H4の球を止める針金 が折れてた

車検作業も大詰め。
あとはヘッドライトの光軸を合わせて・・・と思ったら左のヘッドライトの光軸が大幅にずれてる。
外から見ても何となくヘッドライト球の向きがずれてるように見える。
おかしいなあ~とコネクタの所を持って揺すってみると球がガタガタ動く。
なんで??~とコネクターを外してゴムキャップを外してみたら球を取り付けるスプリング(正式名称は何?)が折れてる。
バンパーを外して(この時点で萎えてる)、ヘッドライトを外して揺すってみると折れた破片が・・
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こりゃ大変!えらいこっちゃ!とこの先の対応をどうするか想像してあわてる。
時間が無いのもあるけど何よりその時の想像では
「ヘッドライトのこの部分だけなんて絶対部品設定されてない。
これはヘッドライト本体を替えないとあかんわ。」

でした。
過去にヘッドライトの球を外そうとしたときにコネクターごと引っ張ってスプリングが折れた人災、と思いますが、リカバリーの順番が自分に回ってきました(涙)
部品リストを見てみると想像通りそんな部分だけ売ってない。
ヘッドライト本体の価格は22000円。
見積金額は提示してしまってるしいまさら「価格訂正です」なんていうのも気まずくなりそうで言いにくい。
さてどうしたものかと途方に暮れてしまいました。
だいたいからして針金部分の正式名称すらわからないので「H4球を止める針金」でGoogle先生に質問。
すると
売ってる \(^_^)/
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早速注文
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ズバリそのもの同じ形ではなかったのでペンチを使って小1時間針金細工。
やっとそれらしい形に現物合わせ成功。
ある意味ワンオフで最低限の「修理」に成功!
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無事光軸をきっちり合わすことが出来て車検にも合格。
ホッとしました。
この部品のここだけあればなあ、と探してみても無くて、仕方なしにひとかたまりの部品を注文せざるを得ない今日この頃でお金が掛かってしまいユーザーさん共々がっかりすることが多いのですが、今回は「探して見るもんやなあ」と感動。
この部品のおかげでリーズナブルに修理できました。
発見したときの戦慄が走ったあの瞬間を忘れる良いお仕事が出来ました!

スズキエブリイ ベルト交換方法

スズキエブリイ DA17V 平成28年式 走行約6万㎞
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車検で入庫です。
いろいろ定番な部品交換ありですが、今回はお仕事の車と言うこともあってベルトを予防整備で交換です。
具合が悪くなってからではお客さんのお仕事の段取りを狂わせてしまうので経験と勘で痛みそうな所を先回りしました。

まずはボルト4本とクリップ4個でエンジンアンダーカバーを外します
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ベルト部分にカバーが付いてるので外します。
ボルト一箇所、ナット2箇所
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配線クリップを外します
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真ん中に見えてるコネクターを外します。
忘れると配線切れます。
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全部外れたらカバーを反時計回りに回しながら下に引き抜きます。
いろいろ引っかかりますがそのあたりは様子を見ながら・・・
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カバーが外れたらベルトが丸見えになります。
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この形式からエブリイはエアコンベルトがストレッチベルトになりましたので調整機構はなく、専用工具を使って外すか、時間を短縮するのであれば切断して外します。
取り外すときは汎用のストレッチベルト脱着の専用工具で外れます。
工具を取り付けてクランクプーリーをぐるっと廻します。
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オルタネーター兼ウォーターポンプベルトは調整機構を緩めて外します。
テンショナープーリーの真ん中のボルトを緩めます。
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調整ネジをスパナを使って緩めます。
廻す向きは普通に右ネジなのでねじ込む方向に回すとテンショナーが緩む方向に動きます。
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ベルトが外れました
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エアコンベルトの新旧比較です
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新しいオルタネーター兼ウォーターポンプベルトを取り付けます。
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テンショナーの中心ボルトは整備要領書に書いてあるとおり、ボルトを着座させてから80度~100度緩めて調整します。
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2023年6月 追記
真ん中のボルトを締め付ける方法が新たに通達されてます。

手順① トルクレンチを用い、40N・mで締め付ける。
手順② 12角の工具(ソケットまたはレンチ)を用い、腕が垂直に近い状態でボルトにかける。
手順③ 工具に合わせ見やすい位置にマーキングをする。
手順④ ソケットまたはレンチをボルトから外し、1角分反時計回りに回転した位置でボルトにかける。
※12角の1角分は30°である。
手順⑤ マーキングの位置まで増し締めする。

つまりは40Nmで締め付けてあと30度角度締めということですね。

 

音波張力計に所定の数値を入力して測定しながら規定値に合わします。
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あとはエアコンベルトの取り付け
スズキから購入した専用の工具で取り付けます。
SSTの部品番号は09991-07460
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これにて完成。
外した順番にベルトカバーを取り付け、コネクターを取付、配線クリップを取り付けます。
最後にエンジンアンダーカバーを取り付けて完成。

もしエンジンオイルを替えるならアンダーカバーを取り付ける前にドレンボルトにアクセスした方がレンチが簡単に掛かりますね。
ストレッチベルトは脱着にそれぞれ車種ごとに工具が必要でじゃまくさそうですが替えたあとの調整の手間が減るので最初に感じたストレスはかなりましになってきました。

またストレッチベルトは材質やら長さは繊細なものですから純正部品の使用をお勧めします。プロでも社外品を使って難儀してる人もいますので・・・

専用工具無しに交換したりしてる方もいますが自分は安心してきれいに仕事が出来る専用工具を使う派です。

工具無しに交換する方の知恵とアイデアは感心するものばかりで自分にはそんなセンスはないなあと・・・
ないので工具を購入して使い回すんです。
知恵がない分工具への投資が必要なので日々精進です。

セルボ フォグランプ球をLEDに換装

ちまたでは新車のヘッドライトやフォグランプ、テールランプにストップランプ・ブレーキランプはLED(発光ダイオード)が当たり前になってきたような雰囲気ですね。
メリットは今までのいわゆる「電球」に比べると
・ 消費電力が少ない。
・ 寿命が長い
・ 色温度が高いので白い光が出る。
・ 光の直進性が高い
などなど。
これだけではありませんが今日はこれぐらいにしといたろ(笑)
デメリットは
・ コスト
・ LED自体を冷やす方法が必要
・ 雪国では発熱が少ないのでライトに付いた雪が溶けないで溜まる
とか。
コストも冷却も今時点でもかなり改良が加えられてきてるので近い将来気にならなくなるでしょう。
ヘッドライトはすでに何点か試していてそれなりの効果を感じています。
また実際変更させてもらって「替えて良かった」と感想を頂いてもいます。
パッソのヘッドライト球を替えた記事です。
https://blog.shaken28.com/?eid=1003547
とにかく見た目明るくて遠くまで光が届きます。
替えたその日から実感できるので費用対効果は抜群です。
「電球」を使ってる車からの変更は特に値打ちがありますね。
なので次はフォグランプをLEDにしたらどうかという体験をするために自分の車を使って試してみました。
LED球で多いのはアンプ部(ドライバーとも言う)が別体のもの。
今回試したのは日本ライティングの白色と黄色の光を切り替えできる商品。
フォグランプのスイッチを早押しすると色が変わるというおもしろそうな機構だったので替えてみました。
我々がオプション部品を取り付けるときに
「取り外すときのこと」
「取り外したときの跡をどうするか」
「取り外しやすいこと」
を考えます。
量販店やらレベルの低いお店ではこれらを考えてる暇が無いのか、取付優先なのか、とにかく「あとのこと」を考えないで取り付けてくれるので修理の時に大事な部分に被さって取り付けてたりして大変なことになったりします。
バンパーを外してどこにアンプを付けるかをしばし考えて結束バンドで取り付けることに決定。
考えてる時間が一番長いのはどんな業種の職人さんでも一緒でしょうね。
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これでよし!っと。
実際点灯したときの写真がなくてごめんなさいですが、田舎道では白、雨の日は黄色、と使い分けられるのでとても便利です。
なによりも消費電力が少ないのでバッテリーにも優しい商品です。
これでちょっとだけお客さんからの質問に答える材料を得ることが出来ました。
もしご興味があればお問い合わせください。
あくまでも最初からフォグランプが取り付けられているお車への作業です。
ランプがない場合まずランプ本体をどうするかからのお話になりますのでお間違えなく・・・

スズキ スプリングのリコール ほんとに錆びてた

スズキのフロントスプリングが錆びて折れるかも・・というリコール
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メーカーの発表ページ
ワゴンR、スペーシア、アルト ラパン、MRワゴンのリコールについて|スズキ
いろいろリコール作業はしますが、「~の恐れがあります」という症状をあまり見ることはなく、
何も起こってないけど具合が悪くなった車があるんやろうからリコールになってるんやろな。
ぐらいに思うことが多いです。
しかし今回、スズキのスプリングに対するリコールは作業してて、「ああこれか」という症状を見ることが出来ました。
なかなか症状を見られるのは珍しく「やっぱり言うとおりやな」とちょっと感動したり・・・
4台作業しましたがこの車が一番走行距離が多いこともあって他車に比べて錆が進んでいたようです。
スズキ ワゴンRスティングレー 平成26年 走行11万㎞
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スプリングと同時にクランクプーリーボルトも作業。
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そしてスプリング交換作業に着手して、外したスプリングは塗装がはげて錆びてました
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ショックアブソーバーと接触する部分とスプリング自ら接触する部分の2箇所。
我々が「ショックの皿」と呼ぶ部分とスプリングが接する部分が特にひどい。
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新しい部品は錆びるであろう部分にしっかりとチューブが巻かれ皿とスプリングが直接接することのないように対策された部品です。
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大阪などは凍結防止剤をまく地域が限られるため「塩害」は少なくてこれで済んでますが、積雪地帯や離島など塩害の多い地域ではあっと言う間に腐食が進んでスプリングが折れてしまうんだろうなと想像します。
日本全国に車を販売するメーカーも大変です。
ともかく折れる前に手当てできて良かったですね!!
何度も言いますが
リコールは欠陥
という暗いイメージは捨てて
「無償バージョンアップ」を受けて得をした
という前向きな気持ちで行きましょう。

アルトワークス エアダクト付きボンネット交換

アルトワークス HA36S 平成29年式
アルトワークスは自分のカーライフの中でも一番好きなジャンルの車。
でかくて排気量があってその勢いで速い車はいくらでもあります。
けれど自分が好きなのは「こまねずみ」のような車(笑)
いまも半分コレクションで初代アルトワークスを動態保存してます。
そんな中、現代のアルトワークスに乗っておられるユーザーさんもおられます。
その方とワークスについて語らうととても楽しい。
その中の話で
今どきの軽自動車のターボ車はボンネットにエアダクトがない。
デザインなのかノンターボ車との部品共通化でせこいコストダウンしてるのか?
ターボ車は吸気温度を冷やしてなんぼなのに物足りない・・・
などなど語らっていましたがユーザーさんが一発奮起でエアダクト付きボンネットに交換するということでお手伝いしました。
購入元から直送でやってきましたボンネット
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FRP製のボンネットで塗装なりラッピングが必要。
色をどうするか迷いに迷ってボディーと同色にすると決断されましたので提携工場で塗装。
基本的にユーザーさんの作業のアシストをさせてもらい完成。
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やっぱりターボ車はこうでないと!
走れば走るほど前からの風を受けてインタークーラーが大活躍しそうじゃないですか。
エンジンルームの風通しが良いとプラスチック部品の劣化も防げて車の故障も少ない、という根拠のない確信(笑)
冷たい風は車のビタミンだと信じてやまない自分です。

アルト エアコンガスが漏れてるので修理します

スズキアルト HA24S 平成21年式 走行約9万㎞
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車検時に他の工場で
エアコンの高圧パイプからエアコンガス漏れてるよ
と指摘を受け、まだまだ大事に乗るつもりなのできっちり直したいと当店のブログでエアコンガス規定量充填サービスの記事を見てわざわざ和歌山市からおいでになられました。
指摘をされた整備士さんも的確な判断で間違いなく言われた場所から漏れた跡がありました。
おかげでこちらはその指摘に乗っかるだけで良かったのでその整備士さんに感謝です。
ただその店はエアコンガスの回収機を持って居られないのか、配管修理したらガスが全部抜けてしまうのでエアコンガスは2缶いるよ、との説明だったそうです。
その点、当店ではエコマックスジュニアⅡがこんなときも大活躍。
エアコン配管類を修理するまでにエアコンガスを回収出来るのでガスを大気放出することもなく、入ってたガスをそのままリフレッシュして再度使えるのでお客さんの負担は元から足らなかった分のガス代でOK。
結果、リーズナブルな修理が出来ます。
なのでまずは回収。
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回収しながら作業しやすいようにバンパーを一時取り外し
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そしてご指摘の場所、ガスとコンプレッサーオイルが同時に出てるのでギトギトしてます。
そしてパッキン(Oリング)を交換します。
ガスが配管内に入ってないことで安心して分解していけます。
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せっかくなので配管の反対側のパッキンも念のため交換しておきます。
出来る範囲でこう言うところは同時交換しておく方が結果的に長く乗れますよ。
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そして配管のパッキンの交換が終わったらバンパーなどを組み付けていきますが、最近のお車は組立にプッシュリベットと呼ばれるプラスチック製の部品で組み付けられています。
これが経年劣化で割れるのでこう言う部分もきっちり新しい部品に交換しておきます。
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組立が終わったら配管内を真空にします。
100%配管内をエアコンガスで満たすためと、配管を外してる間はパイプの中は大気中と同じ状態になり、水蒸気として配管内の入り込むのでそれを蒸発させるための二つの意味があります。
その後アルトの規定量のガスをきっちり充填。
同時にPitwork製のNC-200をいれます。
充填が終わった後の配管内圧力
外気温に見合った教科書通りの値です。
エアコンガスサイクルはしっかり働いてるということです。
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実際お車から回収されたガスは220グラム
規定量は320グラムなのでお客さんの負担は100グラム分でした。
これが回収機がなかったりきっちり充填できる設備がなかったらガス2缶(400グラム)の負担になりますから4分の1で済みます。
試運転中のエアコン吹き出し温度。
これくらい冷えれば真夏の炎天下でも快適な車内は間違いないです!
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和歌山市からおいで頂いた O様 今後ともよろしくお願いします!!
※ 2022/05/22 追記
ガスの規定量充填を純度の高いガスで行えるスナップオン社製カーエアコンサービスステーションDUALPROという整備機器を導入しました。

こちらへどうぞ

2020年6月18日発表ワゴンR スペーシア ラパン MRワゴン ハスラーなどのリコール

スズキからの今回のリコール
まず一つ目は
フロントのサスペンション(足まわり)のスプリングが折れるかも?
というもの。
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スプリングは鉄材料を曲げてスプリングにしますが、鉄なので防錆塗装をしないと錆びます。
とくに凍結防止剤をまく地域の方の足まわりの錆び方はそうじゃない地域の方の想像を遙かに超えるぐらい錆びます。
錆びた上に最後はぼろぼろになって部品が折れたり車体の床が破れたりフレームと言われる骨格部分が朽ち果てたり・・・
そういう状況でスプリングに施されてる防錆塗装に不具合があって最終的にはスプリングが折れる、というのが症状の内容。
なので
対象となってる車輛のスプリングを対策されたものに交換しますよ、
というのがリコール内容。
対象車種はおおよそ
ワゴンR、スペーシア、アルト ラパン、MRワゴンあたりの平成25年から27年あたりのお車
メーカの詳しいページはここ ↓

ワゴンR、スペーシア、アルト ラパン、MRワゴンのリコールについて|スズキ

スズキ株式会社は、ワゴンR、スペーシア、アルト ラパン、MRワゴンについて、下記のリコールを国土交通省に届け出いたしました。ご愛用の皆さまには、大変ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。 …


同時に発表されたもう一つリコールは
エンジンのクランクプーリーを締め付けてるボルトの形状にまずいのがあって緩んでるかも?
というもの。
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ネジというのは太さであったり長さであったり目的に応じていろいろ設計されて、これまた無駄がないようにサイズが決められています。
ネジの材質もいろいろ検討されて使用されています。
締め付ける力もきっちりと決められています。
けれどもいろんな要素の選択ミスをおかすと折れたり緩んだりしてしまうデリケートな面も持ち合わせています。
今回のケースは
ネジ山の形状の不具合があってちゃんと締め付けていても緩んでしまうかも?
という内容です。
リコール発表資料では344台見つかったとか。。
この部分が緩むともちろん走行不能になりますし、緩んだら結構あと処理が大変で大がかりな修理に繋がってしまいますので、我々も修理の都合で外す事があっても最後の締付には気を遣う部分です。
対象車種は
アルト、ワゴンR、MRワゴン、スペーシア、ハスラーの平成24年から27年ぐらいのお車
メーカーの詳しいページはここ ↓

アルト、ワゴンR、MRワゴン、スペーシア、ハスラーのリコールについて|スズキ

スズキ株式会社は、アルト、ワゴンR、MRワゴン、スペーシア、ハスラーについて、下記のリコールを国土交通省に届け出いたしました。ご愛用の皆さまには、大変ご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます。 …


どちらも愛車の【車体番号】がわかれば対象車かどうかご自分で調べられます。
車検証に車体番号は記載されています。
検索システムもあります。
リコール・改善対策・サービスキャンペーン 対象車両検索
また対象車になっておればスズキから順次案内が届くでしょう。
最近のリコールはほんとに「コストダウンのやり過ぎ」が原因なのが多すぎて悲しいです。
耐久性のある素晴らしい日本車はなりを潜めてしまったんでしょうか?
こういう仕事をしてるのでメーカー側の立場もわからんではないですが、何かしら寂しい気持ちです。
設計上想定できない範囲のことも、市販してみてわかった、ということも多々有るとは思います。
楽しく安心安全に乗れる自動車がこの世にあふれることを願ってます。

アルト ワゴンR MRワゴン セルボ ラジエーターサブタンクの割れ

エンジン冷却水を一旦貯めておく予備のタンクを我々はラジエーターサブタンクと呼びますが、2台ほど続けて登録13年越えのアルトとMRワゴンで割れてるのを発見。
とはいえ全車種で起こってるかというとみんながみんなそうなるわけでもない。
平成15年式のワゴンRは同じ形をしてるんですが割れていない。
走行距離はあまり関係なくMRワゴンは平成19年式で15万㎞超えでしたがアルトも同じ年式で13年間でなんと8000㎞・・
でもひび割れしたのでそのあたりの年式の部品ロットが怪しいのかもしれません。
バッテリー側にステーがあってそこにたんに「刺さる」という構造なのですが、エンジンの振動やら走行時の振動などで硬化したプラスチック本体のタンクが割れるのでしょう。
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平成18年~頃登録されたお車は一度確認した方がいいかもしれませんね。
部品さえ手に入れば自分でも出来ますよ。
この写真のHA24Sのアルトは純正番号 17931-58J01
価格は2500円(税別)

ガレージで助手席側にLLCの垂れた跡があるとか、減ってる冷却水をいくら補充して「Lレベル」まで減ってしまう。けどそこで減るのが止まる、と悩んでる貴方にはぴったりな症状かも。

スズキ スペーシア ハスラー ワゴンR ISGベルト交換 オルタネーターベルト交換手順

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Sエネチャージと呼ばれるスズキの燃費改善システムは、発進時や加速時にISGと呼ばれる発電機とモーターを兼ね備えたものでベルトを介してエンジンを補助します。
ISG(モーター機能付き発電機)
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リチウムイオン補助バッテリー
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電動自転車に乗ったことがある人ならわかりますが、電動自転車も常にモーターで走ってるわけでなく、発進時、加速時など力が必要なときだけモーターで補助してくれますよね。
つまりはあれを自動車ででもやってるんです。
モーターを補助にエンジンを助けるのでこれもハイブリッドのひとつの方式なのでスズキの場合これを「マイルドハイブリッド」と呼びます。
ニッサンのセレナも一部車種は同じ方式をとっています。
発電機をモーターのように使って走るための力を伝えるのですから、今までの補機類のベルトよりも力を伝える必要があり、ベルト自体の強度もベルトの張力を維持するのにいろいろ工夫があります。
裏返すと修理するには大変・・・
ということです(笑)
というわけでISGベルトの交換をします。
エンジンサイドカバーを外します。
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エアコン側のベルトは調整機構のないストレッチベルトなので外すときは切断するか専用工具で外します。
この写真の白い工具が「外すための専用工具」です。
高いものでもないのでスズキの部品ルートを通じて注文するといいでしょう。
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ISGベルトの張力を維持してるテンショナーを緩める専用工具です
これがないとテンショナーを壊す恐れがあるので揃えてありました。
(結構な投資)
テンショナー部分に六角形のいかにもメガネレンチが掛かりそうな部分がありますが、実際そこにレンチをかけると折れてしまうそうです。
折れてしまったらこれはまたテンショナー交換とか大変なことになるので工具は揃えておくほうが良さそうです。
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当店はハスコー社製の工具を使っていますがリーズナブルなストレート社製工具もあります。

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まずは白い工具を使ってエアコンベルトを外します。
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次が本命作業でテンショナーを緩めるための工具を取り付け、ISGベルトを外します。
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外れました。
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新旧のベルトです。
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新旧で部品番号が変わってました。
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外してじっくり点検しました。
すると2箇所ほど亀裂が見つかりました。
距離にすると4万㎞ですが・・
噂には聞いていましたがISGベルトは日頃からとてもよく働いているので消耗が激しいとのことが実感できました。
一箇所亀裂が入ると加速度的に痛んでいきなり破断してしまうのでISGベルトはしっかり点検、早い目の交換が必要ですね。
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新しいベルトを着けるために来た道を折り返します。
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エアコンベルトを取り付けるためには黒い方の専用工具を使って取り付けます。
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エアコンベルトの張力は取り付けた時点で一定に保たれるためのストレッチベルトなので測る必要は無いのですが自分の知識のために音波張力計で規定値内に入ってるか測っておきます。
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ISGベルトの専用工具を外して交換は完了です。
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専用工具(SSTともいいます)は手元に有るとほんとに良い働きをしてくれます。
短時間できれいにそして確実に作業が出来るのでとても重宝します、がそれには投資が必要です。
全ての職業で言えることなんでしょうけど良い仕事をするには良い工具ですね。
というわけでスペーシアはこれ以外のもろもろの車検作業を終えユーザーさんの元へ帰って行きました。
そしてまた通勤の足としてしっかり働いてくれるでしょう。

595-0063
大阪府泉大津市本町5-23
二葉モータース
TEL 0725-32-1741
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エブリイ エアコンが冷えない

お盆明けの本日から営業再開させて頂きました。
とはいえ明日は日曜日でまたお休みですね・・
お盆中は当店のお客さんには事故の発生はなかったみたいで平和にスタート、と思いきやエアコンが冷えないコールが立て続けに・・・
ことしは5~6月にはあまり修理依頼は無かったのですがお盆休み明けにやってきましたこのエアコン故障ウェーブ。
このエブリイの前にワゴンRが入庫してまして、そちらはエアコンコンプレッサーの焼き付きというお値段高めの診断。
現在修理されるか乗り換えるかのご検討中です。
そしてその後がこのお車。
本日連続入庫です。
スズキ エブリイ DA64W 平成22年式 走行距離約85000㎞
エアコンの風が生ぬるくて暑くて乗ってられないということで緊急入庫です。
同じ形式のエブリイを以前当店でエアコン修理をした事がある方のご紹介でおいでになりました。
まず症状がどの程度なのか自分の目と耳と肌感覚でお車に乗って確認。
・エアコンの風は出てる(風量は重要)
・コンプレッサーはちゃんと動作してる
・オートエアコンの動作は大丈夫っぽい。
でもぬるい・・・
エブリイのしかもこの形式のオートエアコン車は「エアミックスドア」という温風と冷風の比率を変える装置が電動モーターによる制御で、エアコンコンピューターから指示を受けて電気的に比率を変えます。
そのモーターの取り付けねじがどういうわけか緩んでモーターが浮き上がってミックスドアの軸が空回りするんです。
前回修理させて頂いたご紹介者のエブリイも同じでした。
DA64エブリイのオートエアコン車はこのネジ部分の増し締めは定番整備かもしれません。
というわけで上記の診断結果から一番最初にモーターの取付を確認。
足踏み駐車ブレーキのレバーの横にあります。
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そしたらやはり取付の部分から浮いてしまっておりぐらぐらでした。
緩むネジは丸印のネジ
場合によっては脱落して足元に転がってるケースも有りです。
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ここを軸に合わせてセットしてしっかり締め付けると無事冷風と温風の切替が出来るようになりました。
けれどやっぱりパンチがない、ということで今度はエアコンフィルター点検
しっかり(?)詰まってましたので交換。
そして仕上げにエアコンガス規定量充填
ちまたではエアコンガスリフレッシュとかエアコンがクリーニングとか宣伝してますが当店の呼び名は「エアコンガス規定量充填サービス」。
エアコンガスは重量できっちり管理しないと多すぎても少なすぎても効きが悪くなるんですよ。
当店では重量管理できる”エコマックスジュニア”というマシンを設置してるので自動車メーカーが設計した通りの規定量にきっちりガスを充填できます。
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これできっちりガス量まで合わして整備完了です。
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規定量340グラムのところ240グラムしか残っていませんでしたので100グラム足して340グラムきっちりに充填しました。
おいでになった時と帰るときの車内の気温の激変にお客様は歓喜の声をあげながら(笑)お帰りになられました。
これだけ喜んで頂くと仕事冥利に尽きます。
今回のケースはエアコンシステム(冷やすというシステム)の故障ではなく空気の流れを制御する部分に不具合があったわけです。
この場合部品の交換というのはエアコンフィルターと減ったガスの充填作業が主な内容になりましたので2万円でおつりが来ました。
ひとことで「エアコンが冷えない」というだけではなかなか原因が多義に渡ってしまい現車確認させて頂かないと原因はつかめません。
もしこれがガソリンスタンドや量販店などで診断していたら例の「取りあえずエアコンガス入れてみましょうか?」という流れになりかねません。
そうすれば「ガスを入れすぎで冷えない」となり誤診断ということで大変です。
エアコンが冷えない、という方は当店に限らず、お近くの修理工場に於いても電話ではなく勇気を出してしっかり足を運んで現車確認&相談してくださいね。
きっとその方が早く確実に原因がつかめます。
暑いのを我慢してたらもったいないですよ!