによってもらったこともあります。
油外収益を上げるためにがんばってるな~、こんな営業はうちも見習わないとな、と思ってました。
そんな流れで交換作業が終わってたのでひとつ整備箇所がクリアして良かったなあ、と一安心。
えっ?売上を奪われた?
なんて全然思いませんよ(笑)
お客さんに安全に自動車を走らせてもらうために業界全体でがんばらねば、と思ってますから。
それはさておきブーツが大丈夫なのは目で見てわかったのであとは「ガタ」がないかな?と点検。
すると関節にガタはないのに「棒」の部分が変な動き。
一瞬どこが動いてるか判断できずにしばらく動かし続けて、ハッっと・・・
ここやん・・・

交換作業のあとこのロックナットといわれるナットを締めてなくてそのまま走行したので少しネジ部分が減ってガサガサになってたんですね~
ここが外れたりするとハンドルが効かなくなり操縦不能になってしまいますのでとても重要な部分です。
大きな事故になる前に発見できて良かったですね。
自分としてもこういう部分の作業はとても慎重に、なおかつ丁寧・確実にすることを心がけてます。
そして新たな教訓を頂いた事案でした。
自分も気をつけよう・・・

ニッサンノート ブレーキシュー交換 パッド交換 プラグ交換 などなど

日産ノート E11 平成18年式 走行約11万㎞。
レンタカー上がりの中古車を購入されそのお車が今回車検です。
ノートで11万㎞、というと”経験コンピューター”は
・リヤブレーキシュー
・点火プラグ
の2点は一番にアウトプット。
それ以外は現車確認、という感じですね。
事前にご来店していただき現車を囲んで作業内容を相談。
これ大事!、ですね。
作業をする方も、お客さんも、方針が決まってから作業に掛かるのがセオリーですよ。
その結果
・いろいろその他の消耗品も交換時期に来てることをご提案。
・タイヤやバッテリーはお客さんの方で手配して車検入庫までにご自分で交換すること。
などなどが決まったので作業開始。
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まずは後のブレーキから点検。
ノートは後のブレーキ残量を点検するに当たって再使用不可のロックナット必須。
点検だけでもロックナットは必要になります。
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事前の予測通りブレーキシューの残量はNG
交換が必要でした。
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交換までは紆余曲折の作業がありますが省略
交換完了
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前のブレーキの点検に入ります。
しかし予想外の展開。
スライドピンと呼ばれる部品が給油不足からさび付いて固着。
結果、ブレーキパッドの片減りが発生してたのでやむなく交換が必要でした。
同じ右前輪側のパッドですが厚みが違います。
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新しいパッドの異音防止シムの「裏側だけ」専用グリスを。
表側に塗る整備士の方もいますが自分は「塗らない」こだわり。
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組立
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新しいパッドに交換した後にブレーキを組み終えるのは達成感あり (笑)
ブレーキの各部品が交換できたのでブレーキフルードを交換
新油を補給しながら4輪各部で古いフルードを回収。
全て入れ替えます。
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次は点火プラグの交換。
10万㎞に1回という長寿命型のプラグを使ってますのでエンジンの設計がプラグを交換しやすいようにはなってない整備士泣かせのエンジンです。
燃費やパワーを両立させるための設計なのですが・・・
点火プラグまで到達する道のりが遠いですね~
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途中省略で吸気管部分分解終了。
やっとイグニッションコイルと言われる高電圧発生器4個とご対面。
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そしてこの下に目標の点火プラグさんが居ます。
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新旧点火プラグさんのそろい踏み
古いプラグさん、長きにわたりご苦労様でした。
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同時作業でスロットルバルブのカーボン汚れ清掃
単体だとそれなりに工賃が必要ですがプラグを外すにはスロットルバルブも外すので同時に作業するのがお客さんの為。
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きれいになったらカーボン汚れの分だけ隙間が空きます。
この隙間はあとで診断機を使って初期化します。
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外した吸気管を戻すときにはパッキン類は絶対交換。
これ整備の鉄則です。
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エアコンフィルター。
以前はいつ交換されたのでしょうか?
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コンピューター診断機による故障コード(ダイアグコード)を読み取ります。
何個か以前に記憶されたコードがありましたが、消去するだけでOKなコードだったので初期化しておきました。
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最後はエアコンガス規定量充填作業
専用の機械を当店は所有してるのできっちり設計規定量に合わして充填することが出来ます。
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エアコンの冷房能力をあげる添加剤。
自身の所有車でも実証済みで効果大。
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充填結果
ノートは本来450グラムが規定量ですが、添加剤の30グラムを引いて420グラムに設定。
まずエアコン配管の中にどれだけ残ってるかを全量回収します。
330グラムしか回収できなかったので90グラム足りないということですね。
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420グラムをきっちり充填してノートの設計通りのガス量に復活です。
来年の夏はしっかり冷えるでしょう。
というわけでお車をお返ししたときはご主人はお仕事で留守だったので報告用にブログをアップしました。
高石市のHさま、当店の再度のご利用ありがとうございました。
1年後ぐらいにはエンジンオイルの交換をお勧めしますね!
またご来店ください、お待ちしております。

年末年始はお休みさせて頂きます。

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誠に勝手ながら年末年始はお休みさせて頂きます
平成29年12月29日
~平成30年1月4日 休業

平成30年1月5日 午前中営業
平成30年1月6日 営業

平成30年1月7日
~平成30年1月8日 休業

平成30年1月9日火曜日から平常営業となります。
ご不便をおかけしますがご容赦願います。

エンジンルームのほこり汚れ

ss-P1160473.jpgエンジンルームはボンネットで閉じられてるとは言え外気と接してるため砂系の汚れがつきやすいです。
そして意外にもガレージに止まってる時間が長く(つまりはチョイノリの車)屋外駐車の車ほどほこりが降り積もります。
ほこりがたまったり、泥で汚れたりしても日本車は素晴らしいことに防塵・防水対策がよく出来てるので汚れが故障の原因になるのはまれでかなりほっといても何にも起こらないものです。
(オイルを替えないでエンジン内部が汚れた場合は除く)
そして一方では故障の原因になるのでエンジンルームは水などを使って清掃はしない方が良い、とまで言われてます。
今のお車はほとんど家電製品に近いので、テレビを水洗いする人はいないでしょう、という感じかも。
確かに電子部品に高圧洗浄機から出た水流をそのまま当てたりすればほんとにヤバいことになるでしょうが、そのあたりは、水をかけてはいけないところ、かけてもいいところ、をプロならではの判断で選択できるのなら大丈夫です。
こんな状態で入庫してくるのですが
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整備やら車検作業やらを終えるとどうしても気になってしまうんです。
そしてつい清掃してしまう・・
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ああさっぱりした!
全くの自己満足です(笑)

タカタ製エアバッグのリコール未改修車両 車検で有効期間を更新しない処置

2018年5月以降、タカタ社製エアバッグ搭載車両でリコールの案内が届いてるにもかかわらず対策が行われていない車両は車検が通らなくなるそうです。

国土交通省は8月30日、タカタ製エアバッグのリコール改修促進のため、異常破裂する危険性が高い未改修車両の約170万台について、車検で有効期間を更新しない措置を講じると発表した。施行時期は2018年5月を予定している。

 

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国交省によると2017年7月の時点で国内の改修率は78.1%で、約410万台の未改修車があるとしている。このうち異常破裂する危険性が高い未改修車の約170万台については、車検で有効期間を更新しない措置を講じる。
 対象となるのは2017年4月以前にリコール届出されているもので、異常破裂する危険性が高い特定のインフレーターを使用したエアバッグを搭載した未改修車。
 車検申請を受けた運輸支局等では、自動車登録検査業務電子情報処理システム等を活用して、措置対象未改修車両の場合は車検で有効期間を更新しない。該当する場合は、ディーラー等にて改修を行なった上で車検を受けることが必要となる。
 なお、国交省では今回のリコール改修促進策について、電子政府の総合窓口(e-Gov)において8月30日~9月29日の1カ月間パブリックコメントを実施する。

 

 

引用元 http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1078217.html
いままででもリコールが出てるお車で、車検を受けると車検証更新時に
この車にはリコールの案内が出ていてまだ対策されていないので速やかにリコール作業を受けてください
という案内文書が一緒に発行されてましたが車検そのものは通ってました。
有効期間は取りあえず更新されてその後でも作業をすれば良かったのですが今回はその措置から一歩進んだような扱いですね。
それだけこのエアバッグ問題が深刻で、なおかつ現存車両が結構多い上に対策されていない車も多い、という扱いを受けてると言うことなんでしょう。
とはいうもの現実的な実情と照らし合わせると、整備業を営むものも検査場へ行ってからリコール未対策車と言うことがわかった、てなことで約束の納期が遅れたり、ディーラーもすぐに作業できるかどうかは人的なキャパに限界があるのでパンクしてしまうかもしれませんね。
そうするとますますお車を預かる日程が伸びるということになりいろんな面で困った場面が出てきそうな予感ですね。

 

 

 

 

 

 

 

日産モコ(スズキMRワゴン)の車検

日産モコ スズキのMRワゴンのOEM車です 平成20年式 走行約13万㎞
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ご来店はネットでの検索でしたがいまやおなじみ様になっていただいたお車です。
当店を気に入っていただいてるようでほんとにありがたいです。
この度も車検整備をご用命いただきましたので整備内容の報告も兼ねてアップします。
日頃からお車の消耗品については見識があるお客様なので日常の整備はほぼ完璧。
整備工場ならではの点検と整備がご希望です。
前ブレーキ
ブレーキパッド残量2.5ミリ。
交換時期はビンゴでしたね
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後ブレーキ
残量はまだOKでした
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プラグは整備記録からも3万㎞走っていますので予防整備も兼ねて交換。
プラグの摩耗によるイグニッションコイルへの影響を考えるとこのあたりで交換がお勧め。
もしコイルまで壊れると痛い出費ですからね。
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ブローバイガスというエンジン内で発生する未燃焼ガスを再度エンジン内に戻すためのバルブパッキンが寿命でオイルと混じったブローバイガスで汚れてました。
パッキン変えて汚れを清掃。
きれいなヘッドカバーは気持ちいい!
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エンジンへの空気ダクトの取付クリップが風化して脱落。
ここのクリップがなくなるとエンジンの振動とともにこのダクトが音を出します。
その音が思いもかけず室内に響いて不快ですので当店ではほぼ車検ごとに交換します。
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あとは金色と思ったホイルは清掃したら実はシルバーでしたという笑い話
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岸和田からお越しのS様
今後ともよろしくお願いいたします。

初代ワークス CA72V 15回目の車検

アルトワークス CA72V 昭和62年式
通称 「初代アルトワークス」 ですね。
何度のなくこのブログでも掲載してますがこのたび30歳になりました。
15回目の車検を終えたので記念撮影しておきました。
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少しだけうんちく
軽自動車初のツインカムターボ車としてこの世に誕生。
550cc(当時の軽自動車の排気量)で64馬力。
バイクのようなエンジン回転数でタコメーターは9500回転からレッド。
まあとにかく走る走る。
ちなみに現在の軽自動車のターボ車の馬力が64馬力に横並びなのはこのワークスがたたき出した馬力が「これ以上はだめ」と当時の運輸省からの通達がいまでも生きてるから。
30年前の通達がまだ・・・
まあいまとなっては普通の軽のターボ車に全力で必死についていくという感じですが当時は画期的でした。
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そんな走りをこのご老体に強いてあげるのもかわいそうなので最近は
「動態保存」
を心がけてますが、いまでも本気を出せば・・・なんとやら。
グレードもRS-Xというスポイラーいっぱいのグレードが一般的でしたが、これはRS-Sという改造ベースの飾りっ気のないグレード。
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新車からのシートはスポンジがぼろぼろに朽ち果てて仕方なしにグレード外の中古で手に入れたピンクのシート。しかも4WDと書いてある。
本来はシルバー色の地味なシート・・・
少しだけ残念。
オリジナルの方が渋くていい。
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生まれが昭和ですから車種別のオーディオ取付のためのオプション部品は結構売ってました。
これなんかもパイオニア謹製のこの車専用のオーディオボード。
オーディオの取付にこんな厚さ10ミリの合板を使うなんていまはマニアしかしません(笑)
当時はごくごく当たり前な話でした。
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いろんな部品が製造中止で、どこかが壊れたときには四苦八苦しそうで恐ろしいですが動かせる間は動いてもらいましょう。
チラ裏の乱文失礼しました

回転部分の突出禁止規定及び排気管の開口方向規定の改正について

車検のルールは時々見直されて時代に沿って少しずつ改定されていきますが、久々に大きな改定がありました。
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回転部分の突出禁止規定及び排気管の開口方向規定の改正について
というお知らせです。
自動車のタイヤ&ホイルはその定義で言うと「回転部分」と言います。
その回転部分は車体からはみ出してはいけない、という根本的なルールが保安基準創設時からありまして、暴走族の車など、このルールを破ることが社会への反抗の象徴みたいな扱いでした。
ま、いまでもそんな車は時々見かけますが(笑)
車検に入庫してきた車が車体からはみ出してたときに自動車修理工場には戦慄が走ると言っても過言でないです。
タイヤがはみ出してるのでこのままでは車検通りません
とかいうやり取りが全国津々浦々で行われてきたんです。
 

その基本中の基本の「タイヤのはみ出し」が細かい規定はありますがざっくり言うと10ミリまで許しましょう,と言うルール改定がありました。
これは整備業界ではなかなかのビッグニュース。

 

一般には「へ~」という程度のことですがたぶん今日は日本国中の自動車整備業に携わる人達の中ではビッグニュースでしょう。

 

 

あと以外に知られてない「排気管の開口方向」
歩行者に排気ガスが掛からないようにとかいろんな理由で

 

排気管は進行方向に対して左右に開口してはならない。
仮に左右向きに出したとしても進行方向に対して30度まで。

 

と言うルールもありました。

 

これも今回制限がなくなりました。
全く根拠はないですが、自分なりの経験で考えると自動車の車検のルールが変わるときはおおよそ「外交的な配慮」、悪く言うと「外圧に屈して」ルール変更が行われてきましたので、今回も外車にそういう車が増えた、というのが一因では?と思います。
外国はマフラーの向きが反対なので日本で売るためにはそれ用の仕様に変更して日本で売らないといけないんです。
そこにはコストが掛かるため外車メーカーは価格的に不利になりますからね。
以前は二人乗りOKだった高速道路は2輪バイクが死亡事故が続いたため「高速道路での二人乗り禁止」という道交法の改定があり不便になりました。
外国のバイクメーカーから「そんな法規があるから我が国の大型バイクが売れない」という横やりが入り、現在は二人乗り禁止はなくなりました。
国内のルールが世界からみると稀なルール、と言うことは多々あるようです。
その独自ルールも国境を越えて混じるときにはすりあわせが必要なんでしょうね。
いいか悪いかは別問題ですが・・・

車検作業中の予定外の追加作業 ポンプ水漏れしてる・・・

ワゴンR MH21S 平成18年 走行距離 71500㎞
車検でお預かり。
いままでずっと管理させてもらってるお車なので整備歴からおおよそのの整備方針を決めることが出来ます。
人間の体でもそうでしょうけどかかりつけ医は何かと親身になってもらえて、医師もこっちの体の傾向を知ってくれてるので便利で手厚く見えない取り計らいをしてもらえるものです。
手前味噌ですが、新車からずっと管理させてもらってるお車はお客さんも当店も楽ちんなのです。
というわけで消耗品まわりは補機類ベルトなどをローテーションとして予定してました。
そしてベルトを外して新しいベルトを、と思ったら
予定外の不良箇所に目があってしまいました。
水漏れしてる・・・
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これは予想外の展開で、今週は作業が詰まってるのでリフトを使う予定とかを考えると、なんとか部品を手に入れて、早急に交換しないと段取り組み直しになってしまう!
と、あわてて部品を手配。
部品の手配はあわてても手に入るとわかれば心は落ち着いてきますので気を取り直して冷静に作業再開。
いろんな手順を入れ替え。
考えてるあいだに一人ブツブツ言ってるらしく嫁は横で笑う。
外す予定ではなかったフロントバンパーなど外してポンプの分解準備。
しかしいつ見てもこの状態の車はグロくて”かわいそう”に見える。
なかなかこの感覚は他人には理解してもらえない(笑)
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予定外の作業は時間との戦いになります。
ポンプ分解取り外し完了。
軸受けから漏れ始めてるみたいですね。
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ウォーターポンプの交換という数時間遠回りをしてポンプを交換するために外した部品を全て復旧。
最後は最初の目的である新しいベルトも張って、水漏れ確認。
このお車もご多分に漏れず水温計は省略されてるので診断機を接続して水温監視←これ大事。
冷却水路のエア噛みによるオーバーヒートに注意しながら暖機運転。
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最終的に専用テスターで冷却回路に圧力掛けて水密検査。
漏れ無しで完了!
予想外の作業に、あ~くたびれた。
見立てが外れると焦りますね(笑)
よく車検作業のお見積をしてる最中に、
「いま表から見えてる部分の作業範囲であれば○○○円で日数は2日くらいで出来ますが、ふたを開けて分解していく途中に不具合が見つかったら、その都度相談したり金額や日程の延長があるかもしれませんのでよろしく」
というお話をします。
めったにない事なんですが今日の作業はその流れにハマってしまいました。
なんとか部品が手には入って期間延長までずれ込まなくてよかった。
ホッとしました。

ネットで検索 ・見積 ・ 作業箇所相談後新規ご入庫のバモスです。

ホンダ バモス 平成12年式 走行130,000㎞
お車を一度見せて頂いてお見積を提示、それを基に検討して頂いて作業箇所を決定。
作業開始です。
作業内容の報告を兼ねての記事です。
バモスは後にエンジンが載ってますのでいつもとは逆向きにリフト進入
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床のカーペットを剥がしてやっとエンジンとご対面。
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お見積の時にエンジンのカムカバーからのオイル漏れを発見してました。
このままでは検査で指摘されるのとやはりオイル漏れは止めておいた方がいいので手当をご提案。
修理の許可を頂いたので作業します。
この部分のオイル漏れはバモスでは定番の修理箇所、と修理後ホンダが得意なご同業に聞きました(笑)
エンジン下部、前方から後方に向かって見ていくと
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垂れたオイルが冷却水ホースやらマフラー部分に掛かっています。
ホースはオイルでダメージを受けて溶けてしまいます。
マフラーの上に垂れるとまず発煙、最悪発火します。
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カムカバー(タペットカバーとも言う)を外してパッキン交換。
オイル焼けはしてますがオイル管理はそれなりにされていた模様でスラッジは堅く堆積してるわけでなく、ウエスでこするとすっきり取れる程度でしたね
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パッキンを交換完了しましたが、年式もそれなりでなおかつこのお車はしばらく沖縄にいたようです。
そのためこのあたりのお車よりは潮風による腐食が見受けられます。
冷却水の配管とかホース類も要注意でしょう。
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打ち合わせしたエンジンまわりの作業を終え、今度はブレーキまわりの整備。
後ブレーキのドラムがバモス特有の構造で組み立てられてますので外すのに一苦労。
ただでさえ工程が多いのにすんなり外れるはずの部分も錆に泣かされます。
錆を前提に設計してるのかと愚痴も出てしまいます。
設計した人にこのブレーキドラムを外して欲しい。
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次も自分が分解するために固着しないように錆止めなどしっかりと
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前ブレーキはローターの外周部分からサビが進行してきて、パッドの接触面積が減少。
これでは設計通りの制動力は得られませんので本来はローターの交換が望ましいでしょうけど、このあたりは車の年式とかのバランスとお客様の要望を踏まえて作業の妥協点に知恵を出します。
この妥協点を見つけ出すのも我々の大事なお仕事といえますね。
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できるだけ錆で発生した段差を修整。
なんとかします(笑)
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錆によって段差が出来たブレーキパッド側もなんとかします。
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これで少しは改善できました。
あとはブレーキフルードを入れ替えます
上から新油を補給しながらペダルで圧送、下から古いフルードを受けます。
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その他のおおよその作業を終えましたが、車検の基準に、フロントガラスと助手席ガラスには決められたもの以外貼り付けてはいけない、との基準がありますのでフロントガラスに吸盤で取り付けられていたナビゲーションの土台、それと両サイドに貼られていた小さなシールは外させてもらいました。
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これで晴れて車検に合格したバモス君はまたお客さんの足として活躍するためにオーナーさんの元へ帰っていきました。
K様この度は数ある自動車整備工場の中から当店を選んで頂きありがとうございました。
今後とも末長お付き合いの程よろしくお願いします。
我々のお仕事で、理想とする修理方法ではコストが掛かってしまい過ぎてお客さんの要望とずれが生じることがあります。
というよりもそういうお仕事の方がほとんどと言って過言でないでしょう。
車検にしても事故修理にしても、ほどほどに、と思われるお客さんがほとんどです。
その理想の修理とお客さんのご予算との折り合いを付けるのが自分の置かれた立場だと思って毎日いろんなご提案をしてます。
ご予算と要望がかけ離れすぎると不可能なことはありますし、余りに高額な部位が故障してしまってお客さんの悲しい顔を見ると、とても辛いものがあります。
可能な限り自分の知恵がみんなの笑顔に繋がればと日々精進してます。
相談は無料です。
ただ分解して故障診断しないといけない場合とかはありますからそのあたりは有料になるかもしれませんが、まあ取りあえず一度声を掛けてみてください。