スズキ エブリイ AGSミッション警告灯 点灯 P190Fアキュムレーター異常

スズキエブリイ DA17V 平成28年式 走行約15万㎞
数年前から気温が下がってくると時々AGSミッション警告灯が点灯。
一度エンジンを切って再度掛けると消えてる、という症状。

3~4年前から相談を受けていましていつも入庫時には警告灯は消灯しており、診断機でダイアグコードを見ると  P190F  ⇒  アキュムレーター異常   というコードが過去故障として記憶されています。

これがなかなか再現性がなく、お車を預かって試運転しても点灯せず、異常も感じられないので困ってました。
整備マニュアルのフローチャート(整備手順)をたどっていっても最終的にはアキュムレーター交換という高額な修理を選ばないといけないコース。
変速に異常が現れて仕事に差し支えるなら仕方ないので修理を選ぶのですが、今の段階では走行に異常があるわけでなく、さてどうしたものかと。

幸いお客さんも整備に理解のある方で、まあ行けるとこまで行こか、という了承を得ていたのでそのまま走ってもらってました。

ことしも気温が下がってきていつものパターンでとうとう点灯。
エラーコードは相変わらずP190F

何か情報は無いかとスズキのオンライン情報を探ってると、なんと症状そのままの対策としてミッションコントロールプログラムが更新されていました。

そのままの対策でうれしくなってきました(笑)

というわけで早速スズキ純正診断機を接続してリプログラミング
通称リプロ。

しっかり修理できたであろうということでお車を返しました。

数年間モヤモヤしてた気持ちが晴れてすっきりしました。
できればもうちょっと早く対策してほしかったなという気持ちもありますが何にも無いよりは数倍ましです。
スズキの開発者たちに感謝です。

 

エブリイ エンジンチェックランプ点灯

三菱 ミニキャブ つまりは スズキ エブリイ
業界内通称64エブリイですね。
平成26年式 走行16万㎞。
高速道路走行後、一般道で信号待ち中にエンジンチェックランプが点灯、何回かエンジンを止めたり始動したりしてたらそのうちランプが消えた、という一報にて入庫です。

エンジンチェックランプが点灯すると、なにをしても消えない場合とその内消えるというパターンがあります。
故障が回復していない場合などは常時点灯します。
一過性の不具合の場合、制御されてる電圧などがとりあえず範囲内に戻った場合で複数回エンジンを掛けたら消える、というプログラムが組み込まれてるということもあります。
ただし一度入力され記憶された不具合は診断機で見るとしっかり残ってることが多いので『消えたから治った」というのはちょっと違います。

入庫したところで早速スズキ純正の診断機を接続。
三菱だけどスズキの診断機で見れます。(キーの登録はだめでした)
しっかり記憶が残ってますね。

そしてフリーズフレームという部分を見ると車がどんな状態の時エラーコードが記憶されたかということも見れます。
この場合エンジンはしっかり暖まってて速度は0㎞、アクセルも踏んでいないアイドリング中に記憶されたということは推測できますので一報が入ったときの状況とほぼ同じということです。
ただ何時何分とかまではわかりません。

そしてエラーコードは
P0138
「リヤO2センサーの電圧が高くなり数分間そのまま張り付いた」
というエラーです。

この故障コードの場合、センサーそのものの特性がずれたということが多いですが、中には排気ガスをきれいにする触媒が劣化したときにも同じようなことにもなるので、この先の切り分けを慎重にしないといけません。
ここで診断する道を誤ると高価な部品を間違えて交換してしまい誰も幸せにならないのでいろいろ推測を確信に持っていきます。

走行しながら電圧変化を見たり下のグラフはエンジンを空ふかしをして電圧の動きを見てるところです。

排気ガステスターで排気ガスの成分を調べたり・・

そんなこんなでほぼ間違いなくセンサーそのものが劣化して間違った電圧を出すようになった、と結論づけて部品を交換することに決定。
センサーそのものも安くはないですし触媒が悪くなってたらもっと高額な部品代が必要なので「ここ」と決めるまでいろんな想定をしていつものことながら診断項目に抜けが無いかビビりながら作業を進めます。

交換すると決めたらエブリイの作業は簡単なものです。
コネクター抜いてセンサーを緩めて新しいものにつけ替えるだけ。

新旧の部品です。

作業後のチェックでも想定通りの電圧の動きで完治したということでお仕事に復帰するためミニキャブ(エブリイ)はユーザーさんのところへ帰って行きました。

おおよそ最初の見立て通りの故障で、その裏付けを取るための作業だったため大きな波乱はありませんでしたが、スタートでこけると思わぬ遠回りをしてしまうのが故障診断。
毎回作業がおわるとホッと安堵するのが日常です。

 

ワゴンR エアコンが冷えない MH34S

エアコン冷え不良のシーズンまっただ中でお問い合わせ・相談が連日続いてます。
そんな中 ワゴンR MH34S なにかしら冷えてるような風は出てるけど明らかに冷えてる感じがしないと言うことでご相談を受けました。

明らかに冷えてないのでいろいろ測定器具を装着。
スナップオン社製カーエアコンサービスステーションデュアルは圧力計も装備されてますのでいろんな装置をつながずとも総合的に診断器具として使えますので便利。

この日の気温はおおよそ33℃

吹き出し口の温度は約28℃

あきらかに冷えてない

その時の圧力は

エアコン整備を常々されてる整備士ならこの数字で『ガスが足りない』は判断できますね。
では『どれほど足りない』はなかなか当てられないのがガスの量です。
某カー用品量販店やスタンドとか慣れてない整備士ならこの数字でも『ガスは入ってます』とかいいそうです。
自分でもこのメーターの指示値で「どれほど足りない」と聞かれても答えられないのがガス量なんですよね。

ガスの量を診断するには

いったんガスを回収して精密なはかりでその重さを量る

しかないです。

ということで、少なそう、を前提に回収してみました。

するとワゴンRからは35gしか出てきませんでした。

これが新車から自然に減ってこれほどしか残ってなかったのか、どこかが漏れて減ってるのか中古車購入のご新規さんなので整備歴がわかりません。

ユーザさんにも

タイヤの空気と一緒で気体は自然に抜けてしまいます。
それが自然に抜けただけなら足せばまた使えますがもしこれが釘を踏んでパンクしていたのならまずはパンク修理からですね。

と説明しました。

その上で今回はガスを規定量にチャージしますがパンクを見つけるのは同時に注入する蛍光剤を使います。
しばらく走ってください

との了承のもとガスチャージしました。

規定量チャージしたあとの指示値です

最初と見た目何にも変わりませんね。
規定量320±20gに対しての35gですから『ほとんど無い』という状態と、正常な量になったあとの圧力計の指示値は高圧側の数字が正常になっただけです。
ガスの量は圧力計だけでは見分けるのが難しいです。

吹き出し温度は

スズキ車ではこのあたりで低温側のスイッチが切れますから正常な温度まで冷えるようになりました。

ガスが足りなくて冷えなくなるのは当たり前なのですが、以外に軽自動車クラスは100gあたりまでは結構冷えるように感じます。(冷えてないことにユーザーさんは気づいてない)
でもその時のエアコンシステムは少ないガスで全力で働いてるので部品に無理が掛かり、結果的にエアコンの故障に繋がります。

冷えてると言ってもぎりぎりなのか正常なのかでその先のコストが変わってくるのでタイヤの空気圧(つまりは空気量)を見る人は多いですがエアコンシステム内のガスの量にも気をかけてくださいね。
せっかく縁があって一緒の居る愛車なのですからペットと同じだと思います。
いつも健康に気を掛けてあげてください。
ついでと言ってはついでですがエンジンオイルの管理は基本中の基本と呼べる健康管理です。

※ 一週間後ワゴンRのオーナーさんは今度はタイヤのパンクでご来店。
ご縁があって再度お世話させてもらえました。
エアコンは今のとこ絶好調に冷えてると言うことでした。
ガスが自然に減ってたことをお祈りしております・・・・・

 

MRワゴン12ヶ月点検 マフラー応急修理

令和6年のゴールデンウィークは暦通りの営業です。
連休と連休の間の平日にもご来客やとお仕事があって「開けてて良かった」という流れです。

MRワゴンは12ヶ月点検でご来店。

エンジンオイル交換が主な作業ですがリフトで持ち上げるので当然のように下廻りも点検。
するとマフラーの中間部分に目があいました。

おおこれはヤバい。
腐食により排気ガスの漏れが始まっています。
排気ガス廻りの漏れは保安基準に抵触しますから見過ごせない故障箇所になります。
もしこれが車検であればこのままでは合格できませんので即刻対応が必要になります。

ワイヤーブラシでこすってみると小さな穴が開いてます。

マフラーからの排気ガス漏れ手当てはいろんな方法がありますがどの方法にせよ交換以外は対処療法になり根本治療にはなりませんしそれなりの費用がかかりますので、まずは応急手当をしてオーナーさんの予算確保を待つという選択をしました。

粘土みたいに指でこねて擦り付けるタイプの耐熱樹脂です。

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とりあえずという修理です  (^^ゞ

とりあえず一度お車をお返ししてその後の相談をさせてもらいました。

あとはヘッドライトのくもりも気になったのでちょっとだけきれいにしておきました。

どんな商品でもそうですが経年劣化による不具合は避けて通れませんので、いつかは誰かがその部分を手入れしないといけません。
中古車などで購入した場合その順番がどなたに来るかはもうくじ引きみたいなもんですね。
ただ順番が来たことにくじけず愛情をかけてあげると車は調子よくオーナーさんに寄り添ってくれるんです。
相思相愛が長く付き合える秘訣です!

 

 

オートバックス 脱輪等防止策ってなに?

某オートバックスにて車検を受けたユーザーさんが突然のパンクでご入庫。
車検作業は令和5年7月ですからまあ半年ちょっと前。
納品書見せてくれたので参考させてもらいました。

過去にこのブログでハブクリアなるものをしてないのに価格に入ってとの記事を書きましたが今回もそれがどうなってるか興味津々(笑)

タイヤ交換でホイルを外してみたら今回はそれらしき「油」を塗ってあって
「おお今回はちゃんとしてるやん」と。

でもハブの中心は錆びてますけどどうなんでしょう。
自分の整備基準ではブレーキローターとハブ中心部分との固着を避けたいのでできればハブとローターの隙間にも塗ってほしかった。

そして納品書見るとハブクリアという記述はないものの
車軸面防錆処理工賃
という商品名になってました。
改名したのかハブクリアという名称は商品名で実際の納品書としてはこういう記述なのかな?

それはさておきその後ろの

脱輪等防止策

って言うのが今回気になりました。。。

これってなんでしょうか???
油を塗ることで錆ができずにその結果脱輪防止という意味なんでしょうか?
それとも何かプラスでナットを締めるときに特別な加工があるのかな(笑)
オーナーさんに口頭で商品説明でもしてるんでしょうか?
今回のオーナーさんは車検時にタイヤローテーションしてくれてる事実は知らず、ハブに油を塗る意味も「さて?」という反応でお金を払ってました。

実はこのお車、ホイル外すときナットが堅く締まりすぎててインパクトレンチを通常の4~5倍の時間かけてやっと緩むという状態。
まさかきつく締めるのが脱輪等防止策なのかな・・・なんて思いました。
本来は規定トルクで締めることが脱輪等防止策だと思います。
大型トラックのタイヤ脱輪の原因は締め方が足りなくて緩むよりは締めすぎてボルトが延びてヒビが入ってそこから破断、というケースの方が多いとか。

自動車整備士というもの、働く工場の環境や経営方針によっては仕事を急がされてついつい丁寧な仕事が出来ずにバババってインパクトレンチできつく締めてはい終わり、となる気持ちもわからんではないです。
ただでさえ人手不足なのに大きな看板をしょってる会社は従業員を守るため一件でも仕事を取ろうとします。
丁寧な仕事をしたいのに現実には無理、と嘆いてる現役の大手新車ディーラー整備士の話も聞きます。
会社は新商品や整備メニューを作って売って入庫させ、それを処理する現場ではついつい急ぎの仕事になる。

そのあたりは自分みたいに自営してて作業のクオリティに責任及び自己満足が重なる立場の人と、雇われて作業する人の間には埋めがたい溝があるのも事実ですね。
会社全体で顧客の方を向いてモチベーションを共有できる工場なら最高なんですけどね~

単なるパンクでタイヤ交換というだけの作業でしたが、最後まで気になるんですが

脱輪等防止策

ってなに・・・・??

スペーシアMK53S ハスラーMR52Sなど ダブルテンショナーISGベルト交換方法

スズキのマイルドハイブリッド車でスペーシアのMK53S型とかハスラー(MR52S型とかMR92S型とか)はベルトテンショナーを2個使ったタイプがあります。
そのタイプのベルト交換は既存の工具を駆使してもなんとか作業できますがKTCの工具を揃えておくと時短になります。

基本的な構造はこんな感じ(KTCの工具の説明書から借りました)
アッパーとロアーのテンショナーをピンで固定してベルトを外すという単純な事なんですが、とにかくエンジンとメンバーの間が狭いのでそのスペースに対応できる工具を持ってるかどうかが肝心です。

実際の作業ですがこのISGのベルトを外す前にコンプレッサーベルトを外さないといけません。
外すにはストレッチベルト脱着ツールを使うか切断ですね。
うちでは汎用の脱着ツールで外してます。(取付はまたちがうSSTで)

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コンプレッサーベルトが外れたらいよいよテンショナーのロックですね。

固定ピンだけでも売ってますね

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下のテンショナーを動かしてピンを刺す

上側も同様にテンショナーを動かしてピンでロック

2個のテンショナーをロックさえできればISGベルトはいとも簡単に外せます。

取付はベルトをセットしてテンショナーを固定したピンを外せば完了。

 

スズキのマイルドハイブリッド車はISGでエンジンを補助するのでベルトの負担がかなりきついみたいでだいたい4万㎞超えるとほぼひび割れしてます。
うちのお店の交換目安はそのベルトの使用が4万㎞超えたら、ですね。
距離を乗らない方でチョイノリ多い方は5年超えたら要確認です。

左が新品 右が外したベルト

ISGベルトが終わったらエアコンベルトの取付。
これも隙間が無いので工具を選びます。
スズキの純正工具を使ってます。

KOTO製の工具を使ってる方も居られます。(ナリタオートさん出典)

江東産業(KOTO) ストレッチベルトインサーター SI-52
江東産業

専用工具は揃えることが可能であれば揃えた方が良い仕事が出来るという方針です。
切れない刃物は余計な力が要るけど手入れされた刃物は力も要らずにきれいに切れ良い仕事が出来る、と先人に教えてもらったからです。
もちろん工夫して一から工具を作ったり既存の工具を知恵と工夫で使いこなしてる達人も居られますが、自分はそういう奇抜な発想力が無いのを自覚してますので工具買います・・・・・・。

2024年3月 整備のまとめ レジェンドハイブリッド車検など

おかげさんで2月の半ばから3月まで入庫が続いてまして一つ一つの事案で記事をアップすれば良いものを気づくと3月10日に近いという・・・
なので気づいた事案などをまとめてみました。

ダイハツムーヴ LA100S  走行38000㎞
信号待ち中にエンジンのどこかの気筒が失火してエンジンが触れ出した、ダイハツはイグニッションコイルが弱いから壊れたかも、とご入庫。

症状の説明が具体的なのはうちの元の従業員さんだから。
現在は引退されて日々の生活を楽しんで居られます。
整備士が症状説明してくれるのだから当たり前ですがわかりやすい。
イグニッションコイルアナライザーでいろいろ比較。
結論から言うと「デンソー製のプラグが原因」でしょうね。
コイルの出力やその他プラグ本体の焼け状態見ても違和感はない。
けれど見当付けてNGK社製のRXプラグに交換したら加速が入庫時と全然違うなめらかさ。
ダイハツ+デンソープラグの組み合わせ不具合を久しぶりに体験。

日産モコ(スズキのMRワゴン)車検でご入庫。
走行距離が少ないお車ですが青空駐車の影響もあってブレーキローターに錆が侵入。
パッドとローターの接触面積が減ってるとどうしても自分の物さしではNG。
許せないのでここらで一度手入れしておきますとご提案。

ローターをきれいに。

そして変な減り方になってたパッドもきれいに。

ホンダレジェンドハイブリッド KC2。
お客さんはなじみのお客さんですがこのお車の入庫は初めて。
正直見たことも乗ったこともなかったので構造を一から事前に予習。
勉強すればするほど、「よくぞこれほど駆動力を制御をしてる車を世に送り出したもんだ」と。
前側のタイヤをエンジン+モーター1個、後ろのタイヤを2個のモーターで駆動。
すごいことしてるな~、と思う半面この車を整備するのかとドキドキ(笑)

仕組みはすごいとは言え消耗品は基本的なものであることに間違いは無いのでその辺りは粛々とメンテナンスさせていただきました。
トヨタ系のディーラー中古車で2年前に車検を受けて購入されたようなのですが・・・
記録上ブレーキフルード交換となっていますがこれって2年前に交換したブレーキフルードですか???

途中まで減らしてみたけれどタンクの底が見えません。
う~ん・・・・ほんまに交換した??

減らした上で新しいフルードをちょっと足してみたらかろうじて底が見える程度。

なんだかな~と悶々としながらブレーキフルードの交換。
さすがにハイブリッド車なので普通の交換手順ではなかった。
トヨタ系のハイブリッド車みたいに診断機を繋いで・・ではなく、

レジェンドハイブリッドのブレーキフルードの交換方法は

  1. アシスタントを乗せてペダルを踏んでもらう
    キーをオンにして4輪交換
    右前⇒左前⇒左後⇒右後 つまりは反時計回りに4輪。
  2. そしてキーをオフにして3分以上待って4輪交換
    これまた反時計回りに右前⇒左前⇒左後⇒右後と一周

※交換途中は乗ったままでドアを開けてはいけない

と通常の倍の手間と人員を使っての作業が必要と整備要領書を読み込んで作業。
予習のおかげ(得意満面)でなんとかクリア。

ブレーキフルード交換が終わってエンジンオイル+オイルフィルターの交換、とコマを進めるとここでも新たなトラップ。
オイルフィルターを強く締めすぎていて既存の工具では歯が立たない。
トヨタ整備士はまたやっちまったな(笑)

しばし方法を考えて工場の中をうろうろ。
そしたら古い工具のエリアに昭和時代のフィルター外しの工具が。
錆が回ってますが、「先代の父上ありがとう」、といそいそ使わせていただきました。
おかげで堅いフィルターに打ち勝つことができました。

新しいフィルターは決められた締付トルクで取付。
どこかの誰かが困らないように。

戦いの跡

レジェンドのオーナーさんが「ブレーキの効きのムラがあるように思う」とおっしゃるのでブレーキローターの振れを測定しようとダイヤルゲージを持ち出して測定。
あらためて文字盤を見るとなんとCITIZEN製。
JISマークも入ってますから正規品です。

あの時計のCITIZEN。
時計の技術を応用して精密機械を作っていたんですね。

実はこっそりとYoutubeチャンネルを持ってるのでよかったらチャンネル登録してください。
ほんとに時々ですが動画をアップしています。

そしてなんとレジェンドはホイルを取り付けてるナットの頭は22㎜。
(通常このサイズの国産車は21mm)
こんなサイズのナットを見たのは初めて。
こんなところがホンダらしいけど整備する側からするとちょっと焦る。

ちなみに締付トルクは127Nm。
この値も初めてでした。

あとはハイブリッド車の電動コンプレッサー対応のカーエアコンサービスステーションデュアルでガスを規定量にきっちりと。
POEタイプのコンプレッサーオイル対応のマシンでないと故障の原因に。

さて、次は・・・
時々水温が上がり気味のワゴンR MC22S 平成15年式の16万㎞。
たぶん今まで一度もサーモスタットは変えてなさそうなので交換。
取り付ける前に新品と比較。
同じ温度で開くスピードと開く量が明らかに違ったのでこれは経年劣化でしょう。
左が新品で真鍮の部分の移動量が違うのがわかります。
移動量=弁の開度ですからこれでよくエンジンは冷えるようになるはず。

サーモスタットと同時にラジエーターキャップやら気になる配管あたりを同時交換。
手間は一緒なのでこういうときにちょっと範囲を広げて部品交換しておけばお得ですね。

まあこんな感じで3月はこれから後半戦。
落ち着く日はなさそうな予感・・・・

 

スズキのブレーキパッドの謎 その3

何度かお伝えしてますがうちのお店はスズキの車が好きで、そうなるとやはりスズキのお車に乗ったお客さんが増えてきます。
するとスズキ車をお手入れすることが増えてきて慣れてきます。
その結果故障診断が早くなったり部品の交換が早くなったりしていい循環が生まれます。
スズキの車に乗ったお客さんに囲まれていると幸せを感じるんですね。
お店もお客さんもスズキ車というキーワードでつながれるんです。
ひとつのフィールドにみんなが入るとメリットは大きいと思っています。

そんなこんなで平成26年式のパレットMK21S の車検をお預かりして、診断の結果ブレーキパッドは交換が必要となり注文しました。
うちのお店ではスズキ車のブレーキパッドは純正を使います。
異音止めのシムも最初から同胞されているので同時交換できてそんなに社外品と価格も変わらないからです。

さて本題ですが、スズキ車はブレーキパッドの形が見た目は一緒でなおかつコストダウンの目的もあって割とブレーキパッドはいろんな車で共通化されています。

うちではだいたい部品番号で55810-81MB1というパッドは在庫してると以前にブログでも書きました。
パレットも同じパッドなんやろな~とたかをくくって発注してみたらなんと部品番号が違いました。
パレットは55810-82K00です。

注文して部品が届いて箱開けてみましたが単品で見る限り以前の記事と同じ事で「見た目は何も変わらない」状態でしたので手元にある55810-81MB1と見比べてみました。

これもまた以前と同じでなにも違いがわからん・・・が第一印象でしたが裏返してみると

スリットが2本入ってました。
ここは大きな違いですね。
パッドの材質的な違いとか色合いはほぼ一緒に見えました。

 

大きさとかパッドのカーブとか面取り部分の角度とかも見比べてみましたがほぼ同一という感じ。

見た目は過去の記事に比べて大きさや形はほぼ一緒というのが結論です。
ただ時代に応じてパッドの材料とか堅さとかは違うんでしょうね。
使ってるブレーキローターとの相性も考慮してるはずです。

あと大きな違いはパッド摩耗警告を出す座金が55810-81MB1は付いてるけど55810-82K00の方は付いてないということですね。
付属してる異音防止のシムの形状は全く同じで互換性ありですね。

間違って取り付けても普通に違和感なく取り付け可能とおもわれます。
見た目一緒で機能的にも一緒でたぶん普通に使えるとは思いますが、やはり番号が違うということは我々の知らない領域でいろいろ改良が加えられていたり不具合が発生して改良が加えられたりして進化を遂げていき番号に変化があるんでしょうね(曖昧)・・・・
えらいこっちゃ、とならないようにうちでは指定の部品を使うようにしています。
なんと言ってもブレーキの部品ですからね。

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スズキパレット プーリーが錆びないように手当てする

今回は車のウィークポイントがわかってるのであれば大事に至る前に手当てをしてみました、と言う話です。

スズキパレット MK21S 平成23年 6万㎞。
車検でご入庫です。
普段からお付き合いのあるお客さんで、当店がインターネットでホームページを開設した当初にお問い合わせいただきそこからお付き合いの始まり、かれこれ15年くらいお世話させていただいてます。
本当にありがとうございます。

いろいろ乗り継いでおられますがこのパレットも乗り換えられて初めての車検でした。

車検作業は消耗品中心にうちでの初めての整備になりますので「うちの基準」にて整備提案。
あとはお客さんの予算とすりあわせの後、作業しました。

パレットというと当時タントが爆発的に売れていて、スズキがあわてて作った作品。
残念ながら急ごしらえが影響してか詰めが甘くてリコールがたしか4~5回施された覚えがあります。
とはいうものの手当てをすれば決して乗れないお車でもなく、中古車の場合、前ユーザーがどこまで投資してくれてるかなど「運」もあります。

このパレット
雨水が流れる経路に具合の悪い設計があって、垂れた水が悪さをしてオルタネーター(発電機)のプーリーと言われるベルトが引っかかる部分が錆びるという弱点があります。
割と有名な話なのでインターネットでも事例が引っかかったりします。
うちがパレットを預かるときはこの部分は必ず点検します。

そして今回も錆びてないかな~と覗いてみると「う~ん、ちょっと来てるなあ~」という感じ。
ベルトもそこそこ劣化してるのですか今回は出費をずらせるよう次回の整備箇所として・・・。

今回は幸いなことに雨水が垂れた痕跡はありません。
水を上から流して漏れテストしましたがなんとか間に合ったようです。
この少し下がった部分に雨水が集中して最後に垂れます。

垂れた下に位置してるのがプーリー(偶然に近い)なので、頻繁に動く車ならなんとかなるんでしょうけど、休日にしか動かない車だと垂れ続けた雨水がかかり続けるため不利です。
ここにはスポンジでできたパッキンもあるので最初のうちは大丈夫ですが経年劣化が進むと垂れてくるんですよね。

手当てはこの黒い「カウルトップ」と言われる部品を一度外して、スポンジを張り替えれば良いのですが、手間はそれなりにかかるので今回は全くの対処療法で垂れる水を「ずらす」という手法で手当てしました。

これなら費用もかかりません。
いざ垂れてきてもプーリにさえかからず違うところへ垂られてくれたら良いのでアルミテープを使って「雨樋」を追加しておきました。

パレットも年式が進んだお車が増えてきて、修理にお金をかけてもらえない車もそれなりの数になってきました。
延命措置ではないですが費用をかけずなんとか乗ってもらえたらええな、とすこしごまかしみたいな作業になりましたがプーリーが傷んでいくスピードは抑えられたのではないかと思います。

ちなみにニッサンのルークスもこの年式あたりのお車はスズキからのOEM車なので同じ事になります。
ご用心・・・・

 

 

アルト ブレーキの効きが悪い

スズキ アルト HA24S 平成18年式 走行約17000キロ

整備内容の説明のためにブログにしました。

年式の割に距離が浅いお車です。
「ブレーキの効きが悪い」という一報でご入庫です。

どんな風に効かないんでしょうか?

ブレーキを踏んでも車が走ろうとする感じ

こんなやり取りでその時はブレーキパッドが消耗してしまってブレーキローターを削りまくってるのか?とかブレーキのどこかが固着してるのかと入庫まで悶々と想像します。
うちの管理車両ならブレーキが固着するなんて言うことは無いように普段から手入れしてますがお得意さんの併有車なのでこのお車の入庫は初めてになります。

ということで入庫してから確認すると年式にしては距離が浅い。
と言うことは裏返すと止まってる時間が長いと言うことですね。
お預かりしてすぐにブレーキローターを見ました。
かなり錆びてえくぼだらけ。
この時点でまずこれかなと思いましたがまずは試運転。

ブレーキを踏んでみるとたしかに他の同型式のアルトと比べても効きが悪いのはわかりましたのでとりあえずリフトアップ。
裏側からブレーキローターを見たら
「ああこれか」という状態。

光ってる部分が実際ブレーキ力を発揮する部分です。
ほんとはローターの全幅が光ってないといけないんですが距離の浅いお車はどうしても錆が回ってしまいます。
ちょこちょこ動いてると錆びても何回かのブレーキで錆は落ちるんですが錆の方が強くなってしまうとこうなります。

雰囲気はわかったのでとりあえず4輪ともブレーキを分解して点検開始。

後はオーソドックスな感じですが、ブレーキシューの表面をサンドペーパーできれいにして最後はブレーキの隙間を目一杯詰めて調整します。
これだけでも効きが変わります。

ブレーキ調整が終わったらセンターナットを規定トルクで締め付け。

ナットを締めたらカバーを付けますが前回の整備の時にちゃんとした工具を使わずに取り外したため凸凹にしてしまっててこのままでは水が入ってベアリングが錆びてしまうので新しくします。

取り付けるときも真ん中をハンマーで叩くとこれまた凸凹になるので「縁」を叩けるよう工夫が必要。

これでよし!

外側の錆もできるだけ落してあとはお化粧しておきます。
性能には関係ないですがちょっとしたこだわり。

次は本命の前のブレーキを分解点検
表からの錆よりも裏側の錆がひどくてブレーキパッドとローターが半分くらいしか接触してないんですね。
これでは「効かない」と感じるはずです。

錆のおかげでいびつになってしまったローターを研磨(研削)して修正します。
まずはブレーキローターを取り外します。

取り外したら研磨機に接する部分の錆取り。

そして旋盤で材料を削るのと同じで均一に面を出していきます。

出来上がり

あとはローターを組み付けるだけ・・・ではなく自分なりの基準で組み立てていきます。
ローターの取付部分の錆取り

ピストンを押し出して錆びてないか、汚れてないか、固着してないかを確認。
この場合も汚れをできるだけきれいにしてからゴムとピストンの間に注油しておきます。

ブレーキパッドを支えるホルダー。
この部分にグリスを塗る整備士さんが多いですが自分は塗らない派。
ご覧の通り摩耗粉とグリスが混ざり合って泥団子になり悪影響しかないと思うからです。

グリスをきれいに落してその上で磨き上げておきます。

スライドピンへの注油も必ず。

今回ブレーキパッドは残量もたくさん残ってましたが、錆のおかげで変な減り方になっていたのと、距離を考えたらきっと新車から一度も交換されていなくて硬化してると思ったので新品をチョイス。
スズキの純正を使うと音止めのシムも新品で付いてくるので何かとお得。
リフレッシュには最適です。
シムとパッドにもグリス塗る人居ますが自分はここでも塗りません。
理由はグリスが異音止め効果がほぼ無いのとやはりここでも泥団子。

前のブレーキ組み立て完了。
黒くなってるのは錆が再度回らないように耐熱塗料を。

試運転後のローターです。
耐熱塗料も走ればきれいに取れます。
ローターの幅全面が接触したらブレーキの効きが復活です。 

たぶんですがこのお車の場合前回の整備(1年前の車検時)にはすでに錆は発生してたと思うんです。
そんな短期間で発生した錆の量や厚みではなかったので前回整備時に錆落としやちょっと一手間かけて軽く磨いておいてあげればこんなことにはならないですけどね。

雪国では凍結防止剤のおかげで普通に一冬でえらいことになるそうですが、ここは大阪です。
いくら乗らないお車でも2年に一度くらい軽く錆落としをしてあげたら普通は錆びません(キッパリ)

そんなわけでアルトはお仕事の足車として帰って行きました。
オーナーさんは「まだ動いてもらわないと困る」とのことでしたので活躍してくれるでしょう。

あとは余談です。
誰かがエンジンルームでパンを食べようとしたようです(笑)
食べてる最中に車が動いたのかここに隠しておいてあとで食べようとしたのかは不明・・・

ヘッドライトのくもりが気になってどうしても捨て置けなかったので磨いておきました。
本格的にきれいにするには時間と費用がかかるのでこのあたりで許してください。

精魂込めて整備させていただきました。
当店にご用命いただいてありがとうございました。