スズキのブレーキパッドの謎 その2 完結編

前回のスズキのブレーキパッドの謎としてあげた記事がGoogleの記事に引っかかってバズりました。
長いことブログやってますがこんなことは初めてでおかげさんでたくさんの人(ビックリするぐらい)に見てもらえたようです。

そんなこともあって今一度もっときっちり古い品番と新しい品番のパッドのどこがどう違うのか確かめてみました。

結論は

材質や堅さはわかりませんがパッドの形状は微妙に違う

ということがわかりました。
とはいえ形状変更の意味までは??ですね

とりあえず形が違うところを何点か撮影しました。
赤いペイントがされてるブレーキパッドが古い品番 55810-81MB1
こちらから見るとちょっとわかりにくい

反対側から見ると奧が新しい品番55810-74P01のブレーキパッド、手前が古い品番。
新しい品番のブレーキパッドの両端が外周に出っ張ってるという感じ。

上下ひっくり返してこの方向で見ると両端の形状が違う。

新しい品番のブレーキパッドの摩耗剤が全体的にローターの外周側に移動してるという感じ。

 

という感じですね。
なにかしらの改良が行われてるのは間違いないことはわかりましたね。
ではなぜ?ということに関してはメーカーサイドでないとわかりませんよね~(笑)

ややこしいのはどちらのパッドも座金(土台)の形状は全く同じなのでキャリパーに普通に取り付けることができる点ですかね。
ちゃんと型式や年式でどちらのブレーキパッドが正しいのかを確認しておかないとちょうど境目のややこしい年式だったりすると間違ったブレーキパッドを付けてしまいそうです。
その弊害は・・・・わかりませんけど・・・

あと全くパッドの話題と関係ないですけど、公道ウルフの第10巻が令和5年8月18日に発売されました。
二葉モータースは物語に出てくる「双葉モータース」を応援しています。
ぜひぜひ購入してください!!
以上宣伝でした(笑)

スズキのブレーキパッドの謎

うちのお店はスズキの車が好きでお客さんにもできるだけスズキ車に乗ってもらいたいんです。
別にスズキからお金をもらってるわけではなく、昨今の車の状況からいろんなメーカーに対応するより限られたメーカの車を手厚くサポートする方がお客さんのためだと思うようになったからです。
「お車のことは何でもお任せください」
というキャッチコピーで広く薄く対応するだけでは無理があるほど整備のノウハウの掘り下げが必要な時代になってきたんです。
もっと平たく言うと1人で整備をやってる以上、いろんな車は扱いきれないということです。

というわけでスズキ車に囲まれていると幸せを感じるんですね(笑)

とはいえスズキの車の部品を常に在庫して対応、と言えるほど在庫は置いてないんですけどブレーキパッドは数多く走ってる車種の分はだいたい乗用車であれば55810-81MB1という番号のパッドが適合するので持っています。

それがここ最近、車種で言うとMK53SのスペーシアとかMR52Sのハスラーとかそれら以降の車種は55810-74P01と部品番号が変わっています。

(アマゾンでも売ってますが価格が違いますね。なんでやろ?)

たまたまその2種類のパッドが手元にあったのでどこが変わったんやろうなあ?と眺めてみたんですが・・・・

どう見てもサイズ・形状共に同じにしか見えない。
その辺にある物差しでおおよそ測ってみたんですが一緒。
なによりも実車にあえて両方のパッドをセットしてみましたがどっちもしっかり取り付け可能。
ローターへ当たる面積も同じ。
面取り角度も面取り量も同じ。

そしたらなぜ部品番号が違うの??
物価高にかこつけて値上げか?
と思ったけれど定価は同じ、仕入れも同じ。

謎だらけでおもしろくなってきました。

そしてもっと不思議なのがパッドに刻印された文字列
NBK SA11A

これも一緒。
刻印のSUZUKIと順番が違うだけ。
このSA11Aの文字列は寸法とか形状を表してるんでしょうか?

あと考えられるのはパッドの摩耗する部分の材質とか堅さとかなんでしょうか?

ブレーキ異音対策でパッドはマイナーチェンジしたりするのは常々ありますがその一環なんでしょうかね~?

ブレーキパッド2セットならべてそんなこと思ってました。
もっとも、メーカーが指定した番号のパッドを使っておけばそれでOKということなんですけどあまりに同一なので不思議に思いました。

あとちなみにスズキの純正パッドは異音対策のシムがセットになってるのでぼろぼろになったシムも一緒に交換できます。
外品のパッドを購入したらシムは付いてきません。
価格差も言うほど違わないのでパッド単体で交換するよりより一層きれいな仕事が出来るのでお勧めです。

あと全くパッドの話題と関係ないですけど、ヤングチャンピオンに連載中の「公道ウルフ」の第10巻が令和5年8月18日に発売されました。
3巻と4巻に背景としてうちのお店が描かれています。
二葉モータースは物語に出てくる「双葉モータース」を応援しています。
ぜひぜひ購入してください!!
以上宣伝でした(笑)

 

–2023年8月22日 追記–
後日じっくり眺めたらパッドの形状がわずかに違うことを発見。
続きはこちらをどうぞ

 

ワゴンR 冷却ファンが原因のエアコン冷え不良

ワゴンR MH34S 平成26年 走行12万㎞

エアコンがほとんど冷えないという事でご入庫です。

冷えない原因はガス不足、と疑いがちですがまずは基本から。

エアコン周りの電源がちゃんと来てるか?
エアコンパネルから指示は行ってそうか?
配管がオイルまみれになってないか?

などなど

エアコンコンプレッサーは回ってるかを見ると回ってる。
エアコン配管を触ってみると温かいとこは温かいし冷たいところは冷たい。
配管を触ってるときに

あれ冷却ファンの音がしない

と。

診断してるときは見るのと同時にいろんな感覚で感じとることができる冷静さが大事かも。

 

診断機を繋ぎ強制的にファンを駆動して見るも回らない。
ハンマーの持ち手をつかってファンをちょっと押してみたらゆるゆると回り出したので原因はここか、と判断。
で、その診断を裏付けるために診断機の冷却水温値を見てみたら普段は85℃~95℃くらいなのに115℃だったのでほぼ確信を得ました。
またこの頃のワゴンRやスペーシアなどに冷却ファンの保証延長が出てたことも頭の片隅にありましたので余計に間違いないと。
ちなみの保証延長は登録から7年走行10万㎞までだったので適合しませんでした。

 

原因がわかったら冷却ファンの交換に着手。
まずはエンジンアンダーカバーやバンパーなど分解。

エンジン側も邪魔になりそうなエアクリーナーケースなど分解

分解が終わったらエアコンガスを回収。
この形式より前のスズキ車はラジエーターを車体下側に引き抜くよう外せたのでエアコン周りの配管はいじることなかったんですが、このワゴンRあたりから(R06Aエンジンあたり)ラジエーターはエアコンコンデンサーを外して前に引き出して外すようになってるのでガス回収は必須です。

ガス回収が終わったらコンデンサーの配管を外していきます。

そしてコンデンサーをまず取外し

そうしたらラジエーターが丸見えになるのでホース周りを外してラジエーターごとファンをはずします。

普通ならここで折り返し地点で新しいファンを付けて・・・となりますが、冷却ファンが回らないまま走っていたのでオーバーヒートさせてる可能性があります。
問診では赤い冷却水温警告灯は光ってなかったとのことでしたが、走行距離や年式を加味してサーモスタット、ラジエーター本体、も予防整備で交換をおすすめして、快諾を得たので作業を進めます。

サーモスタットを交換。
知恵の輪ですね。

そして新しいラジエーターと冷却ファン。
モーターだけ注文しようとしたらシュラウドと呼ばれる導風カバーなども一緒になってるようでひとかたまりで来ました。
保証延長の関係かな??

エアコンの冷えを決定づけるスポンジです。
このあたりを分解したのならば絶対交換すべきですね。
スポンジが風化して隙間の空いた状態での復元はアウトです。

ホース類も劣化してるので同時交換。

コンデンサーを付ける直前のラジエーターです。
銀色がまぶしい(笑)

手の届くところにスロットルバルブが見えたのでおまけでバルブ内部を清掃しときました。
かなりカーボンが溜まってたので走りが変わるはず。

全ての組立が終わったら冷却水を注入して圧力を掛けて水漏れ検査

エアコンガスを規定量注入して試運転

この日の外気温は34.1℃

エンジンや他の箇所にエラーコードが記憶されていないか確認。

試運転帰ってきてエアコンの吹き出し口温度を計測。
アイドリング状態でこれだけ冷えれば合格ですね。

新規のお客さんでうちではこのワゴンRを見るのは初めてだったのですが、ちょうどスズキの愛車無料点検期間中だったので車全般をいろいろ点検。
発電機をまわすベルトに亀裂が見つかったのでご報告。
後日再入庫頂くということです。

分解前に回収出来たガスは170g。
この時点で冷えが悪い状態だったのは間違いないですね。
そして不足分150g足して規定量320gを充填(じゅうてん)

そして交換したファンがどんな廻り方をしてたかショート動画にしておきましたのでご参考に。
電源につないだだけではまわらず、ちょっと指で補助してあげたらそれなりに回るという感じ。
とはいえもっと全速力で回らないといけないはずなのでやっぱり「お疲れ様でした」という状態ですね。

これでこの夏もしっかり冷えた車内でワゴンRに乗ることができるでしょう。
2年乗れたら良いとおっしゃってましたが調子よくなれば愛着がわいて「もう2年」となるのは自動車修理屋さんあるあるです・・・・

スズキ 愛車無料点検 承ります

2023年も!愛車無料点検!!
キャンペーン期間:2023.06.01~2023.09.30

毎年恒例となりました
スズキの愛車無料点検
令和5年6月1日~9月末までの期間中、点検承ります。

※2021年以前にご登録・届出のスズキ車が対象です。
※店舗へご来店いただき、30分程度お待ちいただければ作業完了です。
※ご予約の上でのご来店ご協力お願いします。

CVTフルード21万㎞無交換のハスラー CVTフルード・ストレーナー交換

スズキハスラー MR31S 平成26年式 走行距離210,000㎞

インターネットで当店を見つけていただいたオーナーさんから

「21万㎞走ってる中古車を買いましたが加速時にぎくしゃくするのでCVTフルード交換したら改善しますか?」

とお問い合わせいただきましたので来店いただき一緒に試運転。

オーナーさんが感じておられる違和感は察知できませんでしたが、問診内容ではエンジンの失火も考えられますものの、それはさておき距離もかさんでどことなくなめらかなはずのCVTがぎくしゃくしてるかな、とは感じたので

「大手カー用品店でやってるようなフルードだけぱっと入れ換える方法とは違い、それなりの作業量になるので安くは無いですが、フルード交換並びにその付随作業一式をしてみますか?」

と提案させていただき承諾をいただきましたので作業しました。

通常当店では作業中の写真を撮影してオーナーさんに画像を見ながら作業の内容を説明してからお車をお渡ししています。
ただこのCVTフルード交換作業は動画で内容をお伝えしたほうがわかりやすい題材なので今回生まれて初めて「全作業」をスマホで撮影して編集してみました。
作業後の報告を動画でする第1号です。
不慣れなため編集作業にかなり時間がかかってしまい寝不足になり目が乾燥してパリパリになったのは内緒です(笑)
まあ少しずつやっていこうかなと思いますが決してカメラの前でしゃべるYoutuberにはなれないでしょう・・・・
かろうじて文字で説明するのがやっとです。
お店の中でしゃべるのは今まで通りです(爆)

リンク張っておきますのでご覧ください。

ラパンショコラ CVTフルード&ストレーナー 交換

ラパン ショコラ HE22S 平成27年式 走行距離65000㎞

CVTフルード、ストレーナー、ポンプ用のフルードフィルターの交換依頼で和歌山市からおいでです。
自宅近くでやってくれるところが無かったとのことで当店の過去の作業事例のブログを見て依頼していただきました。

 

スズキのこのタイプのCVTはレベルゲージがあるので準備としてそこから上抜きである程度のフルードを抜き取ります。
そのほうがあとでフルードパンをめくるときにフルードがこぼれなくて良いです。

フルードの抜き取りが終わったらパンをめくっていきます。

 

フルードの残量はこれぐらいまで抜けてたのでこぼれないで外せました。

CVTの内部が見えました。
ストレーナーもそれなりに鉄粉色になってますけど全体的には距離の割には鉄粉の料はさほど多くない、という風に思いましたね。

オイルパンを清掃して鉄粉除去用の磁石も清掃して、の定番作業です。
フルードだけを交換する作業に比べて、ここを清掃するという作業の方が大事かなと思ってます。
なんなら清掃だけして抜けた分だけの規定量のフルードを追加するだけの方が効果的な整備では。

ストレーナーの新旧です。
もちろん右が新品。

メッシュ部分は異物はあまり噛んでませんでした。

 

内部の鉄粉をパーツクリーナーで流しておきます。

 

ストレーナーと共にポンプ用フィルターと言われるエレメントも交換。
このお車はアイドリングストップ時用のオイルポンプが付いてるタイプでしたのでまずはポンプを外して奥にあるエレメントケースを外します。

ポンプを取り付けるときにパッキンは新品に。

外した部品を全て組み上げたら抜けた分のフルードを注入。
ポンプ付きの車はエア抜きが必要なので診断機を使って作業します。

トルコン太郎にて圧送交換をして終了したあとの状態です。
左側の新油と右側の今現在CVT内を流れてるフルードの色合いがほぼ同じになりました。

交換した部品です。

最後は各部の漏れを点検

交換したフルードの廃油処して終了です。

今回作業の様子を動画にしてみました。
編集作業のまねごとみたいなものをしてみましたが慣れてないので時間ばっかりかかってしまいました(笑)
2分ほどなのでお時間があればポチッとな。

モコ MRワゴン ラジエーターファンモーターの寿命で交換

令和5年5月8日(月)よりお店は営業再開しております。
大型連休はしっかり安静にしてました。
出かける気は毛頭無かったので安静に絶対がついて「自主的絶対安静」の状態で暮らしてました。

時々渋滞情報をみて、赤い線が着いてる高速道路を走ってる方々は「大変やろなあ」と思ってました。

さて日産のモコ、スズキのMRワゴンOEM車です。
まあよくはたらいてる車で2008年式で18万㎞走ってます。
いろんな消耗品は一通り交換の憂き目に遭ってますが今回は

「水温警告灯がちらっと光った」というご一報です。
冷却水がなくなってたら大変なのでレッカーサービスをお願いしてご入庫です。

ご入庫後は冷却水量点検 ⇒ 水はある。
では次は冷却ファン回ってる?? ⇒ 回ってない
この時点でだいたいの故障ストーリーが頭の中を巡ります。

ファン用のモーターまで電気来てる?? ⇒ 来てる。

電気来た状態でモーター殴る(笑) ⇒ ちょっと回る(爆)

ということでファンモーター内部の消耗で寿命が来た、との判断で作業開始。

 

ファン単体では車から外せない構造で、ラジエーターごとの取り外しです。
そのためにいろいろ附属品も分解。

 

外すための作業をしながらエンジンに目が行くと「オイル漏れ」と目があってしまいました。
このまま放置すると以前に交換したサーモスタットケースのパッキンにオイルが回ってしまいパッキンが劣化、結果その部分から冷却水漏れというストーりができあがってしまうのでユーザーさんにその旨報告して追加作業の許可をいただきました。

18万㎞走ったエンジンとは思えないほどのきれいなカムシャフトまわり。
幾度となく定期的にオイル交換してもらってる証拠です。
ユーザーさんの日頃の愛情いっぱいオイルメンテナンスでしか得られない結果です。

素晴らしいメンテナンスとはいえ車のゴム製品は経年劣化します。
ただこの距離と年数まで漏れなかったのはやはり定期的なオイル交換のなせる技ですね。
外す途中でパキパキ「割れる」
もうゴムでは無くただの堅いプラスチックになっています。
これでは金属と金属の間を自身の柔軟性でせき止めてるパッキンの働きは無くなり液体の漏れを止める性能は残っていませんね。

 

オイル汚れが固着してないのでちょっとウエスで拭くだけで素材の色に戻ります。
素晴らしい!

新しい「しなやかなゴム」に交換してカバーを復元。
理屈では同じ年数・距離だけこのパッキンはもつはず・・・

カバーを復元途中にエンジンのアイドリング回転を調整するバルブにアクセスしやすかったので、外して点検。
スズキを含めこの形の調整バルブは煤が堆積して通路が狭くなってエンジンの回転数を調整しきれなくなることがあるので時々お掃除は必須です。
点検してみると18万㎞分溜まってました。

ちょっととがった工具で煤をつつくとご覧の通り。
この厚みの分、煤が蓄積してるわけです。

溶剤などを使ってきれいさっぱり。
これが本来の姿です。

いろんな回り道を経て本来の故障箇所、ファンモーターの交換。
これでオーバーヒートは大丈夫。
このファンはエアコンのガスも冷却してるのでこれが調子悪くなると、エンジンを冷やしきれないだけで無く、エアコンも冷えなくなると言う大事な部品なんですよね。

全ての作業が終わって、冷却水のエア抜きやらエアコンガス圧力など後処理をしてモコは待ちわびるユーザーさんの元へ帰っていきました。
まだまだ元気に走ってくれることでしょう。

 

 

さてあとは家訓に基づき捨てる前には部品を分解。
なぜモーターが回らなくなったか?という構造分析タイム。

このスプリングで「ブラシ」と言われる炭素素材でできた部品が電線の先にあるはずなのですが摩耗しきってしまってスプリングが飛び出てしまってます。

「ブラシ」がすべて「粉」になって堆積してますね。

よく見るとわずかに残骸が残ってました。
ほんらいは1㎝ほど長さのあり、写真の茶色のケースに収まってる部品なんですよ。
軸が回転することで押しつけられたブラシは少しずつ摩耗していき最後はこういう形で寿命を迎えモーターは終わります。

実はこのブラシを交換したら復活するので部品さえあれば実は修理できるんです。
部品設定されてたり、他のモーターのブラシを流用したりして復活させてる場合も見受けられます。

修理して使えば流行りのSDGs(えすでぃーじーず)って言う一部の人が大好きなあれですね。
いろんなキャンペーンをして、使えるものは修理して使うことで再生できるものは再生して使う、とか。

自動車も修理できるのならその部位だけ手当てして復活させるといいと思うんです。が、再生するコストを考えたらユーザーが嫌がって捨てる選択をする、となるのが現実ですよね。
このモーターでも分解することなんか想定してなくてプレスで蓋が開かない構造になってるのを力技で無理矢理開けてこそ中身とご対面できるわけです。

最初からモーターごときを修理して使うなんて言うことは考えてなくて壊れたら交換、もしくは壊れたら新車買ってねと言うことですね。
自動車が耐久消費財なのである程度は理解できるんですが何かもったいない気が。

その上、国の施策として古い車には税の重加算をして、新しい車はいろんな特典をつけて減税して乗換に誘導してたり・・・・
ドイツなんかは古い車を維持してたら「ゴミを出さない」という環境維持のご褒美として「減税」ですからね~

えすでぃーじーずで循環可能な社会を、といいつつ、乗り換えざるを得ない方向に民間を導く・・・
なんとも矛盾だらけの現実ですよね~

現場からは以上です。

72ワークスと36ワークス 記念撮影

車検で入庫した36ワークスと当店で動態保存中の72ワークスを並べて記念撮影しときました。
7歳と35歳。
WORKSの文字列は共通です(笑)

 

 

古いワークスはガソリン入れるところをキーで開けるタイプです。
今の車にはもうないですね・・・
昔の車では普通だったんですが、いまはオープナーで開けるタイプだったりちょんと指で押すタイプだったり・・・

 

ガソリンを給油するときは必然的にキーを抜いて給油口に差さないといけないので【給油中エンジン停止】は絶対に守れます。
ある意味安全ですね・・・

スペーシア スライドドアのカーテン 戻らない

スズキ スペーシア MK32S 平成25年 走行50000㎞

後のスライドドアに標準で装備されてるカーテン。

スズキでの正式名称はロールサンシェードというらしいですが下から引っ張り出して窓ガラスの上部にあるフックに引っかけて日差しを防ぐという装置。

フックから外すと自動的にドアの中に巻き取られて収納される・・が巻き取られなくなって写真の通りでだらんとぶら下がったままになったと言うことです。

ロールサンシェードはスライドドアの内装に組み込まれているのでいったん内装を分解。

内装からロールサンシェードを外してみたら巻き取るためのスプリングが付くべき部分が風化による破損でポッキリ。

部品交換すれば治る,というものですが部品は折れたところだけ設定されて居らず、サンシェードと本体全部で13000円程します。

使う頻度と効果やスペーシアの残り寿命などそのあたりは一考。
スプリングが固定できれば機能は復活するはず、ということで耐久性はどうかなと心配なこともありますが、スプリングの線径よりちょっとだけ太いドリル(1.2㎜くらい)で軸の根元に穴を開けてそこにスプリングの端っこを引っかけてみました。

あとは元通りに組立。組み立てるときに巻き取る力を加えるためこの本体を3~4回転ひねって取付。

無事サンシェードは元の機能を復活してちゃんと巻き取られるようになりました。

こんな細い穴を開けることはめったにないでしょうけどピンバイスドリルはひとつ持っててもいいかもしれません。

 

材料費+部品代は0円(笑)

うまく「修理」できるときのいうのはこんなものでだめなときはどう考えて交換しかない場合もありますし・・・

しかしこの部分の破損は定番の故障みたいで全国の皆さんがそれぞれそれなりの修理方法で直しておられますね。

このお車の場合引っ張り出したまま青空駐車しておられる車なので条件は不利かなと直感的に思いました、。
戻そうという力が軸に掛かったままで、車内の温度は夏において想像できないくらいの暑さになりますからプラスチック部品にとっては過酷な環境でしょうね。

同じスペーシアに乗って居られる方はサンシェードを収納した状態で駐車された方がこの軸の破損はひょっとしたら避けられるかもしれないなあ、と想像しました。

というわけでスペーシアはユーザーのもとへ帰っていきました。
反対側のサンシェードがちょっと心配・・・

エブリイ エンジンの力がない エンジンがガタガタ揺れる

スズキ エブリイ DA64V 平成19年 走行20万㎞
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朝から着信でお客さんからのお話は

エンジンがおかしい

これだけではわかりません(笑)
というわけでじっくり問診するためにお客さん宅へ。
そこでの話は、

・エンジンは掛かる
・動こうとクラッチをつなぐも車が重い
・エアコンを入れようものならクラッチ合わせすらきつい
・取りあえず少し走ってみたが信号待ちで車全体が揺れるほどの振動がある

そこで自分が乗ってエンジンを掛けてエンジンからの声を聞く(笑)
自分自身の「お尻センサー」から伝わってくる振動で

3個ある燃焼室の一つが燃えてない

ということはわかったので代わりの車をおいて工場まで引き取る。

 

エンジンの燃焼室が燃えてない。

基本点検は先人がらの言い伝えでちゃんと燃えるには

良い圧縮

良い燃料

良い火花

もうこの3つに限るという感じ。
まあこのあたりで火花がヤバいというのは薄々感じてるんですが、そうじゃなかったら遠回りしてしまうので基本に則って診断。
入庫したときに排気ガスが臭いので、燃料はエンジン内までは行ってると後回し。
火花を診断するにはカイセ社製のイグニッションアナライザーが使えるので3個調べる。

 

1気筒目
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2気筒目
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3気筒目
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波形の細かい説明は省略で3個の波形が似てるかどうかが判断材料。
明らかに3気筒目が違うのは一目瞭然。
2番目と3番目のイグニッションコイルという部品を入れ替えてみたら入れ替えた2番目が働かなくなる。
だんだん絞り込めてきました。
どうも良い火花ではなさそうなのは間違いない。

 

良い圧縮を確認。
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20万㎞も走ってるので良くはないけど燃焼しない原因までではないので除外。
燃えてない3番目が一番良い値なのはご愛敬。

そんなこんなで点火プラグも大丈夫だったのでイグニッションコイルがお亡くなりになってるのは間違いないと判断。
ついでにエンジンオイルがプラグホールに漏れてたのでそこも同時に手当。
イグニッションコイルがオイル漬けになってたのも遠因かも。
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エンジンオイルはすごくマメに交換してるオーナーさんなので距離にしてはとても状態は良好。
部品が揃ったのでイグニッションコイル×3、プラグ×3、カムカバーパッキン、などなど交換。
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交換後の波形
1気筒目
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2気筒目
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3気筒目
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全てがおおよそ同じ形、というが完治の証拠。

 

ついでにはたらく車のタイヤも交換。
2年、1.5万㎞足らずでこの状態。
よく 「走り・止まり・曲がる」 くるまです。
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エブリイはお仕事するためにオーナーさんのもとへ帰ってきました。
しっかり働いてね~